2050年カーボンニュートラルの実現には、環境政策にとどまらない分野横断的な取組が不可欠です。しかし、多くの自治体ではGXを総合政策として推進する庁内体制の構築が共通の課題となっています。Japan CGO Networkは、この課題に取り組む自治体リーダーの知見を共有し、地域GXを成功に導くガバナンスの在り方を探究するプラットフォームです。
グリーン・トランスフォーメーション(GX)は、単なる脱炭素政策ではなく、エネルギー、産業、都市計画、福祉、防災等を横断する「地域経営の転換」です。国際的な研究では、気候変動対策が雇用創出、健康改善、エネルギー安全保障などの「コベネフィット(同時便益)」を生むことが実証されています。しかし、こうした便益は環境部局の単独の取組では実現できません。複数の分野が統合されて初めて生まれるものです。
そのためには、分野横断を可能にするガバナンス体制の構築が不可欠です。OECDやEUの先進事例も、気候政策にはトップマネジメント層による裁定と優先順位づけが必要であることを示しています。つまり、分野横断は会議体での調整にとどまらず、権限・予算・責任を伴う意思決定の構造として設計されるべきものです。
自治体ごとに組織文化や条件は異なり、最適なガバナンス体制も一様ではありません。だからこそ、先進的な取組を進めるリーダー同士が経験を率直に共有し、互いに学び合うことが重要です。
Japan CGO Networkは、地域GXのガバナンスに関する知見を蓄積・共有し、全国の自治体が自らの特性に応じたガバナンス体制を構築できるよう支援することを目指しています。
CGO(Chief Green Officer)とは
GXを環境部門の施策としてではなく、自治体全体の総合政策として統括する司令塔機能を指す。予算・人事・組織の優先順位を横断的に調整し、部局間の利害を裁定する権限を持ち、中長期の戦略と個別施策を接続する役割を担う。
多くの自治体において、GXの推進は環境部門が担っていますが、分野横断的な政策を実現するには、環境部門だけでは他部局を動かすことが困難です。部局ごとにインセンティブが異なり、権限も予算も責任も分断されているためです。
CGO(チーフ・グリーン・オフィサー)は、こうした構造的な課題を乗り越えるための司令塔機能です。その実装形態は自治体の規模や組織文化に応じて多様です。例えば、都道府県では、岩手県では副首長がCGOを務めていますが、CGOという肩書ではなくても知事直轄の戦略部門が同様の機能を果たしている事例もあります。


