欧州連合(EU)と日本は、今後数十年間にわたり、気候中立で、資源循環型の経済への移行を加速させるため、日欧グリーン・アライアンスを立ち上げました。 このアライアンスはEUにとって、この種の初めての試みであり、欧州グリーン・ディールと日本のグリーン成長戦略を実施するための重要なマイルストーンでもあります。この日欧グリーンアライアンスの一環として、駐日EU代表部(EUD)は、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)および横浜市と共同で、「日・EU都市気候行動ワークショップ」を開催しました。
近年、EUDは、日本における地方レベルでの気候変動対策イニシアチブに関するイベントを毎年、推進してきました。最初のイベントは、2022年に開催された「EU-日本会議-都市、地域、クラスター:脱炭素化のための重要なアクター」です。このイベントでは、再生可能エネルギー、交通、住宅、建設、低炭素農業、観光など、さまざまなテーマについて議論が行われました。2023年に開催されたイベント「気候変動対策に関する日・EU100都市イベント」は、より野心的なもので、日欧両国で新たに開始された脱炭素化に向けた地域の取り組み、すなわち「EUミッション」と「地域脱炭素化ロードマップ」の認知度を高めることを目的としました。主なトピックは、ウクライナ戦争の影響のマネージメント、特に関連性の高いエネルギー安全保障、地域経済を強化する上での地域の脱炭素化の役割、スマートシティの概念、資金調達戦略などが議論されました。また、ジェンダーの視点を取り入れ、気候変動対策における都市間協力を促進することの重要性も強調されました。さらに、予算配分から意思決定に至るまで、脱炭素とレジリエンスを都市計画プロセスに組み込む上で、地方自治体が極めて重要な役割を果たすことも改めて強調されました。成功事例から、すべての利害関係者の包括的な関与、民間セクターとのパートナーシップの構築、地域の脱炭素イニシアティブに対する財政支援の拡大などが成功の要因として挙げられました。
これまでのイベントの成功を踏まえ、EUDは引き続き、地域や地方の気候変動対策に関する日・EU都市間の貴重な交流を支援していくことにしています。過去のイベントのフォローアップとして実施される本イベントは、5月29日にハイブリッドで、5月30日にオンラインで開催しました。このイベントの目的は、EU、日本の両イニシアティブの開始以来の都市の進捗状況を共有し、EUと日本が今後どのように協力できるかを探ることにあります。本イベントでは、エネルギー問題、資金調達戦略、市民参画を主要トピックとして取り上げます。このイベントは、最近のG7会合や国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)でも強調された、地方レベルでの気候変動対策、マルチレベルの行動、協力の経験を共有しました。
EU及び日本は、ネット・ゼロ目標を達成する上での地方レベルでの気候変動対策の重要性を認識しており、地方政府および地域政府に財政的・技術的支援を提供しています。2022年4月、EUは、EU域内のスマートでカーボンニュートラルな100都市と、関連国の12都市を選定しました。また、欧州気候協定は、人々、地域社会、組織による気候変動対策を促進することにより、2050年までにEUのカーボンニュートラル目標を達成することを目指す重要なイニシアティブです。日本では、2021年に「地域脱炭素ロードマップ」が国や地方自治体との協力のもとに策定されました。その中で、2030年度までに100以上の脱炭素先行地域を創出する目標が設定され、2023年12月末までに74の先行地域が選定されています。
※このイベントは、EU気候対話プロジェクト(EUCDs)の一環として開催されました。
イベントの詳細
Day2: 2024年5月30日(木)16:00-18:45(日本時間)
2024年5月29日(水) : 対面(パシフィコ横浜 会議センター) / オンライン
2024年5月30日(木) : オンライン
IGES 都市タスクフォース
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Email: [email protected]
<取材申し込み>
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発表資料
発表資料
Day 1: 2024年5月29日(水)対面(パシフィコ横浜 会議センター)・オンライン | |||
13:30-14:30 | 開会・基調講演 | ||
ジャン=エリック・パケ 駐日欧州連合代表部大使 | |||
八木 哲也 環境副大臣 | |||
山中 竹春 横浜市長 | |||
フランソア・クロケット パリ市 エコロジカル・トランジションと気候 ディレクター | PDF (2.0MB) | ||
グレゴリー・ドュセ リヨン市長(ビデオメッセージ) | Video | ||
ミカエル・ホストマン フランクフルト市 副市長(オンライン) | |||
質疑応答 モデレーター:片岡 八束 IGES 都市タスクフォース プログラムディレクター | |||
14:30-15:30 | 地方・地域レベルでの気候変動対策を加速するためのEUと日本のイニシアティブの進捗状況 | ||
フィリップ・フロワサール 欧州委員会 研究・イノベーション総局 クリーンプラネット部門 「戦略・政策調整とアーバン・トランジション」 ユニット長(オンライン) | PDF (2.6MB) | ||
泉 知行 環境省 大臣官房地域脱炭素事業推進課 総括補佐(オンライン) | PDF (2.0MB) | ||
質疑応答 モデレーター:内田 東吾 イクレイ日本 事務局長 | |||
15:30-15:45 | コーヒーブレイク | ||
15:45-16:45 | トピック1:地域レベルでのエネルギー効率と再生可能エネルギーの促進 | ||
アントニオ・ガルシア バレンシア州 欧州グリーン・キャピタル2024 部長(オンライン) | PDF (2.9MB) | ||
ヨルゲン・カールソン ウメオ・エネルギーAB ビジネスデベロッパー(オンライン) | PDF (1.2MB) | ||
村上 慈 北九州市 環境局グリーン成長推進部 再生可能エネルギー導入推進課長 | PDF (2.8MB) | ||
坂西 欣也 エネルギー・エージェンシーふくしま 代表 | PDF (3.0MB) | ||
質疑応答 モデレーター:ガブリエレ・ワーグナー EU気候対話プロジェクト(EUCDs)チームリーダー | |||
16:45-17:00 | ラップアップ ディアナ・アコンシア 欧州委員会 気候変動総局 国際業務・気候金融 部長(オンライン) 川上 毅 IGES 事務局長 | ||
Day 2: 2024年5月30日(木) オンラインのみ | |||
16:00-16:05 | イントロダクション | ||
16:05-17:05 | トピック2:参加型地域気候政策の立案と実施 | ||
アンナ・リサ・ボーニ ボローニャ市 副市長 | PDF (1.0MB) | ||
齋藤 伸宏 所沢市 マチごとエコタウン推進課長 | PDF (3.6MB) | ||
岸本 聡子 杉並区長(ビデオメッセージ) | Video | ||
ゲラルド・リヨ バルセロナ市 都市エコロジー領域 市民参加部長 | PDF (1.3MB) | ||
質疑応答 モデレーター:浅川 賢司 IGES 都市タスクフォース プログラムマネージャー | |||
17:05-17:10 | 休憩 | ||
17:10-18:10 | トピック3:気候ファイナンス | ||
ジェリー・マスカット 欧州開発銀行, JASPERS都市・地域開発局 都市アドバイザリー課 課長 | PDF (3.7MB) | ||
石川 大朗 株式会社日本政策投資銀行 業務企画部 調査役 ディスカッション:四国中央市、伊予銀行、愛媛銀行、大王製紙株式会社 | PDF (3.5MB) | ||
質疑応答 モデレーター:森下 麻衣子 IGES ファイナンスタスクフォース プログラムマネージャー / Climate Bonds Initiative ジャパン・プログラム・マネージャー | |||
18:10-18:45 | ディスカッション・まとめ:振り返りと今後の方向性 藤野 純一 IGES サステイナビリティ統合センター プログラムディレクター / 脱炭素先行地域評価委員会 委員長代理 | ||