2020年は気候変動、生物多様性それぞれの分野で非常に重要な年となると考えられます。IGESならではの視点で、2020年の主要な国際プロセスの進展、重要なグローバル評価報告書、そしてそれらが日本に与える影響など、押さえておくべきポイントを解説します。新型コロナウイルスの影響ですでに多くの国際プロセスに影響が出ている中ではありますが、それらのスケジュールの遅れも加味して、現時点でわかる範囲の情報を共有します。
イベントの詳細
発表資料
15:00- | 開会 | ||
15:05-15:15 | 2020年度展望-重要国際プロセスと注目トピックス 大塚 隆志 IGES コミュニケーション・共創担当ディレクター |
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15:15-15:30 | 気候変動問題と新型コロナウイルス:対策の共通点と相違点を踏まえ、日本版グリーンディールの構想を 松下 和夫 IGES シニアフェロー |
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15:30-16:00 | COP26に向けた気候変動分野におけるハイライト | ||
各国の国別削減目標(NDC)の引き上げ状況と新型コロナウイルスの影響 田村 堅太郎 IGES 気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター |
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パリ協定第6条の交渉のスケジュール -COP26に向けて 高橋 健太郎 IGES 気候変動とエネルギー領域 プログラムマネージャー |
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温暖化対策「備え」の観点から-適応の重要性と近年の動向 水野 理 IGES 統括研究ディレクター |
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16:00-16:05 | 休憩 | ||
16:05-16:20 | IPBESグローバルアセスメントとその気候変動や生物多様性条約(CBD)ポスト愛知目標への示唆 高橋 康夫 IGES 自然資源と生態系サービス領域 リサーチマネージャー |
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16:20-16:40 | How Can Asia Achieve the SDGs?: Connecting People and Planet in the COVID-19 Era:アジアがSDGsを達成するには?~新型コロナウイルスの時代に人と地球をつなぐものとは~(逐次通訳あり) エリック・ザスマン IGES 持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダー |
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16:40-17:00 | 質疑応答 |
関連出版物
欧州委員会が、昨年末に公表した「The European Green Deal」の日本語翻訳版(暫定非公式訳)。2050年に向けた欧州社会のあり方の指針となるもので、気候危機を一つの契機として、根本的な社会変革を大胆かつ着実に進めていくこととしている。気候変動、クリーンエネルギー、産業政策、交通政策、農業政策、生物多様性、化学物質対策、参加型の政策形成など10の柱からなる。例えば、2050年の気候中立目標に法的根拠を与える欧州気候法を提案し、2030年目標の40%削減を50-55%削減目標へと強化する、電力部門はその大部分を再生可能エネルギーに立脚したものへと発展する必要があり、速やかな石炭からの脱却とガスの脱炭素化も併せて実施されるべき等...
本報告書は、環境省委託事業「2019 年度二国間クレジット制度の対象国における効率的な制度実施体制の検討等及びMRV 等の実施支援委託業務」に関する成果をまとめたものである。本業務では、JCMパートナー国におけるJCMの効果的な実施のための透明性の向上並びにJCMのプロジェクトサイクル下でのMRV手続の円滑な実施及びJCMプロジェクトのさらなる拡大に資することを目的として、対象国等における各種コンサルテーション、ワークショップ・セミナー等の実施、MRV手法の検討並びにその適切な実施のための支援などを行った。
本レポートはJCM とSDGs の関連性をまとめた最初の出版物であり、JCM を通したSDGs の目標とターゲットへの貢献のあり方を明らかにすることを目的としています。JCM プロジェクトは、日本企業と現地企業が共同で実施する民間主導によるビジネスが主となります。実際にプロジェクトを実施している企業にインタビューを行い、その内容を記事にまとめることで、民間企業の視点も含んだレポートとなっています。 JCM とSDGs の関連性を理解することは、JCM を通したSDGs 達成に向けた取組をさらに加速するための重要な一歩になると考えています。
現在の日本のNDCでは、2030年に2013年度比で温室効果ガス排出量26%削減を目標としていますが、NDC策定時の経済成長想定を実績値にあわせてより現実的な数値とすることで、目標には引き上げの余地があることが明らかになっています。IGESはその研究成果に基づき、経済成長想定をより現実的な数値にした場合の2030年削減量を示すと同時に、それをベースとして、さらなる引き上げを議論すべきであることを提言します。
IPBES地球規模評価は、1970 年代から2050 年までの期間の地球全体を対象に、自然科学や社会科学の知識、ならびに幅広い知識体系や多次元にわたる価値観を総括した、2005年発表のミレニアム生態系評価以来の生物多様性と生態系サービスに関する地球規模の評価です。本冊子はIPBES総会第7回会合(2019年4~5月、フランス・パリで開催)で承認された地球規模評価の政策決定者向け要約(SPM)の和訳で、我々が直面する自然や自然の寄与の深刻な劣化と持続可能な社会の実現に向けた困難な道のりを指摘する一方、社会変革(Transformative change)による持続可能な社会の実現の可能性を示唆しています。
ポイント IPBES地球規模評価報告書は、自然は人類の生存やSDGs達成に欠かせない基盤であり、この基盤が急速に失われていると報告した。SDGsの達成や自然との共生に向けて、経済、社会、政治、技術をまたぐ変容(トランスフォーマティブ・チェンジ)が求められる。 生物多様性と気候変動は不可分の課題である。2℃の気温上昇でサンゴ礁が99%減少するといった予測結果が示すように、気候変動が生物多様性を大きく損なう。一方、気候変動緩和目的の大規模なバイオエネルギー生産は生物多様性や食料や水の供給を脅かす。こうした生物多様性と気候変動の相互関係についてIPCCとIPBESの合同技術報告書の作成が予定されている。 新型コロナウイルスの感染拡大から人と自然との関わり方を問い直す必要がある...
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)による報告書「Transforming the Energy System: And Holding the Line on Rising Global Temperatures」のIGES翻訳版(暫定非公式訳)。現行計画・政策に基づくエネルギーシナリオと低炭素技術の野心的な取り組みに基づくエネルギー変革シナリオを比較分析し、気候変動に対して強靭で持続可能な未来を築くためには、世界でエネルギー変革を加速させる必要があると指摘しています。具体的には、再生可能エネルギー、エネルギー効率対策、熱・輸送の電化への投資を拡大し、こうしたエネルギー投資を広範な社会経済政策と連携させることで、公正なエネルギー変革を包括的に進めるべきであるとしています...
第7回持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD7)が、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)により、2020年3月25日から27日にタイ・バンコクのUNカンファレンスセンターにて開催される予定である。過去の、少なくとも2017年以降のAPFSDとの大きな違いとして、APFSD7 ではレビュー対象となる持続可能な開発目標(SDGs)のゴール群が存在しないことが挙げられる。これは、2020年度のSDGsに関する「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が、レビュー対象となるSDGsのゴールを設定する代わりに、2019年9月のSDGsサミットで採択された政治宣言である「加速された行動と変革の道筋: 持続可能な開発に向けた行動と展開の10年間の実現 (Accelerated...
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2015年、国際社会は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核となる「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択しました。そして多くの国が、国連が主導する「自発的国家レビュー(VNR)」のプロセスを通じて、SDGsの実施に向けた取り組みを公開・共有しています。新しい開発アジェンダの実現のために各国が進める幅広い政策と予算の一部が、このプロセスを通じて明らかになりました。しかしながら、アジア太平洋地域の政策立案者は、SDGs達成に向けた取り組みをさらに加速させる必要があります。 2019年9月に公表された「持続可能な開発に関するグローバル・レポート(GSDR)」の最新版では、SDGsの進展を加速するために重要な6つの「エントリーポイント」が提案されました。2020年の...
The ACP White Paper 2020 offers policymakers pragmatic recommendations on how they can mobilise finance, strengthen policies, and build capacities to implement at scale many of the 25 solutions in UNEP’s Air Pollution in Asia and the Pacific: Science-based Solutions.
2014年の国連気候サミットにおいて、日本は開発途上国の適応能力を包括的に支援することを目的とした適応イニシアチブを発表した。適応イニシアチブには、科学的知識に基づいた適応計画策定、および開発途上国が気候変動影響評価を更新するための能力開発に関する支援が含まれる。同イニシアチブの一環として、環境省は地球環境戦略研究機関(IGES)と共同で、アジア太平洋地域の国々を対象に、国別適応計画(NAP)策定および関連する政策の推進における各国の政府関係者およびその他のステークホルダーの能力構築に貢献するために、一連のワークショップシリーズ「アジア太平洋地域における気候変動影響評価および適応計画策定に関する能力向上」を開催してきた。本ワークショップシリーズは、2015年から開始され...
関連リンク
更新: 2020年4月
日本語で読むグローバル環境評価報告書シリーズ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書をはじめ、世界には様々な環境評価報告書があります。IGESでは、その中でも特に重要な物やIGESの研究員が執筆に関わったものなどを中心に日本語翻訳版や日本語による解説ハンドブックを作成しています。このページでは、これまでに発表した日本語翻訳版ならびにハンドブック、関連する解説記事等を紹介しています。
更新: 2020年4月
第7回 持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD 2020)特集
「持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)」は、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が毎年開催する国際会議で、「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」に向けて、アジア太平洋地域のSDGsの取り組み状況を把握することを目的としています。当初、3月に開催が予定されていたAPFSD 2020は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年5月20日にオンラインで実施されることになりました。この特集ページでは、そのAPFSD 2020に向け...
更新: 2020年4月
The Satoyama Development Mechanism (SDM)
The Satoyama Development Mechanism (SDM) is one of the collaborative activities of the International Partnership for Satoyama Initiative (IPSI), established jointly by the Institute for Global Environmental Strategies (IGES), the United Nations Unive
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温暖化対策の論点
脱炭素化の時間軸至急示せ 気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター 田村 堅太郎 世界の平均気温は工業化以前から既に1度上昇しており、地球温暖化に起因するとみられる災害が世界各地で頻発している。気温上昇のレベルは人類の二酸化炭素(CO2)累積排出量に比例しており、排出し続ければ気温は上昇し続け、被害も拡大する。 温暖化を止めるためには、人為的な排出量と吸収量を差し引きで正味ゼロにする、つまり事実上、化石燃料を使わない「脱炭素社会」に転換するしかない。これが気候変動に関する政府間パネル...
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COP25の焦点、市場メカニズム…これまでの議論とその役割
クレジットの“相当調整”をめぐって交渉難航も IGES 気候変動とエネルギー領域 プログラムマネージャー 高橋 健太郎 昨年のCOP24(国連気候変動枠組条約第24回締約国会議)で、パリ協定の実施指針が採択されたが、市場メカニズム(パリ協定第6条=以下、6条)に関する詳細ルールは引き続き検討されることになり、COP25で交渉が行われる。市場メカニズムとは、他国での温室効果ガスの削減貢献分を自国の削減としてカウントする仕組みのこと。本稿では...