バリューチェーンにおける物理的リスクとレジリエンス  経営層の連携のための CEOハンドブック

他機関出版物の翻訳
cover image

「まえがき」より

我々を取り巻く環境が変化していることは、もはや周知の事実である。異常気象・慢性的な気候変動・環境悪化は、今やますます業務運営に支障を生じさせ、より広範なシステム全体へのショックを引き起こしている。サプライチェーンの寸断から、資産の損傷・インフラへの衝撃・公衆衛生の危機・地域社会の崩壊に至るまで—多くの企業がすでにその影響を肌で感じている。そして、脅威はニュースの見出しを飾るような大災害だけにとどまらない。目立たず、じわじわと慢性的に進行する悪影響が、静かに企業価値を蝕んでいるのである。しかも、それらは多くの場合、既存のシステムでは予兆を検知することも、管理することも難しい形で進行していく。
(中略)
ビジネスリーダーであるCEOには今こそ、レジリエンスに向けた新たな時代のリーダーシップを牽引する機会と責務がある。組織・セクター・バリューチェーンの壁を越えて、新たなマインドセットと働き方を育むこと。それによって企業は、増大するエクスポージャーを予測・定量化・管理するための、データ駆動型で全社的なアプローチを構築できる有利なポジションに立つことができるのである。本書は、まさにこの変革(shift)を加速させることを目的としている。

WBCSDとBCGが共同で作成した本書は、適応・レジリエンス・リスクに関するWBCSDのこれまでの知見を基盤としつつ5、世界12セクターの経営幹部へのインタビューや、幅広い専門家の意見を取り入れている。多岐にわたる対応策のベストプラクティスを紹介するとともに、リーダーシップが最も必要とされる領域を明確に示している。本書は、CEOが認識を深める段階から、経営幹部による行動を可能にする段階へと移行できるよう、洞察を深め、能力を構築し、対応を主導することを支援するために設計されている。最終的には、ビジネスリーダーである皆様が企業価値を守り、競争力を維持するための一助となること、それが本書の狙いである。

著者:
World Business Council for Sustainable Development
Boston Consulting Group
日付: