「第3回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」が7月20日~21日に日本で開催され、世界各国から130名以上のスピーカーが参加しました。公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES:アイジェス)は、国連経済社会局(UNDESA)および国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が共催し、環境省がホストした本会議に、国連大学とともに協力しました。(https://www.un.org/en/climate-sdgs-conference-2022)
本会議は、気候変動対策と持続可能な開発目標(SDGs)の相乗効果(シナジー)を利用した行動基盤を確立することで、各国、地域、そして関係ステークホルダーの行動を強化し、加速することを目的に開催されました。7月20日20時から始まったハイレベル・セグメントには山口壯環境大臣をはじめとした各国閣僚、国連機関・組織のトップ、ビジネスリーダー、科学者、ユースの代表が参加し、気候変動対策およびSDGsの野心を高める必要性を強調したほか、共同実施の強化を緊急に進めることや、資金や能力開発などのギャップに対処する必要性を共有しました。
武内和彦理事長は閉会の辞において、2030年までに生物多様性を回復させ、生物多様性の野心的な世界目標を達成することの重要性を呼びかけました。とりわけ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)、地球環境概況(GEO)に関する運営委員会などで蓄積された科学的知見を政策に反映させ、地域社会での「持続可能な地域づくり」の実践につなげなければならないことを強調しました。
IGESは気候変動対策とSDGsの相乗効果を念頭においた行動が、2030年までのSDGsおよびパリ協定の1.5度目標の達成に重要となっていることを踏まえ、過去2回の会議における武内和彦理事長らの登壇に加え、環境省とともにフォローアップのイベントを開催するなど、積極的な役割を果たしてきました。
本会議の成果
カンファレンスバックグラウンドノート(背景資料)
情報を集約したカンファレンスバックグラウンドノートは、本会議の準備プロセスの一環として作成され、ディスカッションの基礎とされました。気候変動対策とSDGsの相乗効果を活用した最新の事例報告や分析に基づいて作成されています。IGESは本ノートの作成においてテクニカル・アドバイザリー・グループのメンバーからの意見を取りまとめて全体の文書作成を行うなどの主導的役割を果たしました。
「第3回パリ協定と持続可能な開発のための2030アジェンダの相乗効果の強化に関する国際会議」のために作成された本バックグラウンドノートは、1) シナジーとトレードオフについて何が知られているか、 2) 気候変動とSDGsに対する野心を高め、進歩を加速させるために既存及び新たな知識を統合するために何ができるか、という2つの問いに答えるものとなっている。都市システムにおける相乗効果を示す強力なエビデンスが示される一方、他分野ではそれは断片的である。特定の状況における相互関係に光を当てるために、コベネフィットや水・食料・エネルギーのネクサス(WFEN)ツールを利用する可能性を強調するとともに、エビデンスを行動に移すためのイネイブリング・エンバイロンメントの形成の重要性を強調している。
This conference background note is developed for the Third Global Conference on Strengthening Synergies between the Paris Agreement and the 2030 Agenda for Sustainable Development. The note aims to address two questions: 1) What is known about synergies and trade-offs? and 2) What can be done to consolidate existing and emerging knowledge on these...
エビデンスに基づく行動の後押し
本会議では、エビデンスに基づく行動を後押しするために評価と情報が提供されました。IGESを含むテクニカル・アドバイザリー・グループのメンバーは、知識の体系化と普及を促す「気候変動とSDGsのシナジー知識プラットフォーム」に技術的支援を提供するとともに、本会議への情報提供を目的に簡れするテーマのテクニカルブリーフを作成しています。
カンファレンスサマリー
今後発表される本会議のカンファレンスサマリーは、気候変動対策とSDGsの相乗効果について理解を深め、より効果的な促進に大きく寄与することを目指し、9月の国連総会、11月の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)、持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP)および、12月の生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)、日本が議長国を務める2023年のG7、2023年3月の持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)、2023年7月の国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)、2023年9月のSDGサミットや、その他の主要なグローバルプロセスへの重要なインプットとなります。
変革のためのパートナーシップの構築
持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)とパリ協定の目標達成につながる相乗的行動のある行動を強化するために、政府、企業、アカデミア、市民社会、コミュニティ、個人など、すべてのステークホルダーが協力する必要があります。なかでも、次世代を担うユースは今日の地球環境による危機の影響を最も受ける当事者でもあり、より良い未来の創造に向けて、気候変動や生物多様性をはじめとする環境分野の諸課題に対して積極的に声を上げるなど、国内外で重要な役割を果たす主体でもあります。そこでIGESは、本会議における特別サイドイベント「Youth Day」の開催を支援したほか、そこでまとめられた提言を、ユース自らが本会合の"The Way Forward" セッションで紹介する機会を設けるなど、さらなる有意義な関与の機会を提供していくための後方支援を行いました。
Youth Day - Designing the future beyond the achievement of the Paris Agreement and the 2030 agenda -
【本件に関するお問い合わせ】
広報担当:勝池(かついけ)、庄(しょう)
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