IGES書籍『持続可能な社会づくりへの統合的アプローチ』を出版

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は 『持続可能な社会づくりへの統合的アプローチ』(武内和彦・高橋康夫監修、IGES編)を2024年7月30日に丸善出版より出版します。

今日、世界は、深刻化する気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の諸課題に直面しています。それらの問題には多様な主体が関わっており、問題が生じる要因とその影響は相互に密接に関連しています。そのため、問題解決には、単一の学問領域のみならず複数の学問領域の科学知の動員と社会との連携が不可欠です。

本書は、環境・社会・経済の諸課題を俯瞰し、科学と政策を結び付け、持続可能な社会への変革を促すためにIGESが重視する「統合的アプローチ」を解説します。

前半では統合的アプローチの背景とこれを構成する7つのプロセスを詳述し、後半の第4章以降ではそれぞれ同アプローチの実践例として、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みを加速するシナジーの強化、国・自治体・アジア都市のネット・ゼロへの取り組みと気候にレジリエントな開発、循環型の経済社会への移行、ネイチャーポジティブ実現への取り組み、ビジネスと金融の有機的連携を紹介します。

『持続可能な社会づくりへの統合的アプローチ』

武内和彦・高橋康夫 監修
地球環境戦略研究機関(IGES)編

A5判・252頁
発行元:丸善出版
発行日:2024年7月30日
定価:4,180円(本体3,800円+税)
丸善出版ウェブサイト:https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b306043.html
チラシ ダウンロード:PDF (3.0MB)

監 修

  • 武内 和彦 IGES 理事長
  • 高橋 康夫 IGES 所長

編 集

  • 齊藤 修 IGES 生物多様性と森林領域/戦略マネージメントオフィス上席研究員
  • 片岡 八束 IGES 都市タスクフォースプログラムディレクター

執 筆

第1章,第2章,第3章

  • 齊藤 修 IGES 生物多様性と森林領域/戦略マネージメントオフィス上席研究員
  • 片岡 八束 IGES 都市タスクフォースプログラムディレクター

第4章

  • 天沼 伸恵 IGES フェロー(4.1節,4.3.2節,4.3.3節,4.4 節)
  • 小野田 真二 IGES サステイナビリティ統合センターリサーチマネージャー(4.1 節,4.3.1節,4.3.3 節)
  • エリック・ザスマン IGES サステイナビリティ統合センターリサーチリーダー(4.1 節,4.2 節,4.4 節)
  • サイモン・ホイベルク・オルセン IGES サステイナビリティ統合センターリサーチマネージャー(4.3.3 節)
  • ムスタファ・モイヌッディン IGES フェロー(4.3.3 節)

第5章

  • 田中 勇伍 IGES 関西研究センターリサーチマネージャー(5.1 節)
  • 栗山 昭久 IGES 気候変動とエネルギー領域リサーチマネージャー(5.1 節)
  • 岩田 生 IGES ビジネスタスクフォースリサーチマネージャー(5.1 節)
  • 田村 堅太郎 IGES 気候変動とエネルギー領域プログラムディレクター(5.1 節)
  • 浅川 賢司 IGES 都市タスクフォースプログラムマネージャー(5.2 節)
  • 中野 綾子 IGES 都市タスクフォースリサーチマネージャー(5.3 節)
  • 赤木 純子 IGES 北九州アーバンセンターリサーチマネージャー(5.3 節)
  • 日比野 浩平 IGES 北九州アーバンセンタープログラムマネージャー(5.3 節)
  • 久留島 啓 IGES 適応と水環境領域研究員(5.4 節)
  • 有野 洋輔 IGES 戦略マネージメントオフィス主任研究員(5.5 節)

第6章

  • 渡部 厚志 IGES 持続可能な消費と生産領域プログラムディレクター
  • 堀田 康彦 IGES 持続可能な消費と生産領域プログラムディレクター
  • 粟生木 千佳 IGES 持続可能な消費と生産領域主任研究員/副ディレクター
  • 劉 晨 IGES 持続可能な消費と生産領域リサーチマネージャー
  • 山辺 アリス IGES 持続可能な消費と生産領域研究員
  • 林 美穂 IGES 持続可能な消費と生産領域プログラムマネージャー
  • 小嶋 公史 IGES 関西研究センタープログラムディレクター/気候変動とエネルギー領域上席研究員

第7章

  • 齊藤 修 IGES 生物多様性と森林領域/戦略マネージメントオフィス上席研究員(7.1節,7.3 節)
  • 山ノ下 麻木乃 IGES 生物多様性と森林領域ジョイント・プログラムディレクター(7.2節)
  • 藤崎 泰治 IGES 生物多様性と森林領域主任研究員(7.2 節)
  • 鮫島 弘光 IGES 生物多様性と森林領域/東京サステイナビリティフォーラム主任研究員(7.2 節)
  • 髙橋 康夫 IGES 生物多様性と森林領域リサーチマネージャー(7.1.2 節,7.3 節)
  • 三輪 幸司 IGES 生物多様性と森林領域研究員(7.4 節)

第8章

  • 森 尚樹 IGES ファイナンスタスクフォースプログラムディレクター(はじめに,全体統括)
  • 小野田 真二 IGES サステイナビリティ統合センターリサーチマネージャー(8.1.1 節)
  • 髙橋 康夫 IGES 生物多様性と森林領域リサーチマネージャー(8.1.2 節)
  • 林 美穂 IGES 持続可能な消費と生産領域プログラムマネージャー(8.2.1 節,8.3.2 節)
  • 清水 規子 IGES ファイナンスタスクフォースプログラムマネージャー(8.2.2 節)
  • 高橋 慶衣 IGES ビジネスタスクフォースプログラムマネージャー(8.3.1 節)
  • 森下 麻衣子 IGES ファイナンスタスクフォースプログラムマネージャー(8.3.3 節)

協力

  • 川上 毅 IGES事務局長

[所属・役職は2024年5月現在のもの]

推薦のことば

「気候危機と生物多様性の損失という複雑で相互に関係しあう現代社会の問題と対峙するには、要素還元主義に基づく既存の学術研究では限界があります。その限界を打破し問題を解決するために、個々の学術分野の知識を構造化し、全体像を構築する必要があります。そうした使命感から私たちは「サステイナビリティ学(Sustainability Science)」を開拓してきました。本書はサステイナビリティ学のこれまでの研究と問題解決に向けた実践を踏まえつつ、それをさらに発展させ、「統合的アプローチによる問題解決」のための7つのプロセスを具体的に提示しています。本書はサステイナビリティ学の最新の到達点であり、今後の研究と政策を考える上での必読書です。」

小宮山 宏 様
株式会社三菱総合研究所理事長
国立大学法人東京大学第28代総長
一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会長

「持続可能な社会の実現をめざすとき、相互に連関する環境問題とともに、様々な経済・社会の課題に私たちが直面していることに気づく。こうした環境・社会・経済の諸課題の解決には、科学の知見に基づき、社会の多様な主体と協働して、統合的に解決しようとする取り組みが鍵を握る。本書は、国内外で試みられている実践例を示しつつ、直面する問題の解決に果敢に取り組む人に多くのヒントを与えてくれるだろう。」

高村 ゆかり 様
東京大学未来ビジョン研究センター教授

「気候危機と生物多様性の危機、そしてプラスチックなどによる汚染の危機が深刻化する中で、人類は三つの危機を同時に解決する道を探ることを求められている。しかも、貧困や格差という社会的課題への配慮も欠かせない。そうでないと何かの対策が別の危機を悪化させ、見せかけの環境対策、グリーンウォッシュになりかねない。三つの危機の現状と対策の詳述に留まらず、統合的な解決策の大切さとそれへの道筋を示す本書は、特に企業や金融機関にとっての有用な教科書となり得るだろう。」

井田 徹治 様
共同通信社編集委員

  • 第1章 IGESのこれまでの歩み

    1. 1.1 「地球環境戦略研究機関のあり方」とその実践・展開
    2. 1.2 IGES中長期戦略(2016年~2025年)
    3. 1.3 IGESの現在の研究体制
  • 第2章 超学際的研究の展開と社会との連携・協働

    1. 2.1 俯瞰的科学としてのサステイナビリティ学の発展と深化
    2. 2.2 サステイナビリティ学を支える基本概念とアプローチ
  • 第3章 統合的アプローチによる問題解決

    1. 3.1 統合的アプローチとはなにか?
    2. 3.2 総合知としての科学的知見と国際環境政策への反映
  • 第4章 SDGs達成に向けた統合的アプローチ

    1. 4.1 はじめに
    2. 4.2 シナジー(相乗効果)
    3. 4.3 フォローアップ・レビュー(FUR)
    4. 4.4 ポストSDGsに向けて
  • 第5章 ネット・ゼロでレジリエントな社会に向けて

    1. 5.1 国レベルにおけるネット・ゼロ:統合的なアプローチによる1.5℃目標達成シナリオ
    2. 5.2 国内自治体レベルにおけるネット・ゼロ
    3. 5.3 海外(アジア)都市におけるネット・ゼロ
    4. 5.4 気候変動適応の多面性:IGESの取り組みから
    5. 5.5 気候変動緩和策と適応策の統合的アプローチ
  • 第6章 持続可能な移行(トランジション)への入り口としての循環経済

    1. 6.1 三つの地球危機(気候変動,生物多様性,汚染)と循環経済との相互関係
    2. 6.2 海洋プラスチック問題の国際政策動向と循環経済への移行
    3. 6.3 脱炭素ライフスタイルのための地域社会の共創
    4. 6.4 結論:循環型で持続可能な社会経済を作るには
  • 第7章 ネイチャーポジティブな社会に向けて

    1. 7.1 生物多様性・生態系サービスの予測評価と政策立案支援
    2. 7.2 持続可能な木材生産につながる合法木材調達
    3. 7.3 生物多様性の国際政策とIPBESを通した科学政策連携
    4. 7.4 SATOYAMAイニシアティブを通じた国際展開
  • 第8章 統合的アプローチのビジネス・金融分野での展開

    1. 8.1 企業経営へのSDGs の統合
    2. 8.2 ビジネス・金融による環境社会課題の統合的な解決
    3. 8.3 多様なステークホルダーとの統合的なエンゲージメントの実施

関連スタッフ