近年、気候変動、生物多様性の損失、環境汚染がもたらす危機への対処の緊急性は、ますます高まっています。このことから、複数の問題に対してシナジー(相乗効果)をもたらす解決策に注目が集まっています。このような解決策は、一つの課題に個別に対処するよりも費用対効果が高く、持続可能な開発の進展を阻むことが多い、経済的な障壁を克服することができると考えられています。また、複数の課題に同時に対処するという性質から、変革の推進に必要である多様なステークホルダーによる連携を構築することも期待されています。そのため、自然を活用した解決策(NbS)やコベネフィット・アプローチにおけるシナジーの大きさを測定する研究も行われています。さらに、シナジーを促進する取り組みは、自発的国家レビュー(VNR)や自発的自治体レビュー(VLR)にも反映されています。一方で、シナジーに関するエビデンスと行動の結びつきを強化するための知見は、まだ限られています。その理由のひとつは、各地域で開発されたシナジーに関する知見が効果的に蓄積されていないことです。世界で最も人口が多く、急成長を遂げているアジアでは、地域のステークホルダー、政策立案者、研究者が、こうした知見を学ぶことができるようなプロジェクトが実施されています。このサイドイベントは、アジアやその他の地域におけるシナジーに関する事例を共有し、エビデンスと行動の結びつきを強化する方法について議論することを主な目的として開催されました。本サイドイベントの成果は、9月のSDGサミットの際に発表される気候とSDGsのシナジーに関する専門家グループによる報告書に向けたインプットとして活用されることが期待されます。
イベントの詳細
オンライン
発表資料
司会:藤野 純一 IGES サステイナビリティ統合センター プログラムディレクター
1. | 開会挨拶 | 柳本 顕 環境大臣政務官 | |
2. | フレーミング・プレゼンテーション | 武内 和彦 地球環境戦略研究機関(IGES)理事長 | PDF (1.5MB) |
3. | シナジー(相乗効果)を促進する取り組みと分析 | マリア・カテリーナ・パドゥ 国連環境計画アジア太平洋地域事務所(UNEP ROAP) | PDF (521KB) |
ディンド・キャンピラン 国際自然保護連合(IUCN)アジア地域事務局 地域ディレクター | |||
サミー・M・デシュカール ビスブバラヤ国立工科大学建築・都市計画学部 准教授 | |||
エレナ・ロベンスカヤ 国際応用システム分析研究所(IIASA)システム分析プログラム推進 プログラムディレクター 兼 主任研究員 | PDF (1.1MB) | ||
リン・ワグナー 持続可能な開発に関する国際研究所(IISD)進捗モニタリングプログラム シニアディレクター | |||
4. | 特別メッセージ | ジェームズ・グラバート 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局 緩和部門ディレクター | |
バハレ・セヤディ 国際連合経済社会局(UNDESA)持続可能な開発 シニアオフィサー | |||
5. | 閉会の辞 | 山口 しのぶ 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)所長 |