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UNFCCCCの下、各国は定められたIPCCガイドラインに則して温室効果ガス(GHG)インベントリを作成することとなっており、本サブテーマの目的は、他のサブテーマで得られる研究成果をこのガイドラインに基づき統合的に日本のインベントリに反映する方法を開発することである。また、土地利用変化に伴う土壌炭素量変化に関する報告強化の必要性が高い途上国(UNFCCC附属書I国以外)を対象に、本課題の成果の応用を含めた対応策を提示する。主要先進国(UNFCCC附属書I国)のインベントリの詳細な調査及び専門家へのヒアリング調査から、土壌炭素量変化に関する報告の課題は大きく①遷移期間、②算定・報告の区分、③開発地への転用に関する取扱いがあることが分かった。日本の土地利用に関するデータの入手可能性と精度、各土地利用の管理方法、及び各国の各課題に対する取組みを踏まえ、各サブテーマと協力して算定方法を定め日本のGHGインベントリに適用した結果、土地利用、土地利用変化及び林業分野の排出・吸収量の算定結果の精度が、300~700万t-CO2/年程度(同分野の純吸収量の約10%前後)向上する見込みである。本算定方法については、日本の温室効果ガス算定検討会に提案し結果、令和4年度に作成されるGHGインベントリ(令和5年4月提出)から適用する方針で了承を得た。途上国については、GHGインベントリ上の土壌炭素変化量に関する報告が限定的であったことから、オンラインで質問票調査を実施し、報告の実態と課題の状況を把握した。結果、報告が出来た国・機関は、自ら関連機関との協力強化やインベントリ専門家と土壌研究者の連携強化を通して、追加的に土地利用管理や排出係数等の土壌データを収集していることが分かった。土壌炭素量変化に関する課題認識は、国や機関の状況によって異なり、①GHGインベントリ作成全般、②土壌専門性、③データ収集に関する課題に大きく分類できる。本課題の成果は特に、③土壌データ収集についての意識が強い国・機関に向けて普及するのが効果的であり、今後ペアサンプリング法のマニュアル開発やトレーニングを実施することを提案する。同時に、国際的には、途上国のGHGインベントリの報告強化のため、①、②の課題対応も合わせて進める必要がある。
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