1.5℃ ロードマップ 特集

IGESは、2023年12月にテクニカルレポート「IGES 1.5℃ロードマップ:日本の排出削減目標の野心度引き上げと豊かな社会を両立するためのアクションプラン」(以下、本テクニカルレポートまたはテクニカルレポート)を発表しました。

本テクニカルレポートは、パリ協定の1.5℃目標達成に向けてすべての国によるさらなる行動強化が求められる中、日本にとってより野心的かつ現時点で達成可能な排出削減レベルを検討し、同時にビジネスや社会にプラスの効果をもたらす行動を時系列でまとめたものです。前向きな取り組みを加速し、世界全体での1.5℃目標達成に貢献しつつ、より豊かで持続可能な社会を目指すための道筋を示すものとして、幅広いステークホルダー、特にビジネス領域の方々に活用いただくことを企図しています。

こうしたアクションプランは科学的な知見を基に注意深く検討されるべきですが、それがそのまま社会にとっての最適解となるとは限りません。社会において合意形成が行われ、実行に移されていくことで初めて意味を持ち得ます。そのため、エネルギー分野の変革のみで最適解を模索するのではなく、分野横断的な視点に立ち、気候変動やその他の様々な社会的課題の統合的な解決につながるアクションプランを構築することが重要です。こうした背景の下、本テクニカルレポートでは、気候変動に対する問題意識を共有しつつも、異なる関心を有する多様なステークホルダーとの対話にもとづき、各々が当事者意識を持ちうるアクションプランの構築を目指しました。

さらに、このテクニカルレポートをもとに、企業が脱炭素に取り組む際の指針となることを目指したロードマップ「1.5℃ロードマップ-脱炭素でチャンスをつかむ。未来をつくる。」(以下、本ロードマップまたはロードマップ)を2024年4月に発表しました。170ページにわたるテクニカルレポートの内容について、企業をはじめより多くの方が気軽に参照できるような形に再構成したものです。

本ロードマップでは、1.5℃の世界に向かう中で生まれるであろう社会経済の変化とそれに伴う事業機会を「5つの変化」と「20の好機」としてまとめました。どのビジネスセクターで、いつ、どのような変化があるのかを示しているので、自社に関連する事業機会を特定しやすくなっています。また、「5つの変化」の関係性を視覚化したことで、事業機会を活かすために必要なルールメイキングなどのアクションも容易に把握できます。

企業が変化を確実に捉え、適切に意思決定をするためには、変化がどのようなタイムラインで進んでいくのか、その見通しを持つことが欠かせません。変化に伴う事業機会を先んじて見つけるための道標として、目指したい未来への案内役として、多くのみなさまに活用いただくことを願って本ロードマップは作成されました。

この特集ページでは、このIGESのテクニカルレポートとロードマップに関する過去のイベント動画や関連資料などをまとめてご参照いただけます。ぜひご活用ください。

テクニカルレポート
本レポートは、世界平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑えるという目標の達成に向けて、2050年までにカーボンニュートラルを実現するだけではなく、累積排出量をできる限り小さくする観点から、日本国内で早期に大幅な温室効果ガス(GHG)排出量削減を果たす可能性を検討し、その実現のためのアクションプランをまとめたものである。 2024年4月2日更新 謝辞の追記、出典の追記、誤記の修正を行いました。 企業の方向けに使いやすく再構成した「 1.5℃ロードマップ - 脱炭素でチャンスをつかむ。未来をつくる。」もご活用ください。
 
ロードマップ
 

企業が脱炭素に取り組む際の指標となることを目指し、テクニカルレポートの内容を「5つの変化」と「20の好機」としてコンパクトにまとめたハンドブック。時系列でいつ、どのような変化が起こるかをビジュアル化しています。企業が中長期計画を策定する際の参考となることを目指した資料です。

 

関連イベント(動画・資料あり)

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1.5℃ロードマップ徹底解説 -1.5℃ロードマップを日々の業務にどう活かすのか?

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ISAP2024
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In order to accelerate efforts toward net zero with rapid and deep GHG emission reductions, systemic change which covers both the energy-demand side and supply-side is necessary. Such systemic change is also critically important for businesses to...

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ポリシーブリーフ
2023年のCOP28で実施されたグローバル・ストックテイクの成果文書では、世界のこれまでのGHG排出量推移は、世界の気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求するというパリ協定の目標と合致するものではなく、既存の約束を実施する余地・機会が急速に狭まっているとしている。そして、GHGの大幅で速やかかつ持続的な削減が必要であり、すべての締約国に対して、世界全体の努力への貢献を求めると共に、次期の国別削減目標(国が決定する貢献:NDC)を1.5℃目標と整合するものとするよう奨励している。これを踏まえ、2024年6月17日に発表されたG7プーリア・サミットの首脳コミュニケ において、日本を含むG7各国は「1.5℃に整合した野心的なNDCを提出することにコミット」を表明している。 では...
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