Earth for All 万人のための地球『成長の限界』から50年 ローマクラブ新レポート

1972年にローマクラブが『成長の限界』を発表してから50年にあたる2022年、ローマクラブの新たなレポート『Earth for All: A Survival Guide for Humanity』が9月に発表されました。本レポートは、持続可能な未来への変革を促す国際イニシアチブ「Earth for All(万人のための地球)」*が中心となりまとめたもので、新たなシステムダイナミクスモデルをもとに、プラネタリーバウンダリーの範囲内で持続可能な社会経済のパラダイムを追求する具体的な道筋を示しています。

「小出し手遅れ(Too Little Too Late)」、「大きな飛躍(Giant Leap)」の2つのシナリオをもとに、2030年、そして2050年以降の世界の姿を描き出し、貧困、不平等、女性のエンパワメント、食料、エネルギーの5つの分野で今すぐに取り組むべき課題、そして具体的な解決策を明らかにするとともに、背景にある社会経済システムそのものの「劇的な方向転換」を促しています。深刻化する気候変動や生物多様性の喪失、そしてウクライナ侵攻に伴うエネルギー・食料危機等、地球規模の様々な脅威に直面する私たちが、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを加速させ、その先の持続可能な未来に向けた歩みを確実なものにするための有益な指針を与えてくれます。既に発表されている英語版、ドイツ語版に加え、日本語版、中国語版、韓国語版、イタリア語版での出版が予定されています。

IGES翻訳による本レポートの日本語版『Earth for All 万人のための地球 『成長の限界』から50年 ローマクラブ新レポート』は丸善出版より2022年11月30日に刊行予定です。IGESでは、2022年11月28日にパシフィコ横浜で開催する「持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2022)」において、日本語翻訳版出版記念の公開セッションを行うとともに、来場者を対象に本書を特別価格にて先行販売します。

ISAP2022についてはこちら

*国際イニシアチブ「Earth for All(万人のための地球)」:ローマクラブ、ポツダム気候影響研究所、ストックホルム・レジリエンス・センター、BIノルウェー・ビジネス・スクールの協働により、2020年に開始された国際イニシアチブ。経済学、哲学、政治学、自然科学等様々な分野の専門家から構成される国際研究チームが、新たに開発したシステムダイナミクスモデル「Earth4All」をもとに、貧困、不平等、ジェンダー、食料、エネルギーに関する大転換、そしてそれらを統合した社会経済システム全体の変革に向けた提言を発信しています。

『Earth for All 万人のための地球 『成長の限界』から50年 ローマクラブ新レポート』

『Earth for All 万人のための地球 『成長の限界』から50年 ローマクラブ新レポート』

主著者:S. ディクソン=デクレーブ / O. ガフニー / J. ゴーシュ / J. ランダース / J. ロックストローム / P.E. ストックネス
監訳:武内 和彦 IGES理事長
監修:ローマクラブ日本
翻訳:森 秀行 IGES特別政策アドバイザー、高橋 康夫 IGES所長ほか
発行元:丸善出版 
定価:2,640円(本体2,400円+税)
発行日:2022年11月30日
丸善出版ウェブサイト:https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b304795.html

50年前、『成長の限界』は、人口と産業の成長が人類を崩壊の崖に向かって押しやっていることを示し、世界に衝撃を与えた。その警告にもかかわらず、世界は崩壊に向かって進み、今日、様々な危機に直面している。すでに複数のプラネタリ―バウンダリーをこえているほか、貧困やジェンダーなど多くのソーシャルバウンダリ―が満たされず、広範な不平等が社会に深刻な不安定さをもたらしている。それらに効果的に対処する方法はないように見える。

本書は、この絶望に対する解決策の提案であり、より良い未来へのロードマップを提供するものである。最先端のコンピュータモデルをもとに、大多数の人々に最大のウェルビーイングをもたらす可能性が高い政策を探求している。ヨルゲン・ランダースやヨハン・ロックストロームらが主著者となり、世界の著名な科学者と経済学者から構成される「変革のための経済学委員会(Transformational Economics Commission)」による助言をもとにまとめられた。

本書の最も大きなメッセージは、「成長の限界」から「プラネタリーバウンダリー」へである。人類の未来に関する2つのシナリオを作成・分析し、一世代で実施可能な、すべての人に繁栄をもたらす 「5 つの劇的な方向転換(five extraordinary turnarounds)」を提案している。概要は以下の通りである。

  • ウェルビーイングの低下と社会的緊張の高まりが社会の崩壊リスクを高めることを示す新しいグローバルモデリングの結果を提示している。具体的には、「平均ウェルビーイング指数(Average Wellbeing Index)」と「社会的緊張指数(Social Tension Index)」を導入し、それらを使って以下の2つのシナリオにおける人類の未来を検証している。
  • 「小出し手遅れ(Too Little Too Late)」 と 「大きな飛躍(Giant Leap)」という2 つの対照的なシナリオが、私たちの未来にとって何を意味するかを明確に示している。「小出し手遅れ」シナリオとは、基本的に現状なりゆきシナリオ(BAU)であり、「大きな飛躍」シナリオとは、5つの劇的な方向転換をベースに、プラネタリーバウンダリーの範囲内で人類のウェルビーイングの最大化を目指すシナリオである。
  • 「小出し手遅れ」シナリオの下では、気候変動に効果的に対応できず、2100年には地球の平均気温は2.5℃以上上昇する。多様性など自然に対する影響は極めて大きくなり、気候などの異常事態がニューノーマル(新しい常態)となる。国内外の不平等は増大し続ける。それでも一人当たりのGDP(国内総生産)は増大し、今世紀末には一人当たり1万ドルのレベルに達する。人口は90億人をこえたレベルでピークを迎える。政府は異常事態に対応するだけで精一杯となり、社会的緊張は増大し、幾つかの社会が崩壊し、小さな国に分裂していく。
  • 一方、「大きな飛躍」シナリオの下では、今世紀後半には人口が減少に転じ、2100年には2000年と同レベルの60億人程度になる。この人口の安定化は、再エネ・再生型農業の推進や過剰消費の削減などと相まって、自然資源にかかる圧力の大幅な低減を実現する。温室効果ガス排出量は2050年代には約90%削減され、地球の気温上昇を世紀末には1.5℃程度まで戻す見通しが立っている。社会的緊張は減少し、 ウェルビーイングが向上する。国民は政府への信頼を取り戻し、極度の貧困は解消される。
  • 5つの劇的な方向転換とは、2050 年までに「貧困」と「不平等」を覆し、「疎外された人々」をエンパワーし、「食料」と「エネルギー」の変革を進めることであり、この5つのシステムを方向転換する具体的な政策を以下の通り提案している。
    1. 「貧困」に関しては、国際通貨基金(IMF)や貿易構造の変革、技術へのアクセスの向上(世界貿易機関(WTO)の「知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)」に関する検討)を提唱している。
    2. 「不平等」に関しては、上位10%の富裕層と下位40%の貧困層の所得が同じになるように富裕税などを検討するとともに、自然資源への課税を市民に配分する「普遍的基礎配当(universal basic dividend)」の導入などを提案している。
    3. 「疎外された人々のエンパワメント」に関しては、ジェンダー平等を核に、教育の抜本的改革、ユニバーサルヘルスケアの実現、「普遍的基礎配当」の導入などが提案されている。
    4. 「食料」に関しては、再生型農業や持続的集約化による農地の非拡大や食生活の抜本的改善などが提案されている。
    5. 「エネルギー」に関しては、徹底的な効率化と電化、さらに太陽・風力・バッテリーによる再エネの指数関数的推進(炭素の法則)により、世紀末には気候ポジティブの世界の実現が見通されている。
  • 上記の5つの劇的な方向転換は、現在のレンティア(不労所得)資本主義を、「人新世」にふさわしい、すべての人々と地球のために機能する経済に再構成することである。それには、金融における短期主義を克服し、政府の役割を強化することにより、金融システムを抜本的に変革する必要がある。また、「普遍的基礎配当」のように、あらゆる共有コモンズ(生産的・自然的・知的・社会的コモンズ)の利用に課金を行い、市民ファンドを通じて、それを市民に還元するシステムを導入することにより実現できる。

サンドリン・ディクソン‐デクレーブ Sandrine Dixson-Declève

ローマクラブの共同会長であり、30年以上にわたり、気候変動、持続可能性、イノベーション、そしてエネルギーの各分野で主導的役割を果たしている。GreenBiz誌において、低炭素経済への変革を推進する最も影響力のある女性30人のひとりに選ばれている。政策アドバイザー、ファシリテーター、TEDスピーカー、教師としても活躍。著書に『Quel Monde Pour Demain?』がある。

オーウェン・ガフニー Owen Gaffney

チェンジメーカー、戦略立案者、作家、映画製作者であり、また、ストックホルム・レジリエンス・センターおよびポツダム気候影響研究所で、 地球の持続性に関するアナリストを務めている。Exponential Roadmap Initiativeの共同創設者であり、BBC、Netflix、TED、世界自然保護基金(WWF)および世界経済フォーラムなどによる、 マルチメディアやドキュメンタリーの執筆、制作、助言を行っている。

ジャヤティ・ゴーシュ Jayati Ghosh

国際的に著名な開発経済学者であり、マサチューセッツ州立大学の教授を務めている。19の著書(編書を含む)と200本近くの学術論文を執筆し、国内外でいくつかの賞を受賞。数多くの国際委員会で委員を務めるほか、多様なメディアへ定期的に寄稿している。

ヨルゲン・ランダース Jorgen Randers

BIノルウェー・ビジネス・スクールの名誉教授(気候戦略分野)である。経済、環境そして人類のウェルビーイングが交差する部分の研究に関する世界の第一人者であり、1972年に発表された『The Limits to Growth(成長の限界)』、そして30年後の続編『Limits to Growth: The 30-Year Update(成長の限界 人類の選択)』の共同執筆者である。著書に『2052: A Global Forecast for the Next Forty Years (2052:今後40年のグローバル予測)』、共著に『Reinventing Prosperity』、『Transformation Is Feasible!』がある。

ヨハン・ロックストローム Johan Rockström

ポツダム気候影響研究所長である。「プラネタリーバウンダリー(planetary boundaries)」の枠組みを提唱した科学者の研究チームを主導。TEDでの講演は500万回以上再生されている。ロックストロームの主導する「プラネタリーバウンダリー」は、デビッド・アッテンボローがナレーションを務めたNetflixのドキュメンタリー「Breaking Boundaries(地球の限界:“私たちの地球”の科学)」の主題となっている。

ピア・エスペン・ストックネス Per Espen Stoknes

BIノルウェー・ビジネス・スクールの持続可能性・エネルギーセンターを率いている。TEDスピーカーであり、ノルウェー議会議員(2017年~2018年)を務めたほか、クリーンエネルギー企業を共同で設立。著書に『Tomorrow’s Economy』、『What We Think About When We Try Not to Think About Global Warming』等がある。

日本語翻訳版への推薦の言葉

人類と地球の危機はもはや待ったなしの段階を迎えている。新型コロナウイルスとロシアのウクライナへの軍事侵攻によってさらに緊急度は増した。本書は世界の最先端を走る科学者と経済学者による「変革のための経済学委員会」の助言に基づき、ウェルビーイングと社会的緊張という2つの指標を使って小さすぎて手遅れになるシナリオと大きな飛躍をするシナリオを示す。その上で、地球の限界内で大きな飛躍につながる劇的な方向転換をするための5つの有効な対策を緊急提言する。複雑に絡み合うSDGsと環境問題は同時に解決へ導く必要がある。政策だけでなく、あらゆる人にとって暮らしを見直す処方箋が提示されている。

山極 壽一 様 総合地球環境学研究所所長

「成長の限界(ローマクラブ著)」が、人類の未来に警鐘を鳴らしてから半世紀が過ぎたが、 いまだ問題の根本的な解決には至っていない。本書は、危機の本質を鋭くとらえ、グロー バルな視点から根本的解決のための大胆かつ斬新な提言を示すことで、持続可能な未来に 向けて、社会課題解決に取組むすべての人々に多くの示唆を与えてくれる。 長年、日本を含むアジア太平洋地域において、大胆な変革を促す政策研究を推進してきた IGESが、本書を分かりやすく翻訳していただいたことに感謝を申し上げると共に、本書 が、変革の推進力となるべき経済界をはじめ、各方面で広く読まれることを期待したい。

西澤 敬二 様 損害保険ジャパン株式会社 取締役会長

本書の特徴は、従来のGDPを基準とした成長指標から脱却し、ウェルビーイングと社会的緊張という二つの指標を基準としたシナリオ分析をもとに、貧困・不平等といった人類の抱える根本的な問題を克服し、同時に気候変動と環境破壊から地球を救う、5つの「劇的な方向転換(extraordinary turnarounds)」の具体的な方法を提案している点にある。人類全体が直面する様々な危機を乗り越えるために、我々市民を含む、幅広いステークホルダーによる協働と支援が必要となっている現在だからこそ、多くの人に手に取っていただきたい良書である。

石井 菜穂子 様 東京大学理事、未来ビジョン研究センター教授、グローバル・コモンズ・センター ダイレクター

原著への推薦の言葉

終わりのない成長の時代から、バランスよく繁栄する時代へとシフトする時が来た。この示唆に富む分析はそのための5つの重要な方向転換を示しており、それぞれがさらなる議論と行動を促す喫緊の課題を提起している。本書を読んで、人類の未来の可能性を探り、現代における最も重要な議論に参加してほしい。

ケイト・ラワース 様 『ドーナツ経済』著者

素晴らしい協働作業により作成されたこの息をのむような作品は、私たちの心と能力を結集すれば、万人にとってより良い世界を構築することができるという証拠を、今一度世界に提供している。代替案が悲惨な地球ということであれば、繁栄する地球という選択をするしかないであろう。

マティース・ワケナゲル 様 グローバル・フットプリント・ネットワーク創設者 『エコロジカル・フットプリント』共著者

もし私たちが1972 年の 『成長の限界』 にもっと注意を向けていたら、現在とは違う状況になっていたであろう。本書のモデルが明らかにしているように、この10年間は、少なくとも部分的には正しい行動をとる最後にして最大の希望なのかもしれない。

ビル・マッキベン 様 『自然の終焉』著者

システム科学によりここに描かれた人類の未来のシナリオは、最新かつ緊急で、最も注意深く行われた研究の成果であり、地球の崩壊を阻止しようとする者にとって必読の書である。しかし、本書の提言が世界中の政策決定者に受け入れられ、21世紀の残された時間で、世界規模の生態的、経済的、社会的な崩壊を回避できるかどうかは、私たち次第である。

リチャード・ハインバーグ 様 ポストカーボン研究所 上級研究者 『Power: Limits and Prospects for Human Survival』著者

特別な時代における特別な一冊。現在および将来のリーダーたちにとって、『万人のための地球』は必読の書である。本書は、限りある地球上で、どの国においてもすべての人にウェルビーイングを確保する方法について、具体的かつ画期的なビジョンを示している。今後10年間で、持続可能な開発目標(SDGs)の実現を加速させるためのロードマップである「5つの方向転換」を実施すれば、私たちは真に公平な世界を共に築くことができる。本書が、かけがえのない人類を救済しようとする心と魂の新たなムーブメントを呼び起こすことを願っている。

パン・ギムン(潘基文) 様 第8代国連事務総長 エルダーズ 副代表

『万人のための地球』は、地球に住む人類の未来は、社会経済的な不平等を徹底的に是正し、富と権力をより公平に分配できるかにかかっている、と明確に示している。“万人のための地球”が実現する社会に向けた私たちの長い旅に欠かせない一冊である。

トマ・ピケティ 様 『21世紀の資本』『A Brief History of Equality』著者

『万人のための地球』で探求されたアイデアは、世界中のすべての議会において議論されるべきものである。私たちは、利益よりも人類を優先するように経済を変えていく必要がある。気候危機が世界中の貧しく脆弱なコミュニティに与えている損失と損害に対して、富裕層や汚染者は自らの責任分を支払う必要がある。すべての人にとって公平で公正な世界を築くべき時はとうに過ぎている。

ヴァネッサ・ナカテ 様 環境活動家 アフリカを拠点とする「Rise Up Movement」創設者

本書は、人類史上最も重大な10年に人類が直面しているその時に届けられた。今、私たちが何をするかにより、守るべき未来があるかどうかが決まる。私たちが生き残るためには、私たちが直面している現在の様々な危機が互いに関連しているということを理解する必要がある。『万人のための地球』はこの理解をもとに、利益や成長ではなく、人々と地球のウェルビーイングを第一に考える道を提示している。

クミ・ナイドゥ 様 「Africans Rising for Justice, Peace, and Dignity」グローバルアンバサダー

現在の経済モデルを守ろうとする人間の行動は、これまで以上に地球を破壊し、貧困、不平等、排除を生み、健康リスクに効果的に対応できず、紛争を煽っている。つまり、私たちの仕事やミュニティ、そして共通の安全を脅かしているのである。『万人のための地球』は、人々と地球を中心とした共通の未来のために、今世紀を生き抜くための行動を呼びかけるものである。これは無視できないロードマップなのである。

シャラン・バロウ 様 国際労働組合総連合(ITUC)書記長

『万人のための地球』は、現在も続く社会全体の成長への依存を乗りこえ、持続可能でかつウェルビーイングを確保する未来への道筋を描いている。私たちは今、かつてないほどそれを必要としている。

ロバート・コスタンザ 様 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) グローバル繁栄研究所(IGP) 生態経済学 教授

「料理人」が多いと料理がまずくなると言うが、本書の場合は、「シェフ」なので話は別である。多くの執筆者によって書かれた『万人のための地球』は、非常に満足度の高い思考の糧と、行動に必要なカロリーの高い燃料の両方を提供している。「小出し手遅れ(Too Little, Too Late)」と「大きな飛躍(The Giant Leap)」という2つのシナリオは、読者が直面している現実を直視する助けとなっている。また、変化のためのレシピの提案は、未来を重視し、すべての人のより良い社会を追求する準備がある私たちの指針となるものである。

ジョン・エルキントン 様 ヴォランズ 創業者兼チーフポーリネーター 『Green Swans: The Coming Boom In Regenerative Capitalism』著者

1972年に発表された『成長の限界』の中で織り込まれたリスクを軽減するために、その後50年間、私たちは全体として何の行動もしてこなかった。『万人のための地球』は、その遅れを取り戻すための戦略(プレイブック)である。ただし、今回は、50年という時間はない。5つの重要な方向転換に急いで取り組む時間はせいぜい10年しかない。世界が求めている、システムを変えるようなリーダーにあなたや私がなるためには、この5つをロードマップとすることから始めなければならない。これらを緊急のTo Doリストに加える必要がある。

エマニュエル・ファベール 様 Earth4All メンバー 21世紀変革のための経済学委員会

世界が直面する複数の危機を検証し、現実的な解決策を提示するというのは、非常に野心的な仕事である。本書で提示されている解決策は、崩壊したシステムの恩恵を受けている人々にとっては困難なものかもしれない。しかし、地球には限界があり、行動しなければ非常に高い対価を払うことになるのは事実である。今すぐ行動を起こすか、制御不能な混乱に直面するかのどちらかなのである。世界のリーダーは、必要なことをすべて行うのは不可能であると主張するかもしれないが、もし本書を読んで何もしないのであれば非常に残念なことである。

ニモ・バッセイ 様 『To Cook a Continent: Destructive Extraction and the Climate Crisis in Africa』著者

タイムリーかつ素晴らしい本。『万人のための地球』は、惑星としての“地球”を守りながら経済を変革し、貧困を克服するための具体的なロードマップを描いている。草の根グループや各国の指導者の両方にインスピレーションを与える一冊である。私たちにこの声は届いているだろうか?そして私たちは本当にこの変化を起こせるのだろうか?

シーラ・パテル 様 ムンバイ Society for Promotion of Area Resource Centres(SPARC) 創設者兼ディレクター

『万人のための地球』は、地球と人々が直面している課題を克服するために必要となる方向転換の方法を示している。全力を尽くして変革のムーブメントに参加したい、そのような人にとって必読の書である。

ケイト・ピケット 様 ヨーク大学 疫学教授

『成長の限界』から50年、『万人のための地球』は地球上のすべての人のために豊かな未来を築くことは可能であるとし、その方法を示している。本書は、政策立案者やリーダーにとってまさに必読の書である。この10年が、地球は本当に万人のものであるべきだということを理解する、決定的な年になることを願っている。

ジャネス・ポトクニック 様 元欧州委員会環境担当委員 元スロベニア欧州担当大臣 国連環境計画国際資源パネル(UNEP-IRP)共同議長

『万人のための地球』は、限りある地球上のすべての人にとって実現可能で豊かな未来に向けた、特別で歴史的かつ画期的なガイドである。私の一番の推薦書である。是非本書を読んで、共有し、そして議論してほしい。

デビッド・コーテン 様 『グローバル経済という怪物:人間不在の世界から市民社会の復権へ』『ポスト大企業の世界: 貨幣中心の市場経済から人間中心の社会へ』『Change the Story, Change the Future: A Living Economy for a Living Earth』著者

私は、『成長の限界』をいつも手の届くところに置いている。これからは、『万人のための地球』も一緒に置いておこうと思う。「よき祖先でありたい」と願うすべての人にとって、欠かせないガイドブックである。

ローマン・クルツナリック 様 『グッド・アンセスター: わたしたちは「よき祖先」になれるか』著者

私たちの未来について、理想郷でも崩壊でもなく、政治的党派を超えて支持できるナラティブを、私たちは初めて手に入れた。それは、志の高い未来であり、すべての人にとって住みやすい未来についてである。最も重要なのは、それは達成可能だということだ。

カルロタ・ペレス 様 『Technological Revolutions and Financial Capital』著者

不公平で持続可能でない消費パターンが引き起こす多くの環境問題は、ますます人類の健康を脅かしている。『万人のための地球』が提案する経済変革は、すべての人の健康の実現を支持し、世界中の社会がプラネタリーバウンダリーの範囲内で繁栄する可能性を提供している。未来を憂慮するすべての人が読むべき1冊である。

アンディ・ヘインズ 様 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院 環境変動学及び公衆衛生学 教授

必要とされる深い文化的・精神的革命や、そのために利用できる多様な宇宙論については不思議なほど沈黙しているが、著者が提案する大きな飛躍シナリオの5つの柱である貧困、不平等、ジェンダー、食料、そしてエネルギーの転換は、私たち自身と地球との平和のために必要な根本的変革に不可欠なものである。

アシッシュ・コタリ 様 カルパブリクシュ及びグローバル・タペストリー・オブ・オルタナティブズ 『Pluriverse』共同編集者

将来を展望した『成長の限界』の出版から50年、ローマクラブのこの新しい報告書は、気候の大惨事を避け、すべての人にとってより良い社会を築くために、今ここで社会経済を変革する、そのための最も説得力があり、かつ実践的な青写真を提供している。

ロレンツォ・フィオラモンティ 様 『The World After GDP: Economics, Politics and International Relations in the Post-Growth Era』著者、イタリア議会議員

『万人のための地球』は、不平等と貧困との闘いが、気候変動を食い止め地球を守るための前提条件であることを明確に示している。本書は、世界中のすべての政府に対して、経済システムのアップグレードを求めるものである。必読の書である。

Jane Kabubo-Mariara 様 アフリカ生態経済学会 会長

『万人のための地球』は、人類と自然が調和し、経済システムの中核にウェルビーイングが存在する未来へのビジョンを示している。また、そこに至るために必要なアクションも提示している。本書は、政策立案者にとって必読の書である。

エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー 様 ローマクラブ名誉会長

生態系の崩壊を回避する上で、歴史上今しかないこの決定的な瞬間は、人類と生態系がともに繁栄する目的を、人類が再び発見する重要な機会でもある。『万人のための地球』は、そのために私たちは、どこからどのように始めるべきかを教えてくれる。

ガヤ・ハリントン 様 シュナイダーエレクトリック社 ESGリサーチ担当バイスプレジデント

「何が良い投資なのか」、「何が社会にとって良いことなのか」の違いを見極めるのは難しい。『万人のための地球』は、結果を求める投資家にとって必読の書であり、新しい強力なフレームワークを提供している。

ダグ・ヘスク 様 Newday Impact Investing創設者

これは、厳密に統合された思考の結果であり、私たちの時代の課題に答えてくれる信頼できる作品である。『万人のための地球』は、繁栄する自然システムと再生型農業モデルに支えられた、包括的でクリーンな新しい経済の達成に向けた科学的に検証された道筋を描いている。すべての政策立案者が採用すべきものである。

チャールズ・アンダーソン 様 国連環境計画・金融イニシアティブ 元ディレクター CO2eco 会長

『万人のための地球』は、不平等と貧困を克服し、同時に気候変動と環境破壊から地球を救うという、現代における最大の難題に鋭く迫っている。経済の変革を求める本書の喫緊の呼びかけは、私たちのリーダーへの呼びかけでもある。私たち皆にとって必読の書である。

石井 菜穂子 様 東京大学教授,理事/地球環境ファシリティ(GEF)元CEO

頑固な楽観主義と固定化された悲観主義。長期的なビジョンと短期的な反応。集団的知性と個人主義。人間のウェルビーイングと衝動的な消費。未来を大切にすることと未来を割り引くこと。住みやすい地球と不安定な地球。豊かな共通の未来のために、私たちが取るべき選択肢は明確である。崩壊した社会経済モデルの不均衡を是正するために行動を起こすことが急務となっている。しかし、必要なシステムの変革をどのように明確化するか、それに伴う複雑さをどのように管理するか、すべての関係者をどのように建設的に巻き込むか、さまざまな関係者の動きをどのように関連付けるか、戦略的変革の優先順位をどうするか、結果をどう測定するか、そしてリスクをどう予測し軽減するかなど・・・明確にすべきことが山積している。そしてここで 『万人のための地球』が救いとなる。これは、現代の最も著名な思想家、科学者、経済学者による、ポジティブな変革に対する信頼に値する提案である。それは、公正な世界と健全な地球を実現するという、私たちの世代が直面する課題に対する見方を変える「再調整されたレンズ」である。そして、それは課題を探求し、深く掘り下げ、インスピレーションを得るための新たな「地図」である。私たちの未来を大切にする政策立案者はもちろん、企業のリーダー、責任ある投資家、そして世界中の一般市民にとって必読の書である。『万人のための地球』は共通の利益のために、社会的・政治的変化をもたらす行動と運動を呼びかけている。『万人のための地球』は、『成長の限界』のレガシーに触発されているが、それをはるかに超えるものである。本書は、私たちの多くが待ち望む未来へと飛躍するガイドである。これは、私たちの時代の物語であり、見過ごすことのできない物語なのである。

テレサ・リベラ 様 スペイン政府 副首相兼環境移行・人口問題大臣

時宜を得ており重要な本である。人類の共有の未来の改善に向けた大きな貢献である。

Jinfeng Zhou 様 中国生物多様性保護及び緑色発展基金会 事務局長

『万人のための地球』 は、グローバルかつローカルな行動に基づく、実現可能な未来へのビジョンである。私たちは、本書が誠実で率直な対話のきっかけとなり、世界中の人々が自分たちの社会を再設計する一助となることを願っている。

チャンドラン・ナイ―ル 様 『Dismantling Global White Privilege: Equity for a Post-Western World』著者

  • 第1章 万人のための地球:健全な惑星で世界的な公正を実現するための5つの劇的な方向転換

    1. ブレークダウンかブレークスルーか?
    2. 未来シナリオの来歴
    3. 「成長の限界」から「プラネタリーバウンダリー」へ
    4. 「万人のための地球」構想
    5. 経済システムの変革への人々の支持
  • 第2章 「小出し手遅れ」か「大きな飛躍」か:2つのシナリオの検討

    1. 1980年から2020年までの簡潔なレビュー
    2. シナリオ1:「小出し手遅れ」シナリオ
    3. シナリオ2:「大きな飛躍」シナリオ
    4. 私たちは協働してどのようなシナリオを創っていくのか?
  • 第3章 貧困との訣別

    1. 私たちの現在の問題は何か?
    2. 貧困の方向転換:課題への挑戦
    3. 解決策1:政策策定範囲の拡大と債務への対応
    4. 解決策2:金融構造を変革する
    5. 解決策3:世界貿易を変革する
    6. 解決策4:技術へのアクセスの改善と技術のリープフロッグ
    7. 解決策を阻むもの
    8. 結論:貧困の方向転換
  • 第4章 不平等の方向転換:「配当の共有」

    1. 経済的不平等の問題点
    2. より大きな公平性に向けた大きな飛躍
    3. 平等のレバーの障壁を克服するために
    4. 結論
  • 第5章 エンパワメントの方向転換:「ジェンダー平等の実現」

    1. 人口
    2. すべてを方向転換させる
    3. 教育を変革する
    4. 経済的自立とリーダーシップ
    5. 安心できる年金と尊厳ある老後
    6. 結論
  • 第6章 食の方向転換:食料システムを人間と地球の健康に寄与するものにする

    1. 地球の生物圏の消費
    2. 解決策1:農業に革命を起こす
    3. 解決策2:食生活を変える
    4. 解決策3:食料のロスと廃棄をなくす
    5. 障壁
    6. 結論
  • 第7章 エネルギーの方向転換:「すべてを電化する」

    1. 課題
    2. 上を見ないで
    3. 解決策1:システム効率化の導入
    4. 解決策2:(ほとんど)すべてを電化する
    5. 解決策3:新たな再エネの指数関数的な成長
    6. Earth4Allの分析に見るエネルギーの方向転換
    7. 障壁
    8. 結論
  • 第8章 「勝者総取り」資本主義からEarth4All経済へ

    1. 新たな経済運営システム
    2. レンティア資本主義の台頭
    3. 人新世におけるコモンズの再考
    4. 従来型の経済のゲームボード
    5. ゲームボードを描き直す
    6. 短期主義:寄生的な金融システムへの道
    7. システムチェンジの具体化
    8. システムの失敗を解決する
    9. 結論
  • 第9章 今こそ行動を

    1. 「万人のための地球」は思ったよりも近くにあるか?
    2. 湧き上がる声

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