脱炭素社会実現のための都市間連携ガイドブック

ポリシーレポート
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世界の多くの国では、急速な人口増加と都市化に伴い交通渋滞、廃棄物の増加、大気・水質汚染など様々な環境問題が顕在化している。また、気候変動により、世界各地で局地的な豪雨や洪水、渇水・土砂災害などが頻発化しており、社会経済基盤である都市の活動にも多大な影響が出てきている。その一方で、都市は世界のCO2排出量の70%以上を占めると推定されていることから、これからの都市開発において、気候変動対策の観点も含めたなまちづくりを推進することが不可欠になっている。

 2020年を迎えた今年、気候変動対策の法的枠組みとして2016年に発効したパリ協定が始まった。実施に力点が置かれる中、都市や民間企業のようなノンステートアクターのアクションに対する期待はこれまで以上に高まっており、これらの活動を支援するような動きが国際的にも強化されてきている。

 環境省は、このような国際的な動向を先取りして2013年度から、途上国都市の低炭素化を支援する「低炭素社会実現のための都市間連携事業」(以下「都市間連携事業」という)を展開してきた。本事業は、日本の自治体と途上国のパートナー都市が連携し、民間企業とも協働してパートナー都市の低炭素化に資する案件の発掘・形成調査や、制度構築支援、人材育成などの協力事業をパッケージで展開するものである。都市には様々なインフラが集中していることから、これらの設備に優れた低炭素技術・製品・システムを、日本政府が推進する二国間クレジット制度(JCM)などを活用して導入・展開していくことは、都市の低炭素化に役立つだけでなく、都市の環境改善やエネルギー供給など様々なコベネフィット効果が期待でき、さらには持続可能な開発目標(SDGs)の推進にも貢献するものである。来年度(2020年4月)からは、パリ協定の実施の段階に入った状況を踏まえ、早期の脱炭素社会の実現に貢献する事業として、より一層の推進が図られることになっている。

 本書は、日本の自治体および民間企業に向けて、都市間連携事業に関する理解を促す目的で作成されたものである。

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