IGESは7月29日、Climate Bonds Initiative(Climate Bonds)と共同開発した、トランジションファイナンスの推進のためのガイダンス「トランジション戦略ツールキット」を公開しました。
本ツールキットは、昨年Climate Bondsが発行した「トランジション計画の評価ガイダンス」の原則とフレームワークに基づいて、日本の企業がトランジション計画を策定するにあたり取り入れるべき要素を特定したもので、国際資本市場協会(ICMA)のテーマ別ガイドラインや、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の開示要求事項などとも整合しています。
本ツールキットは、さまざまな質問に答えることで、自社のトランジション戦略が脱炭素化に向けて必要な要件を満たしているかをチェックしながら、各種ガイドラインや情報開示の要求事項を学ぶことができる内容になっています。脱炭素化へのトランジション支援のための投資の推進や、日本の企業が科学的根拠に基づく信頼性の高いトランジション計画を策定・実践するためのガイダンスとして活用されることを目指しています。
本ツールキットの公開に当たり、森尚樹IGESファイナンスタスクフォース プログラムディレクターは「このツールキットは、ネット・ゼロに向けた信頼性の高いトランジション計画に盛り込むべき内容について、対話形式で学ぶものです。国際的にも評価されるトランジション計画であるためには、Climate Bondsも強調しているように、1.5℃に整合した温室効果ガス(GHG)削減経路を辿る計画になっているかということが極めて重要です。日本のあるべき削減経路とその実現のためのアクションプランを示した「IGES 1.5℃ロードマップ」とともに本ツールキットをお使いいただき、企業の脱炭素戦略の構築に携わる皆様の業務に役立てていただければ幸いです。」と述べています。
また、ショーン・キドニーClimate Bonds CEOは「欧州、米国、中国、そして日本における強力な政策措置により、世界はグリーン経済へと急速に移行しつつあります。変化する経済の中で企業が価値を高めていくためには、トランジション計画が不可欠です。IGESと共同で開発した本ツールキットは、「信頼できるトランジション計画」を策定し、国際的なグリーン資本を呼び込むための、実践的かつ不可欠なリソースです。私たちは、IGESと協働し、このイニシアチブを進められること、これを通じて日本のトランジションの成功に貢献できることを嬉しく思います。」と述べています。
トランジション戦略ツールキットはこちらのリンクからご覧いただけます。