COP第1週目の経過に関して
適応COPやアフリカCOPとも称されるCOP27を象徴するように、議長国エジプトは8日、独自のイニシアチブとして、今後10年の間に取り組む具体的な目標が定められた「シャルムエルシェイク適応作業計画」を発表し、各国やステークホルダーに参画を呼びかけました。本計画の進捗状況はCOP28で報告される予定です。同日に国連が、見せかけのネットゼロ、またグリーンウォッシングの排除を目指しネットゼロに関する基準を公表しました。
9日は、ジョン・ケリー米気候問題担当大統領特使が新たなカーボンクレジットの認証制度の創設を発表し注目されました。民間資本を後押しすることを狙いとする本プログラムには、オフセットに反対する環境団体等からの批判の声が上がっています。
11日に公開された最新の報告書は、2022年の世界CO2排出量は前年比1%の増加となると指摘し警鐘を鳴らしました。
注目される損失と損失と損害への資金支援については、新たな資金ファシリティの創設を求める小島嶼国等と、既存の支援枠組みの活用を求める先進国が、支援の緊急性や重要性と既存の枠組みで支援されていない特定の分野の存在に関して共通の見解を得ました。特定の分野には、海面上昇などのSlow onset eventと呼ばれる遅発性影響や、生態系や文化的価値の損失などの非経済的損失等が挙げられています。損失と損害については会場外でのデモの様子が報道されましたが、今回のCOPでは制限された表現の自由についても批判が高まっています。
2025年以降の新しい資金目標を検討する新規合同数値目標(NCGQ)に関しては、今年の専門家対話とハイレベル対話のプロセスから抽出されたイシューや教訓をもとに、来年以降の議論の進め方や優先議題について議論が進んでいます。
COP第2週目以降
COP27は損失と損害に関わる基金の創設を巡り交渉が難航し会期が延長、「とりわけ脆弱な」途上国の支援を対象とすることで合意しました。運営や拠出者など、基金の詳細についてはCOP28に持ち越されます。気候変動の緩和策については、踏み込んだカバー決定にはならず、勝負の10年間の野心引き上げに向けた作業計画も十分なものとはなりませんでした。他方で、交渉の外側では、石炭火力の早期閉鎖に向けたパートナーシップの拡大などの成果もありました。1.5℃目標を達成するためには、時間が差し迫っており、今後の国際社会のさらなる行動強化が求められます。COP27の結果報告では今回決定されたこと、されなかったことについて現地から戻った研究員がレポートしたほか、COP28に向けた2023年の見通しについても解説しました。
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イベントの詳細
オンライン
発表資料
テーマ | 発表者 | ||
14:00-14:18 | 総論 | 田村 堅太郎 気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター | PDF (2.3MB) |
14:18-14:36 | 適応・損失と損害 | 椎葉 渚 適応と水環境領域 研究員 | PDF (1.3MB) |
14:36-14:54 | 資金 | 大田 純子 北九州アーバンセンター 研究員 | PDF (1.9MB) |
14:54-15:02 | GST | 津久井 あきび 気候変動とエネルギー領域 プログラムマネージャー | PDF (1.5MB) |
15:02-15:10 | パリ協定6条 | 髙橋 健太郎 気候変動とエネルギー領域 副ディレクター | PDF (2.1MB) |
15:10-15:30 | 質疑応答 |