UNFCCC COP27 特集

2022年11月6日(日)から11月18日(金)にかけて、エジプト シャルム・エル・シェイクで国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催されます。このページでは、IGES研究員がCOP27に先立ち開催される気候変動に関する交渉会議や様々な重要なイベントを織り込みながら、COP27を解説します。IGESが出版した関連出版物や、COP27の開催期間中のサイドイベントの情報も随時アップデートします。
 

新着情報

 

研究者の視点

補助機関会合(SB56)速報 UNFCCC事務局長 Espinosa氏の記者会見のポイントと質疑応答

高橋 健太郎 気候変動とエネルギー領域 副ディレクター

補助機関会合の初日、6月6日に開催された、UNFCCC事務局長 Espinosa氏の記者会見のポイントと質疑応答をまとめました。

  • COP26から世界の状況は全く変わった。1.5℃達成への道のりは未だ遠く困難である。世界のエネルギー市場の混乱、クリーンエネルギーへの投資、そして食糧危機も発生。加えて、開発途上国の経済のグリーン化に取り組むために必要な財源の一部が、他の目的に使われる危険性があることも分かっている。
  • COP26、国際社会は、パリ協定実施のためのガイドラインの大枠を最終化したが、COP27でも前進を止めてはならない。緩和、適応、実施手段、資金だけでなく、能力開発、技術移転、損失と損害を含めたバランスのとれた成果を出さなくてはならない。とりわけ未解決の資金については、調達に関して特に難しい時期であることを強く認識しており、世界が団結していることを示す必要がある。
  • NDCに関する5年サイクルは、1.5度の目標に向けて前進するには十分ではないという事実が認識されたことはグラスゴーの成果であった。これまでのところ、UNFCCCは、数件のNDCの更新を受け取ったのみである。各国はそれぞれのNDCの見直しを行う必要がある。
  • グラスゴーでは、最も脆弱な途上国の主要な懸念事項の一つとして、適応の重要性が明確に取り上げられ、適応に関する新たな世界目標を定めるためのプロセスを開始することが決定。SB56ではその対話を開始する。サンティアゴ・ネットワークは、損失と損害の問題について途上国に技術的な助言などを提供することを目的としたネットワークで、これを完全に稼働させる必要がある。
  • SB56のセッションで議論されるもう一つの重要な点は、グローバル・ストックテイク(GST)の準備。GSTは気候変動への取り組みの現状について、各国および利害関係者に詳細な情報を提供するもの。

質疑応答では、「損失と被害」への意欲を確認する質問が目立ちました。

COP27では適応、損失と被害が主な課題となるが、SBIプレナリーでは、LMDC(Like-Minded Developing Countriesが議題を提案し、先進国と途上国との間で緩和と適応が同じものとして取り扱われていないと議論された経緯があった。なぜ損失と被害は具体的な提案がなされるまで議題にならなかったのか。
エスピノーザ事務局長:締約国主導のプロセスであり、検討のために用意された暫定議題は、様々なマンデートなどを分析し、作成したものである。議題に含まれていないからと言って、無視したわけではない。最も関心の高い問題に集中的に取り組むことができるよう、会議を合理化・強化していく。
緩和と適応のバランスについて多くの途上国が懸念しているが。
エスピノーザ事務局長:時間の使い方にもよるが、提示されるべき重要な問題について、どれだけ議論を深めることができるかによる。各国が生産的な議論を行うよう心がけている。
ウクライナ戦争が交渉に影響を与えるか?
エスピノーザ事務局長:ウクライナの戦争の影響を懸念している。例えばエネルギー市場におけるオプション、食糧安全保障の危機等の問題がある。しかし非常に困難な状況でも、紛争の解決策や平和的解決策を模索し、気候変動に関するアジェンダを実現するための努力を続ける必要がある。
過去のイベント
気候変動ウェビナーシリーズ

世界のカーボンクレジットの最新動向 ~VCMIガイダンス案から学ぶ~

COP26でパリ協定6条に関するルールの大枠が合意されてから、世界ではカーボンクレジットに関する様々な取り組みやイニシアティブが立ち上がっています。 5月24日に開催された日米豪印首脳会合(QUADリーダーズミーティング)や5月26~27日に開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合においてもパリ協定6条やクレジットについて言及され関心の高さが伺える一方、クレジットの使用に対しては警鐘を鳴らす動きもあります。カーボンクレジットはどのような方向に向かっているのでしょうか。...
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パリ協定6条の2022年の議論~COP27に向けて~

2021年11月に英国・グラスゴーで開催されたCOP26では、パリ協定6条に関するルールの大枠が合意されました。COP26から約半年がたち、いよいよCOP27に向けた交渉が行われます。来月6月6日からは第56回科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)及び実施に関する補助機関(SBI)会合がドイツ・ボンにて開催され、6条に関しては、二重計上を防止する為の相当調整の手法、6条の報告や審査、CDMプロジェクトやCERクレジットの移管に関する手続き等...

関連出版物

ファクトシート

2021年11月に開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議(COP26)において、パリ協定の世界全体の進捗状況を評価する仕組みであるグローバル・ストックテイク(Global Stocktake:GST)が開始された。これを受けて2022年3月以降、UNFCCC事務局は4つの統合報告書を公開した。これらの統合報告書は、国連気候変動政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書等の様々な情報源と共に、GSTの技術的評価に情報を提供している。
本稿では4つの統合報告書のうち、『適応に関する取り組み、経験、優先事項の現状に関する統合報告書』(UNFCCC, 2022 )のポイントを解説する 。同報告書は、 (1)...

ブリーフィングノート

 2022年6月、ドイツ・ボンで開催された国連気候変動枠条約(UNFCCC)第56回補助機関会合(SB56)において、まだ一部手探りの状態ではあったが、第1回グローバルストックテイク(GST)の第1回技術的対話が実施された。パリ協定の下で実施される各国の行動・支援は、世界全体で見て長期目標の達成に足りているのか。足りない場合、いかに各国の目標引き上げにつなげられるか。この重要な問いに答えるべく1回目の技術的対話が予定の通り実施されたことは歓迎すべきである。 

Associated Staff