持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF 2023)特集

国連が毎年開催する「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF*)」は、持続可能な開発目標(SDGs)を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030 アジェンダ)」のフォローアップとレビューを目的としています。7月10日~19日にニューヨークで行われるHLPF2023では、「新型コロナウイルス(COVID-19)からの回復を加速し、あらゆるレベルにおいて2030 アジェンダを完全に実施する」をテーマに議論が行われました。

ゴール6(安全な水とトイレを世界中に)、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、ゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)、ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)に関するレビューが行われるほか、40の国と地域が、SDGsの進捗を報告する自発的国家レビュー(VNRs)を提出・発表しました。

今年VNRを行う国と地域:バーレーン、バルバドス、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルネイ・ダルサラーム、ブルキナファソ、カンボジア、カナダ、中央アフリカ共和国、コモロ、チリ、クロアチア、コンゴ民主共和国、欧州連合、フィジー、フランス、ガイアナ、アイスランド、アイルランド、クウェート、リヒテンシュタイン、リトアニア、モルディブ、モンゴル、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ルワンダ、サウジアラビア、シンガポール、スロバキア、セントクリストファー・ネービス、シリア・アラブ共和国、タジキスタン、東ティモール、トルクメニスタン、タンザニア、ウズベキスタン、ベトナム、ザンビア

今年は2030アジェンダ達成への折り返し地点を迎えることから、今回のHLPF2023は2030年に向けた中間レビューの意味を持ちます。また、9月に国連総会のもとで開催される首脳級HLPF(SDGサミット)につながる議論の展開にも注目があつまりました。

本特集ページでは、IGESの関連イベント情報および関連出版物を紹介します。

*HLPF:国連総会のもとで4年に1回開催される首脳級(SDGサミット)と、国連経済社会理事会のもとで毎年開催される閣僚級フォーラムがある。

関連出版物

リサーチレポート
Halfway to the 2030 deadline, humanity is clearly off-track on the Global Goals. Achieving the Sustainable­­ Development Goals (SDGs) proposed in the 2030 Agenda for Sustainable Development remains a significant challenge for society. Numerous and compounding crises—including coping with the aftermath of the COVID-19 pandemic, ongoing armed...
他機関出版物の翻訳
著者:
Future Earth
The Earth League
World Climate Research Programme
気候変動に関する最新かつ重要な科学的知見をまとめたFuture Earth、The Earth League、World Climate Research Programme(世界気候研究計画)による報告書「10 New Insights in Climate Science 2022」の日本語翻訳版。2017年より毎年刊行され、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP)にあわせて公開されている。 今回の2022年版は、2021年と2022年に発表された文献を中心に、気候変動研究からの10の重要な洞察(insights)を紹介している。気候変動と紛争、パンデミック、食料危機、根本的な開発課題といった他のリスクとの相互作用の複雑さや...
ブリーフィングノート
本稿は、気候変動に関する政府間パネル( IPCC )の第 6 次評価報告書統合報告書( AR6 SYR )について、地球環境戦略研究機関( IGES )の 4 人の専門家がそれぞれの視点で注目するポイントをまとめたものです。

Related publications

リサーチレポート
Halfway to the 2030 deadline, humanity is clearly off-track on the Global Goals. Achieving the Sustainable­­ Development Goals (SDGs) proposed in the 2030 Agenda for Sustainable Development remains a significant challenge for society. Numerous and compounding crises—including coping with the aftermath of the COVID-19 pandemic, ongoing armed...
 
cover

Nobue Amanuma, Eric Zusman and Dewi Langlet

Published 22 May 2023 © 2023 The Author(s). Published by IOP Publishing Ltd
Environmental Research Letters, Volume 18, Number 5
Citation Nobue Amanuma et al 2023 Environ. Res. Lett. 18 054018
DOI 10.1088/1748-9326/acca96

Though the Sustainable Development Goals (SDGs) were crafted through an inclusive process, research on the relationship between greater female or younger legislative representation and SDG performance has been lacking. This article employs a linear mixed effects modeling approach to shed light on this relationship. Controlling for economic and demo...

 
イシューブリーフ
T7 Japan Issue Paper
著者:
Snower
Dennis
Yamaguchi
Shinobu
Takemoto
Akio
Korwatanasakul
Upalat
Okitasari
Mahesti
The 2030 Agenda for Sustainable Development and the Paris Agreement established a strong foundation for the coherent implementation of climate action and sustainable development objectives across all levels and sectors. However, recent global crises, such as climate, energy, the Russian invasion of Ukraine, the coronavirus disease (COVID-19), and...
査読付論文
Water所収
著者:
Singh
Saurabh
Meraj
Gowhar
Singh
Suraj Kumar
Kanga
Shruti
Prajapat
Deepak Kumar
Debnath
Jatan
Sahariah
Dhrubajyoti
Illegal sand mining has been identified as a significant cause of harm to riverbanks, as it leads to excessive removal of sand from rivers and negatively impacts river shorelines. This investigation aimed to identify instances of shoreline erosion and accretion at illegal sand mining sites along the Chambal River. These sites were selected based on...
プレゼンテーション
著者:
The consideration of the full life cycle impacts of plastics (and substitutes) is mandatory to achieve sustainable solutions to end plastic pollution. This requires considerations of fossil-based and biobased feedstocks for plastic production, plastic chemicals and additives, plastic degradation pathways and intermediates, environmental impacts...
ポリシーブリーフ
T7/G7 Task Force 2 Wellbeing, Environmental Sustainability, and Just Transition Policy Brief
著者:
Dirksen
Jakob
Ojha
Nabaghan
Javed
Sumbal
Moumné
Rolla
Rigoni
Gabriela
Yano
Satoko
Lima de Miranda
Katharina
Stracquadaini
José
Ikram
Aamer
Integrating the Sustainable Development Goals (SDGs) into climate actions is essential for a healthy planet and people. Yet, national climate policies and international climate support programs often fail to explicitly recognize the interconnections between climate concerns and other priorities covered under the SDGs. This failure can leave key...
査読付論文
Natural Hazards所収
著者:
Duc
Nguyen Hong
Lan
Pham Phuong
Kurniawan
Tonni Agustiono
Khedher
Khaled Mohamed
Kharrazi
Ali
Avtar
Ram
Can Tho City is experiencing water stress driven by rapid global changes. This study assesses the spatiotemporal variation in surface water quality (SWQ) through a multivariate statistical approach to provide evidence-based scientific information supporting sustainable water resource management and contributing to achieving the city’s sustainable...
ポリシーレポート
著者:
楜澤
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内田
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大窪
直子
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麻子
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藤野
真也
川廷
昌弘
渡辺
美紀
本田
本レポートには、SDGsに関する認知度のほか、国連グローバル・コンパクトが重視するSDGsゴール5(ジェンダー平等)、8(はたらきがい・人権)、13(気候変動)、16(腐敗防止)と、日本企業で取り組みの加速が期待されるゴール12(持続可能な消費と生産)の5つのゴール(主題にしたテーマ)の取り組みの進捗について、各分野の専門家による分析・考察が含まれています。前回の調査でSDGs認知度と取り組み進捗度が十分に高まったことを踏まえ、今回はSDGsの経営への組み込みや取り組む際の課題など、実践段階における取り組みの「質」について深堀した内容となっています。 【SDGsの認知・浸透度】 経営へのSDGsの組み込みに関して、従業員数10~249人の企業は、方針...
他機関出版物の翻訳
著者:
United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific (UNESCAP)
本報告書は、アジア太平洋地域ならびに5つの準地域における持続可能な開発目標(SDGs)に向けた進捗を分析するとともに、異なる人口グループ間にある不平等と脆弱性を考察している。また、2030年までにSDGsを達成し、誰一人取り残さないために克服すべきギャップを評価している。本報告書は、ターゲットに向けた地域の行動を軌道に乗せ続け、その中で生じる課題に対処することを目的としている。アジア太平洋地域において「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の優先順位付け、計画、実施及びフォローアップに関わるすべてのステークホルダーにとって有益な一冊である。

関連イベント

過去のイベント
HLPF2023公式サイドイベント

アジアと世界における気候変動とSDGsのシナジー(相乗効果)に関するエビデンスを行動へ

近年、気候変動、生物多様性の損失、環境汚染がもたらす危機への対処の緊急性は、ますます高まっています。このことから、複数の問題に対してシナジー(相乗効果)をもたらす解決策に注目が集まっています。このような解決策は、一つの課題に個別に対処するよりも費用対効果が高く、持続可能な開発の進展を阻むことが多い、経済的な障壁を克服することができると考えられています。また、複数の課題に同時に対処するという性質から、変革の推進に必要である多様なステークホルダーによる連携を構築することも期待されています...
 

Event Report (PDF 774KB)

 
 

第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議

HLPF2023に合わせて、国連経済社会局(UNDESA)および国連気候変動枠組条約(UNFCCC)主催による「第4回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」が7月16日に開催されます。

本会議は、気候変動対策とSDGsの相乗的な実施を促し、2030アジェンダとパリ協定の目標達成に向けた取り組み強化を目指すものです。気候変動対策とSDGsを調和させることは、大きな経済的利益や多くのグリーン雇用を生み出し、安定的な地球環境の回復・維持と人々のウェルビーイング向上に資することが過去3回の会議でも示唆されており、公正で衡平な未来の実現にあたり重要となります。今回の会議では、気候とSDGsのシナジーに関する専門家グループがとりまとめる報告書からの知見・メッセージも発表される予定です。

IGESでは、アジアの視点を提供するサイドイベントを開催するほか、武内和彦理事長が本会議に登壇、さらに気候とSDGsのシナジーに関する専門家グループに参画するなど、引き続き今回の会議においても積極的な貢献を行っています。

会議の詳細は、公式ウェブページをご覧ください。
https://sdgs.un.org/events/fourth-global-conference-strengthening-synergies-between-paris-agreement-and-2030-agenda

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