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2022年11月、エジプト・シャルムエルシェイクで開催された気候変動枠組条約(UNFCCC)第27回締約国会議(COP27)において、第1回グローバル・ストックテイク(GST)の第2回技術的対話と交渉会合が開催された。
2022年6月に実施された第1回技術的対話ではパリ協定の実施におけるギャップや課題が多く特定された。第2回技術的対話ではこうしたギャップや課題はどのように埋められるかが議論の焦点であった。交渉会合では2023年のCOP28で実施される「成果物の検討」フェーズに向けた準備に関する議論に注目が集り、2023年に2回の追加会合を実施することが合意された。
IGESはGST成功の鍵の1つとして非政府アクターのGSTへの関与の重要性を強調してきた。第1回技術的対話に続き、各国政府と非政府アクターの平等な参画も実現した。人数は少なかったものの、ユースが対話に参加している姿が見られたことも印象的であった。UNFCCCの公式なプロセスの中で、政府と非政府アクターが同じ空間で平等に意見交換を行う機会は非常に限られている。GSTでこのような場が確保されていることの重要性を改めて強調したい。他方、緩和、適応、実施手段と支援の全てのテーマの議論において民間部門の関与の重要性が強調された一方、肝心の民間部門からの参加者はほとんどいなかった。技術的対話に参加できずGSTのプロセスから取り残されているステークホルダーの関与を促す必要がある。
緩和、適応、実施支援と手段の全てのテーマ分野の議論を通じて「意志が不可欠だ」という共通のメッセージが聞きかれた。明確で確固たる意志がなければ、システムの根本的な変革は難しい。非政府アクターの包括的な参画の実現はゴールではなく、彼らのメッセージを受け止め、NDC更新に活かすのは各国政府である。2023年はGSTの結果が出る年であり、各国政府がどれだけ主体的にGSTに参加し、野心引き上げに向けた意思を示せるかが注目される。
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