武内理事長 ご挨拶

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理事長 武内 和彦
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「チェンジエージェント」として持続可能な社会変革を先導する

地球環境戦略研究機関(IGES)は、地球温暖化防止京都会議(COP3)を契機に、環境省のイニシアティブによって1998年3月に誕生しました。以来、約四半世紀を経て、自らを「チェンジエージェント」と位置づけ、地球環境にかかわる多くの問題領域へとスコープを広げるとともに、持続可能な社会に向けた大胆な変革(transformative change)を促すための政策研究を推進し、日本を含むアジア太平洋地域を中心とした多様なステークホルダーとの連携強化を図っています。

IGESでは、気候変動とエネルギー、持続可能な生産と消費、生物多様性と森林、適応と水環境の4領域に加え、ビジネス、都市、ファイナンスに焦点をあてたタスクフォースを設けて実践的な研究を行っています。またIGESは、神奈川県の葉山本部に加え、国内では関西研究センター(兵庫県)、北九州アーバンセンターおよび東京サステイナビリティフォーラム、海外ではバンコク地域センターや北京事務所を設置し、それぞれの地域の特性を活かした実践研究や社会連携を推進しています。さらに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)などの国際的プログラムを支援するとともに、国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)、国連アジア太平洋経済社会委員会(The United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific: UNESCAP)、国連経済社会局(United Nations Department of Economic and Social Affairs: UNDESA)、アジア開発銀行(Asian Development Bank: ADB)、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations: FAO)、国連大学(United Nations University: UNU)等の主要な国際機関と緊密な連携のもと、国際的な信頼を得てきました。

世界的に大きな問題であるコロナ禍に関しては、グリーンリカバリーに焦点を当てた政策提言を国内外に発信しています。コロナ後の社会では、大都市一極集中の見直しや自然環境を活かした新しい働き方の実践、リアルとバーチャルを最適化した新しいコミュニケーション手法の確立などが求められます。国の第五次環境基本計画で提唱された「地域循環共生圏」は、資源・エネルギー利用の自立分散化を促進するとともに、人々の交流や情報ネットワークを通じて国内外と密接につながる地域づくりを目指すものであり、IGESが考えるコロナ後の望ましい持続可能な社会像につながります。

その「地域循環共生圏」構想には、私自身がその概念構築に深くかかわりました。そこでは、脱炭素社会、資源循環型社会、自然共生社会を、国内外の地域において統合的に追究することが求められます。また、それぞれのあるべき社会像とそれに到達する道筋が個別に論じられていた状況を克服し、統合的なアプローチと多様な問題の同時解決が求められています。2021年7月から始まる第8期戦略計画では、そのことに貢献するためにIGES葉山本部に新たに「サステイナビリティ統合センター」を設置いたしました。 こうした統合化のアプローチは、持続可能な開発目標(SDGs)と、気候変動パリ協定、生物多様性ポスト2020フレームワーク、仙台防災枠組などの国際的取り決めの実施にも、効果的に貢献するものです。
2021年から2030年に至る10年間は、将来の地球環境の運命を決める重要な節目といわれています。IGESは、アジア太平洋地域における代表的な環境シンクタンクとして、その役割を果たしていく所存です。

 

2021年7月
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
理事長 武内 和彦