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今日、世界は、深刻化する気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の諸課題に直面しています。それらの問題には多様な主体が関わっており、問題が生じる要因とその影響は相互に密接に関連しています。そのため、問題解決には、単一の学問領域のみならず複数の学問領域の科学知の動員と社会との連携が不可欠です。本書は、環境・社会・経済の諸課題を俯瞰し、科学と政策を結び付け、持続可能な社会への変革を促すためにIGESが重視する「統合的アプローチ」を解説します。前半では統合的アプローチの背景とこれを構成する7つのプロセスを詳述し、後半の第4章以降ではそれぞれ同アプローチの実践例として、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みを加速するシナジーの強化、国・自治体・アジア都市のネット・ゼロへの取り組みと気候にレジリエントな開発、循環型の経済社会への移行、ネイチャーポジティブ実現への取り組み、ビジネスと金融の有機的連携を紹介します。
<目次>
第1章 IGESのこれまでの歩み
- 「地球環境戦略研究機関のあり方」とその実践・展開
- IGES中長期戦略(2016 年~2025 年)
- IGESの現在の研究体制
第2章 超学際的研究の展開と社会との連携・協働
- 俯瞰的科学としてのサステイナビリティ学の発展と深化
- サステイナビリティ学を支える基本概念とアプローチ
第3章 統合的アプローチによる問題解決
- 統合的アプローチとはなにか?
- 総合知としての科学的知見と国際環境政策への反映
第4章 SDGs達成に向けた統合的アプローチ
- はじめに
- シナジー(相乗効果)
- フォローアップ・レビュー(FUR)
- ポストSDGsに向けて
第5章 ネット・ゼロでレジリエントな社会に向けて
- 国レベルにおけるネット・ゼロ:統合的なアプローチによる1.5℃目標達成シナリオ
- 国内自治体レベルにおけるネット・ゼロ
- 海外(アジア)都市におけるネット・ゼロ
- 気候変動適応の多面性:IGESの取り組みから
- 気候変動緩和策と適応策の統合的アプローチ
第6章 持続可能な移行(トランジション)への入り口としての循環経済
- 三つの地球危機(気候変動,生物多様性,汚染)と循環経済との相互関係
- 海洋プラスチック問題の国際政策動向と循環経済への移行
- 脱炭素ライフスタイルのための地域社会の共創
- 結論:循環型で持続可能な社会経済を作るには
第7章 ネイチャーポジティブな社会に向けて
- 生物多様性・生態系サービスの予測評価と政策立案支援
- 持続可能な木材生産につながる合法木材調達
- 生物多様性の国際政策とIPBESを通した科学政策連携
- SATOYAMAイニシアティブを通じた国際展開
第8章 統合的アプローチのビジネス・金融分野での展開
- 企業経営へのSDGs の統合
- ビジネス・金融による環境社会課題の統合的な解決
- 多様なステークホルダーとの統合的なエンゲージメントの実施
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