アジア太平洋地域気候ウィーク(APCW)2021 特集

2021年は、世界全体で気候変動行動を起こす歴史的な年です。COVID-19の回復において、世界的な気候野心を高め、10年間の行動を開始する私たちの機会となります。2021年7月6~9日、アジア太平洋地域気候ウィーク(Asia Pacific Climate Week: APCW)2021がオンラインで開催されます。APCW2021は、日本政府がホスト国として主催し、IGESは地域パートナーとして、このAPCW2021の開催を支援すると同時に、アジア太平洋地域の持続可能な開発を推進する研究機関として参加します。APCW2021に関する詳細情報は国連気候変動枠組条約事務局のホームページにて、公開されています。

このページではAPCWに関する解説や、IGESが主催するイベントに関する情報、IGESの関連出版物などをご紹介します。


APCW2021主催者

コアパートナー:国連気候変動枠組条約事務局、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)、世界銀行グループが共催。
地域パートナー:IGES、アジア開発銀行、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)

地域気候ウィーク(Regional Climate Week)の概要

地域気候ウィーク(RCW)は、国・地方自治体・都市・民間部門・金融機関・市民社会などの代表が気候変動問題に対応するために一緒に議論するユニークな共同プラットフォームです。RCWには、地域全体で草の根の知識とベストプラクティスを共有する一連のイベントが含まれています。3月3-4日までオンラインで地域気候ウィークラウンドテーブルが開催されました。今後、中南米・カリブ海、アジア太平洋地域、アフリカ、中東・北アフリカでも開催されます。

Regional-Climate-Weeks
  • 中南米・カリブ海気候ウィーク(2021年5月11~14日)
  • アジア太平洋気候ウィーク(2021年7月6~9日)
  • アフリカ気候ウィーク(2021年7月26~30日:予定)
  • 中東・北アフリカ気候ウィーク(2022年3月2~3日:予定)

参加登録はこちら(英語)

国連気候変動枠組条約事務局 プレスリリース(2021年2月1日)
https://unfccc.int/news/regional-climate-weeks-to-drive-forward-climate-action-in-2021-and-2022

APCW2021でのIGES関連イベント

視聴をご希望の場合は、以下のリンクからAPCWにご登録ください。視聴方法や各セッションの詳細、録画映像等はご登録後、Meeting Calendarからご確認いただけます。
ご登録はこちら:https://unfccc.int/APCW2021(英語のみ)

 
2021年7月6日 10:00 - 10:30 

アジア太平洋気候ウィーク 開会プレナリー

IGES 登壇者

武内 和彦 IGES 理事長

録画映像 ※ 視聴にはAPCWへの登録が必要です

https://events1.social27.com/apacclimateweek2021/agenda/player/112213(英語のみ)

 
2021年7月6日 11:00 - 13:00

セッション1:長期計画と国の目標

IGES 登壇者

田村 堅太郎 IGES 気候変動とエネルギー領域 ディレクター

イベント概要

本セッションでは、NDCの更新に関する経験を共有することで、政府や非政府のステークホルダーが、プロセスや野心を通じてNDCを強化するための努力について学んだ教訓を提供することを目的としています。また、各国が新たに提出したNDCやGHG排出量削減のための長期戦略に基づいて、どのように国(および地域レベル)の開発計画を方向付けているかを見ていきます。IGES田村堅太郎ディレクターがモデレーターとして参加します。 本イベントは、IGES・NDCパートナーシップ・国連環境計画(UNDP)の共催で開催します。

録画映像 ※ 視聴にはAPCWへの登録が必要です

https://events1.social27.com/apacclimateweek2021/agenda/player/112214(英語のみ)

 
2021年7月7日 8:00 - 8:55

APCW サイドイベント:気候変動の緩和と適応のための森林機能の活用

IGES 登壇者

山ノ下 麻木乃 IGES 生物多様性と森林領域 ジョイント・プログラムディレクター
久保 英之 IGES 生物多様性と森林領域 リサーチマネージャー

イベント概要

気候変動の課題に対処するためには、緩和策と適応策の両方を検討する必要があります。森林生態系とその管理は、緩和策と適応策の両方に貢献することができます。森林による緩和策としては、パリ協定において、途上国の森林減少・劣化による温室効果ガスの排出を削減する枠組みであるREDDプラスの重要性が確認されています。一方、第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」では、気候変動への適応と、気候変動による災害の影響を軽減する森林の役割が強調されています。

このサイドイベントでは、熱帯地方における気候変動の緩和および気候変動への適応における森林の可能性を探ります。また、本イベントでは、森林を利用した緩和策や適応策の可能性だけでなく、それらを実現するための障害についても議論します。本イベントにはIGES 生物多様性と森林領域の山ノ下ジョイント・プログラムディレクター、久保リサーチマネージャーが「地域社会の幸福(ウェルビーイング)のための森林-気候変動の緩和と適応を両立させるアプローチ」について発表します。 本イベントは、国立研究開発法人森林研究・整備機構が、国際林業研究センター (CIFOR)、IGES、国際熱帯木材機関 (ITTO)、Oscar M. Lopez Center (OMLC)、ベトナム森林科学アカデミー(VAFS)、国際アグロフォレストリー研究センター (ICRAF)と協力して開催します。

イベントページ

http://redd.ffpri.affrc.go.jp/events/seminars/2021/20210707_ja.html

YouTube Live配信

https://youtu.be/QCnRGKwNMXM

 
2021年7月7日 15:00 - 16:30

炭素市場参加のための能力開発

IGES 登壇者

高橋 健太郎 IGES 気候変動とエネルギー領域 副ディレクター

イベント概要

多くの国が、NDC目標を達成するために、炭素市場の利用を意図している、あるいは検討する意思があることを表明しています。その一方で、多くの途上国が、こうした機会を十分に活用できるようにするためのキャパシティ・ビルディング支援の必要性を強調しています。本セッションでは、炭素市場メカニズムが開発・実施された、あるいは検討されている特定のケーススタディを見ながら、どのような機会があるのかを議論します。また、キャパシティ・ビルディングの観点から、何がうまくいったのか、なぜうまくいったのか、参加を促進するための障壁はどこにあるのか、といった点にも焦点を当てます。IGES高橋健太郎副ディレクターがパネリストとして参加します。 本イベントは、ウィルトン・パークが、英国政府とともに、COP26「Catalyst for Climate Action」の事務局として開催します。ウィルトン・パークは、英国外務・連邦・開発省の機関です。

アジェンダ

https://www.wiltonpark.org.uk/wp-content/uploads/2021/07/Carbon-Markets-provisional-programme-COP26-Catalyst-Asia-Pacific.pdf

登録ページ

https://wiltonpark-org-uk.zoom.us/meeting/register/tZUudu2srjMsG9zW3BXGww8LHkQy2oiyRedS

 
2021年7月7日 17:00 - 18:30

透明性と報告のためのキャパシティ・ビルディング

IGES 登壇者

梅宮 知佐 IGES 気候変動とエネルギー領域 リサーチマネージャー

イベント概要

透明性報告は、温室効果ガスの排出量、NDCや適応計画の達成状況を報告する強力なメカニズムであり、パリ協定の下で野心的な成果を達成するための鍵となります。すべての国が、透明性向上フレームワークの下で、排出量、気候変動対策、支援に関する信頼性、透明性、包括的な情報を作成できるようになる必要があります。持続的なアプローチを実現するためには、支援の移転と長期的なキャパシティ・ビルディングが不可欠です。本セッションでは、透明性と報告に関する活動を紹介し、既存の支援、課題、地域内外での経験を紹介します。
IGES梅宮知佐リサーチマネージャーがパネリストとして参加します。

本イベントは、ウィルトン・パークが、英国政府とともに、COP26「Catalyst for Climate Action」の事務局として開催します。ウィルトン・パークは、英国外務・連邦・開発省の機関です。

登録ページ

https://wiltonpark-org-uk.zoom.us/meeting/register/tZUpceqsrjgjHtaphumoowemGaRRhRpHgOpP

 
2021年7月8日 11:00 - 11:55

効果的な科学的知識の共有と適応能力の向上による気候変動に強い社会

IGES 登壇者

ピーター・キング IGES バンコク地域センター シニアアドバイザー

イベント概要

気候変動に強い社会を構築するためには、気候科学、政策、行動の効果的な相互作用が鍵となります。また、パリ協定でも言及されているように、気候変動がもたらす多くの課題に対処するために、途上国の気候関連のキャパシティビルディングを強化する必要があります。本セッションでは、気候変動に強いアジア太平洋地域を実現するために、科学的根拠に基づいた戦略的計画や適応策の実施に、科学をどのように活用できるかについて、グッドプラクティスを共有することに焦点を当てます。また、科学的知識をエンドユーザー(個人や機関)に効果的に提供する方法や、情報を利用して様々な分野でレジリエンスを構築するための能力を強化する方法についても議論します。本セッションでの議論を通じて、将来の行動に関するさまざまな提言がなされる予定です。

アジェンダ

PDFダウンロード(224KB)

登録ページ ※ 視聴にはAPCWへの登録が必要です

https://events1.social27.com/apacclimateweek2021

関連出版物

他機関出版物の翻訳
著者:
Global Commission on Adaptation
World Resources Institute
世界適応委員会(GCA)は、適応を目的とした自然に基づく解決策(NbSA)に関連する資金の全体評価を世界で初めて行い、ワーキングペーパーとして取りまとめた。NbSAのために供給されている資金額、資金の用途、資金フローについて整理している他、NbSA資金拡大への課題と提言もおこなっている。本稿は、そのエグゼクティブサマリーを、執筆者の許可を得て翻訳したものである。
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This guidebook is intended to provide an overview of how to conduct climate change and land-use change impact assessments, so that the impacts on water, biodiversity, and health can be better understood at the local level. A key aspect of the guidebook is the tutorials provided for conducting climate change/land-use change scenario analysis and...
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APAN Forum Special Session
The presentation summarizes key climate risks and sectoral adaptation options for Asia from the synthesis of multiple global and regional assessments, including recent assessment reports of IPCC and IPBES. The talk was delivered on a special session on Adaptation Gaps in APAN Forum hosted by IGES and the Ministry of Environment.
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Climate Change, Disaster Risks and Human Security: Asian Experience and Perspectives所収
Climate-fragility risks are on the rise globally and developmental paths taken by countries could be attributed to this rise. To understand the link between development and climate-fragility risks, this chapter presents the findings of the survey conducted by authors with the development practitioners and experts from Asia. The purpose of the...
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Dhyani
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Traditional agroforestry systems across South Asia have historically supported millions of smallholding farmers. Since 2007 agroforestry has received attention in global climate discussions for its carbon sink potential. Agroforestry plays a defining role in offsetting greenhouse gases, providing sustainable livelihoods, localizing Sustainable...
査読付論文
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Highlights • The analysis indicated a positive correlation between socioeconomic factors and agricultural land change in Asia. • A negative correlation between agricultural land and urban population signified an agricultural land decline in Asia. • Higher agricultural productivity gains contributed to the farmland decline in some countries in Asia...
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著者:
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Gloria Jina
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The Asian countries have diverse economic profiles, energy consumption patterns, greenhouse emissions, climatic conditions and socio-political landscapes. These dynamics bring into focus that drawing a uniform framework to define the energy transition process for the region is a difficult task. Keeping in view of this reality, this book identifies...
キーワード:
ブリーフィングノート
 2020年来、政治リーダーらによる気候変動対策への取り組みが国内外で急速に活発化しているが、温室効果ガス削減にむけた「緩和」の取組に重きを置いた議論が目立っている。現状に目を向けると、気候変動に起因する気象災害はすでに国内外で激甚化しており、我々が気候変動による様々な影響に適応しなければならないことは明白である。こうした「適応」への取り組みを加速させるべく、第8代国連事務総長の潘基文氏らを筆頭に、2018年オランダで設立されたのが、適応グローバル委員会(GCA: Global Commission on Adaptation)である。GCAは2021年1月25から26日、設立以来初めてとなる大規模な会合、気候適応サミット(CAS2021: Climate Adaptation Summit...
ファクトシート
日本政府は2015年、パリ協定が採択されたCOP21において、「美しい星への行動(ACE2.0)」を発表し、2020年までに気候変動に関する日本からの途上国支援を年間1.3兆円まで増やすことを約束した。これは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が目標とする、「2020年に先進国全体で年間1000億ドルの資金支援」へのコミットメントを示したものである。 昨年、目標最終年を迎えたものの、気候変動分野における日本から途上国への支援資金に関し、適応に特化した分析が十分に行われているとはいえない。そこで本稿では、UNFCCCが先進国(付属書I国)に提出を求めている隔年報告書から情報を抽出・分析し、日本から途上国へ提供されている気候変動適応分野の資金額、対象地域、対象分野等の概要とその変化を俯瞰した。
ブックチャプター
気候変動から世界をまもる30の方法所収
この本は、子どもといっしょに気候変動を知る・学ぶ入門書として出版された。 「人類の土地利用が気候変動に与えた影響」では、科学が警告する地球環境の激変の1つとして、「土地利用・食料生産・気候変動の深い関係」、「熱帯林の減少による二酸化炭素排出量は日本の2倍」、「気候変動防止のための将来の土地利用」について、科学的データを元にやさしく解説した。
ブリーフィングノート
2020年11月23日から12月4日にかけて国連気候変動条約(UNFCCC)主催のClimate Dialogue2020が開催された。通常であれば、毎年この時期にはUNFCCC締約国会議(COP)が開催されるが、新型コロナウイルスの影響で翌年に延期とになったため、交渉を含まない形で、モメンタムの維持のため、本会議が開催された。IGES適応チームでは、本会合に参加し、IISDのデイリーレポート 等を参考に、適応に関する議論について取りまとめた。