公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)およびClimate Bonds Initiative(CBI、日本語仮訳:気候変動債権イニシアチブ)は、日本のグリーンボンドや気候変動関連テーマ債市場の強化を通じて、同国の2030年アジェンダならびにパリ協定の目標達成に貢献すべく、覚書を締結したことを本日発表いたします。
IGESは、世界のサステナビリティ課題の解決に向けたインパクト創出を目指す政策研究機関です。ファイナンスタスクフォースを設置し、パリ協定ならびにSDGsの達成を含めた持続可能な社会の実現をもたらす民間資金動員の促進を目指しています。CBIは、気候変動対策への民間資金動員、ならびに低炭素投資を促進すべく設立された国際組織です。グリーンボンドの外部認証では世界的に実績があり、CBI認証を取得するグリーンボンドの発行額も増加傾向となっています。
両機関の間で合意された主な活動内容は以下の通りです。
- 日本における公的機関ならびに民間セクターのキャパシティ強化に寄与するための取り組み(グリーンおよび脱炭素経済への移行に係る成長計画、資金調達、制度的枠組み)
- グリーンないしトランジションファイナンスに係る協力およびエビデンスベースの知見共有の強化
- 日本のテーマ債市場の成長機会に関する官民の専門的知見およびエビデンスの活用推進
日本は、2022年上半期のグリーンボンド発行額上位15カ国に入ります。また、1月に国際協力銀行(JBIC)が初めて発行したグリーンボンドは、クリーンな交通、グリーンビルディング、再生可能エネルギーを資金使途に発行額が5億米ドル(約703億円)に上り、グリーニアム(注1)も確認されました。
また、今年発行されたトランジションボンドの大半は日本のトランジションファイナンスプログラムに関連したもので、鉄鋼、化学、航空といった温室効果ガス排出削減が困難なセクターを対象としたものであり、中には電力会社による発行も見られました。
Climate Bonds Initiative アジア太平洋プログラム長 Zalina Shamsudin
「日本は、アジア太平洋地域のテーマ債市場の強化に重要な役割を果たすことができます。このパートナーシップにより、日本が低炭素経済へ移行するための明確な道筋ができることを期待しています」
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) ファイナンスタスクフォース プログラムディレクター森 尚樹
「本パートナーシップを通じて、 グリーンおよびトランジションに関する政策的、技術的な評価に関して、両機関が相互の専門知識を結集して取り組むことができることを大変嬉しく思います。日本のネット・ゼロへの移行を加速させ、社会にインパクトを生むべく、貢献してまいります」
なお、IGESからはファイナンスタスクフォースに所属する研究員1名がCBIに出向し、日本におけるグリーンボンドや気候変動関連テーマ債市場の強化に向けた金融機関、認証機関、発行体、アセットオーナーなどのステークホルダーとのエンゲージメントのほか、脱炭素社会への移行に向けての政策提言などを緊密に連携しながら進めていきます。
注1: 「グリーン」と「プレミアム」を合わせた造語で、投資家がグリーンボンドの価値を普通債と比較して高いと判断することで、利回りが普通債より低くなる現象を指す。発行体は、資金を低コストで調達できることになる。