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本業務報告書は、令和3年度フィリピンにおける河川流域と沿岸域での適応事業化支援業務の成果を報告するものである。本業務は、自然を基盤とした解決策の知見整理業務、参加型河川流域土地利用方法論を用いた適応事業化支援業務、および参加型沿岸域土地利用方法論を用いた適応事業化支援業務の三業務によって構成される。
自然を基盤とした解決策の知見整理業務は、近年国際場裡で注目をあつめる、気候変動を含む多様な社会課題に対して自然を活用して対処する様々な手法を包摂する概念としての「自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions、以下、単にNbSとする)」について、幅広く情報収集を行った上で、それらをわかりやすく紹介するウェブサイトとして整理する業務であった。業務の成果として、NbSを紹介する記事を計49本執筆し、それらをNbSの意義をわかりやすく伝えられるようにデザインしたウェブサイト上に公表した。これらは、NbSのグッドプラクティス集として、気候変動にとくに脆弱なアジア太平洋の開発途上国の地方政府行政官によって、資金調達や政策形成といった各局面で参照・活用されることが期待される。
一方、「参加型河川流域土地利用方法論(PWLM)」を用いた適応事業化支援業務、および「参加型沿岸域土地利用方法論(PCLM)」を用いた適応事業化支援業務は、環境省がフィリピンにおいて開発した両手法を活用し、シラン・サンタローザ流域およびミンドロ島東海岸地域において気候変動適応策の事業案を形成し、緑の気候基金(GCF)などの基金を想定した要請書を作成することを目的とした。
業務の結果として、各自治体や関係機関との協議を経て、当該地域の2自治体(サンタローザ市およびカラパン市)を対象としたPSF要請書を作成し、それを自治体に提供するとともに、基金事務局へと提出を促すよう働きかけを行った。
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