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一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」について、日本企業の取り組み実態に関する最新の調査結果をとりまとめた、SDGs日本企業調査レポート2019年度版「ESG時代におけるSDGsとビジネス~日本における企業・団体の取組み現場から~」を3月5日(木)に発刊しました。
4年目となる今回のレポートでは、GCNJ会員(335企業・団体)へのアンケート調査結果と金融機関・事業会社へのヒアリング結果をもとに、GCNJ会員のSDGsに関する認知度や取り組み状況の経年変化を分析しています。また、新しい経営戦略のひとつとして注目を集めているESG(企業経営における環境=Environment、社会=Social、ガバナンス=Governanceに関する取り組み)への対応について、金融機関と事業会社双方の観点から考察をしています。付録には、ヒアリング調査を行った金融機関と事業会社の事例を掲載しており、SDGsおよびESGの取り組みの参考にしていただける内容となっています。
本レポートでは、以下の諸点を含む内容が明らかとなりました。
- SDGsへの取り組み状況の経年変化に関するこの1年間の大きな特徴は、経営陣の認知度がCSR担当者に並ぶまでに向上したことと、SDGsが本格的に経営課題として位置付けられてきた。
- 経営陣のSDGsに関する認知度が上昇し(59➝77%)、CSR担当者の認知度と同じ値に。中間管理職の認知度も18%から33%まで増加。
- SDGsの推進活動主体は、CEO、取締役会、経営執行会議体、経営企画部門がそれぞれ増加(CEO:14→19%、取締役会:6→9%、経営執行会議体:6→16%、経営企画部門:25→38%)。その一方で、CSR部門は減少(71→60%)。
- 今後のSDGsの取り組みを聞いた設問でも、「自社の戦略・経営計画に反映する」が3年連続で増加(48→59→68%)。その一方で、「CSRの重点課題に反映する」は3年連続で減少(63→58→47%)。
- 高いESG評価を受けている企業は、長期目標の設定だけでなく、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同やScience Based Targets(SBT)に基づく目標設定を早い段階で行い、科学的知見に整合的な道筋を示すよう努力していた。そうした企業は、情報開示とエンゲージメントを上手く活用し、自社のサステナビリティ経営を改善するサイクルを構築しつつ、一連のプロセスの中で事業部門や従業員、あるいは取引先や消費者との結びつきの強化も図っていた。
- 企業や政府が、SDGsやパリ協定のための野心的な目標とそこに至るロードマップを科学的知見と整合性のとれた形で示すことが、ESG投融資の活発化とサステナブル金融商品の増加の後押しとなる。
- ESG投融資の拡大やサステナブル金融商品の拡充が進む一方で、市場拡大・商品拡充そのものが目的化しないように留意が必要。SDGsを考慮すること=投融資の判断プロセスとして取り組むことと、SDGsに貢献しているか=具体的な結果が出ているかは別であり、これからは社会環境課題の解決へ向けた効果を測定するインパクト評価などが求められていく。インパクト評価は、国内での実施はまだ限定的だが、SDGsやパリ協定の目標達成に貢献するためには投融資の判断に積極的に取り入れていくべきである。
- 今後は、ESGとSDGsの関連性を強めていくことで、スピード感のある野心的な取組みが様々な意味での高いリターンを得ることに繋がるようにしていく必要がある。
※2020年8月26日(火)に誤字(3か所)を修正したファイルに差替えました。修正箇所は以下になります。
P.6 コラム1内 (誤)2020年1月末現在 → (正)2019年1月末現在
P.18 表16のQ (誤)表23 → (正)表19
P.24 右段6行目 (誤)IISD → (正)IIRC
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