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2020年来、政治リーダーらによる気候変動対策への取り組みが国内外で急速に活発化しているが、温室効果ガス削減にむけた「緩和」の取組に重きを置いた議論が目立っている。現状に目を向けると、気候変動に起因する気象災害はすでに国内外で激甚化しており、我々が気候変動による様々な影響に適応しなければならないことは明白である。こうした「適応」への取り組みを加速させるべく、第8代国連事務総長の潘基文氏らを筆頭に、2018年オランダで設立されたのが、適応グローバル委員会(GCA: Global Commission on Adaptation)である。GCAは2021年1月25から26日、設立以来初めてとなる大規模な会合、気候適応サミット(CAS2021: Climate Adaptation Summit 2021)を全オンライン形式で開催した。
CAS2021は、気候変動適応とレジリエンス(強靭性)の構築に資する活動への官民資金投入を促すための政治的な啓発イベントであった、という見方もある。しかしながら、ヨーロッパのみならず、世界中のリーダーや若者らを巻き込んだGCAのイニシアティブは大規模であるだけでなく、適応行動を促すための仕組みづくりや資金の増強に重きを置いている点で、従来の様々なプロセスと比べても、先進的かつ野心的である。日本からは、赤羽国土交通大臣が閣僚級会合に、小泉環境大臣が閉会セッションに登壇した。
本稿では、政府や地方自治体における気候変動適応政策担当者、NGOや民間企業における気候変動対策担当者、研究者や学生等を対象に、CAS2021の概要を日本語で届けることを目指した。本稿が、気候変動適応の促進に関する国際動向を理解するための一助となれば幸いである。
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