ファイナンスタスクフォース

パリ協定ならびにSDGs目標の達成を含めた持続可能な社会の実現には、様々な民間資金の十分な動員が不可欠です。ファイナンスタスクフォースは、世界のサステナビリティ課題の解決に貢献するようなインパクトをもたらす民間資金動員の促進を目指し、次の3つの分野に重点を置いた上で、独自の調査・研究を通じた提言ならびに各種政策の実施支援事業などを戦略的に実施します。

 

1)国内民間資金の動員
特に、日本を中心に、サステナブルファイナンス商品を通じた資金調達を検討・実施する企業、あるいは投融資を行う市場参加者に対するガイドラインやガイダンスといった各種施策やイニシアティブに関する調査・研究などの実施を通じて、気候変動問題の解決およびSDGs達成に不可欠な民間資金の動員に貢献します。これには、その結果として民間資金がSDGs達成、例えば、脱炭素に移行するための活動にも向けられているのかといったテーマも含みます。

 

2)ポジティブインパクト創出の主流化
環境(Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の観点を判断に組み入れるESG投融資が急速に関心を集めていますが、そのことが気候変動問題の解決やSDGs達成への貢献を直接的に意味しているわけではありません。ファイナンスタスクフォースでは、投融資を通じた社会環境課題の具体的解決をESG投融資の主流にすべく、既存商品やスキームの評価分析などを通じて調査・研究を行います。例えば、ESG投融資におけるインパクトの測定やレポーティングといったテーマが含まれます。

プロジェクト

インパクト志向ファイナンス:社会価値創出の新たな波

金融セクターの貢献と民間資金への期待
パリ協定の1.5℃目標や持続可能な開発目標(SDGs)の達成をはじめとする喫緊のサステナビリティ目標に対し、金融セクターには、これら目標に取り組む企業のプロジェクト、金融商品、不動産等への融資や投資等を通じた貢献が期待されています。
近年は、民間資金を取り込むことの重要性への理解が国際的に醸成されつつあり、政府だけでなく、世界中の企業や投資家が気候変動を含むサステナビリティの課題のリスクと機会に対して様々な取り組みを実施しています。
国際的には、2006年の
 

3)自立・分散・循環型社会の形成に向けた地域支援
サステナビリティ課題や、それによりもたらされる影響の多くは国境を超えたもので、国や地域を超えた横断的な協力および協働が求められています。他方、実際の変化が起こるのは多様な地域特性を持つローカルな現場であり、現場に即した支援や政策なしにはいかなるビジョンも達成できません。また、世界規模でサステナビリティ課題が生じた背景には、効率性や収益性を追求した結果の過度な集約化・大規模もあります。これに対して、自立・分散型社会を形成し、地域特性に応じて資源を補完・支え合うことにより、地域活力の最大限の発揮を目指す地域循環共生圏という概念が第五次環境基本計画で提唱されています。ファイナンスタスクフォースでは、地域循環共生圏に示されるような自立・分散・循環型の社会形成の実現につながる地域金融機関によるESG金融のありかたについても調査・研究を行います。

上記3分野の実現にあたっては、国際的な対話と学びの促進、協働の基盤づくりが必要です。そのため、日本国内のステークホルダーに対しては最新のグローバルな議論を共有する一方、国外のステークホルダーに対しても、英語で日本における取り組みを発信していきます。

関連出版物

関連イベント

過去のイベント
トランジション戦略ツールキット発表ウェビナー

1.5℃目標に整合したトランジション計画とアセスメント

日本政府は、2050年までのカーボン・ニュートラルと2030年までに2013年比で46%の排出削減、さらに50%の高みを目指すという中間目標を掲げています。政府はグリーントランスフォーメーション(GX)を実現するために、今後10年間で20兆円規模の政府の先行投資、150兆円を超える官民のGX投資を目指しており、その足がかりとして2024年2月、5月にクライメート・トランジション利付国債を発行しました。 こうした投資の流れをさらに加速させ、あらゆるステークホルダーが一丸となってトランジション...
過去のイベント
IGES-GFANZ共催ウェビナー

本邦金融機関の実際のネットゼロ移行計画の紹介

IGESはグラスゴー金融同盟(Glasgow Financial Alliance for Net Zero: GFANZ)*と協力し、国内の金融機関のネットゼロに対する理解を深め、ネットゼロ移行計画の策定を後押しすることを目的に、全2回のウェビナーを開催します。
第2回となる本ウェビナーでは、第1回ウェビナーの要点をご説明したうえで、みずほ銀行と第一生命のご担当者から実際の移行計画についてご紹介いただきます。
過去のイベント
COP28 Joint MDB Pavilion

中東・北アフリカ(MENA)地域におけるネットゼロ経済に向けたパートナーシップの促進

IGESは、再生可能エネルギー・エネルギー効率化地域センター(RCREEE)、ガルフ・リサーチ・センター(GRC)、イスラム開発銀行 (IsDB)と共に、COP28サイドイベントを開催します。 ネットゼロ経済への取り組みを加速させるためには、パートナーシップや協力関係を促進することが極めて重要です。本イベントでは、政府機関、研究機関、金融機関、民間セクターから専門家をお招きし、グリーンビジネスマッチング・プラットフォームの立ち上げを含む、ネットゼロ経済に向けた日本とMENA間の“ウィン...

関連プロジェクト

プロジェクト
Updated: 2024年2月

インパクト志向ファイナンス:社会価値創出の新たな波

金融セクターの貢献と民間資金への期待
パリ協定の1.5℃目標や持続可能な開発目標(SDGs)の達成をはじめとする喫緊のサステナビリティ目標に対し、金融セクターには、これら目標に取り組む企業のプロジェクト、金融商品、不動産等への融資や投資等を通じた貢献が期待されています。
近年は、民間資金を取り込むことの重要性への理解が国際的に醸成されつつあり、政府だけでなく、世界中の企業や投資家が気候変動を含むサステナビリティの課題のリスクと機会に対して様々な取り組みを実施しています。
国際的には、2006年の

関連ニュース

お知らせ
2024年7月29日

トランジションファイナンスを推進するための「トランジション戦略ツールキット」公開

IGESは7月29日、Climate Bonds Initiative(Climate Bonds)と共同開発した、トランジションファイナンスの推進のためのガイダンス「 トランジション戦略ツールキット」を公開しました。 本ツールキットは、昨年Climate Bondsが発行した「 トランジション計画の評価ガイダンス」の原則とフレームワークに基づいて、日本の企業がトランジション計画を策定するにあたり取り入れるべき要素を特定したもので、国際資本市場協会(ICMA)のテーマ別ガイドラインや...
プレスリリース
2022年12月14日

日本の資本市場の気候資金動員へ向け、 地球環境戦略研究機関とClimate Bonds Initiativeが覚書締結

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)およびClimate Bonds Initiative(CBI、日本語仮訳:気候変動債権イニシアチブ)は、日本のグリーンボンドや気候変動関連テーマ債市場の強化を通じて、同国の2030年アジェンダならびにパリ協定の目標達成に貢献すべく、覚書を締結したことを本日発表いたします。両機関の間で合意された主な活動内容は以下の通りです。日本における公的機関ならびに民間セクターのキャパシティ強化に寄与するための取り組み(グリーンおよび脱炭素経済への移行に係る成長計画

プレスリリース
2021年10月1日

第13回 持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム【ISAP2021】 「未来を導く決定的な10年: 気候、生物多様性と他の地球的課題の統合的な解決を目指して」開催

2021年11月24日(水) 本会合(ハイブリッド) 2021年11月25日(木)~12月3日(金) テーマ別会合(オンライン) 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、第13回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム【ISAP(アイサップ)2021】の本会合を2021年11月24日(水)にパシフィコ横浜で対面とオンラインのハイブリッドで、テーマ別会合を11月25日(木)~12月3日(金)、オンラインにて開催します。ISAPは...

関連スタッフ