公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES:アイジェス)は、1月13日(金)、昨年1年間に発信したIGESコンテンツのアクセス数やイベントの事前申込者数などをカテゴリー別に集計し、そのランキングを発表しました。ランキング上位のコンテンツには、昨今の注目テーマや今後のトレンドを議論したものも多く含まれています。昨年の環境問題を取り巻く動向の振り返りや2023年を展望する上での参考として、IGESのコンテンツをより多くの方に改めて活用していただければ幸いです。
今回発表したのは、「出版物ダウンロード数トップ10(日・外)」「webページ閲覧数トップ5(日・外)」「IGES公式YouTubeチャンネル動画再生回数トップ5(日・外)」「最も「いいね!」が多かったツイート(日・外)」「最も参加申し込みが多かったイベントトップ5(日・外)」の5つです。いずれも、集計期間は2021年12月1日~2022年11月30日とし、同期間に公開・更新されたコンテンツを対象としました。
【IGESコンテンツ人気ランキング2022】
<<出版物ダウンロード数トップ10>>
日本語の出版物では、「実潮流に基づく電力系統運用を行った場合の2030年度の電源構成に関わる分析」がダウンロード数1位となりました。本レポートの執筆者は2020年から実潮流に基づく電力系統運用による日本国内の再生可能エネルギー導入量や出力抑制に関する分析・評価を継続して実施しています。これまでに、送電線の空容量の課題が顕在化していた北海道及び東日本地域から着手し、全国レベルへと分析範囲を拡大しました。これらの研究成果を基に、炭素価格(カーボンプライシング)導入の効果分析も取り入れた2030年の電源構成に関する分析は、同時期に公開された他の出版物の中でも突出して注目を集めました。そのほかでは、「損失と損害」に関するレポートがトップ10に入っており、COP27でも話題となったこのトピックへの関心の高まりが反映された結果となりました。一方、外国語の出版物では、毎年上位となっているCO2削減量を算定するために使用される各国の電力系統のCO2排出係数一覧や、国が決定する貢献(Nationally Determined Contributions - NDC)などのデータ類が10位中5つを占めました。昨年も上位4つが同様のデータ類でしたが、二国間クレジット制度(JCM)や各国の温室効果ガス排出量に関するデータも今年は上位に入りました。また、IGESが展開している、主にアジアの国々への能力開発支援に関連したツールやマニュアルなどが上位に入りました。国内外でこうした実践的な情報のニーズが高まっていることが伺えます。
<日本語>
<外国語>
<<webページ閲覧数トップ5>>
※対象コンテンツ:集計期間中に公開・更新された特集、ニュース、イベントのページ
日本語のコンテンツでは、特集ページがトップ5を締めました。今回はG7・G20サミット特集2022が国連気候変動枠組条約締約国会議(UNFCCC COP)関連の特集ページを抜いて1位となりました。「G7とは?」「G20とは?」という疑問の受け皿となるよう設計されたページは、G7/G20に関する基本的な解説に加え、IGES研究員による簡潔なコメントがコンパクトにまとまっています。また、集計期間の関係で、公開後1カ月程度の期間の閲覧数ながらCOP27特集ページが2位となったことは、国内の気候変動問題への関心の高まりを反映しているといえるでしょう。
外国語コンテンツでもG7・G20サミット特集ページが1位となりました。前回のランキングではG7・G20サミット特集2021はランク外でしたが、ページ内容の充実が結果に反映されたと考えられます。IGESが主催、または共催した国際イベントのページの閲覧数も多く、3つのイベントがランクインしました。
<日本語>





<外国語>
<<IGES公式YouTubeチャンネル動画再生回数トップ5>>
日本語版では、前回同様、UNFCCC COPの結果速報ウェビナーがダントツの1位となりました。さらに、上位5つのうち4つが気候変動ウェビナーシリーズの動画となり、同シリーズの人気が伺えます。外国語版では、webページの閲覧数を反映し、「International Conference for Implementing Article 6 of the Paris Agreement(パリ協定第6条実施に向けた国際会議)」の1日目、2日目がそれぞれ1位、3位に入りました。Zero Carbon City International Forum 2022(脱炭素国際都市フォーラム)の動画も2本が上位に入りましたが、集計期間の短さにもかかわらず、COP27のサイドイベントとして開催された「COP27 Japan Pavilion Side Event: Role of the private sector in realizing the GGA(適応に関する世界目標(GGA)の達成に向けた民間セクターの役割)」が4位に入ったことは、適応への関心の高まりを反映したものと言えるでしょう。
<日本語>
<外国語>
<<最も「いいね!」が多かったツイート>>
日本語アカウント、英語アカウントともにIGESの公式アカウントは前年と同レベルのフォロワー数の増加を得ました。その中で、日本語ツイートで最も多く「いいね!」を集めたのはIGES研究員のコメントが紹介された東京新聞の記事に関するツイートでした。一方、英語アカウントでは、IGESの研究員も参加したマイクロプラスチック汚染に関する研究論文についてのツイートが最も多く「いいね!」を集めました。
<日本語>
11月1日 「気候変動対策への意欲を就任会見で示した杉並の岸本区長。世界共通の課題ゆえに「区長の仕事なの?」「区に何ができるの?」と感じた方もいるようですが、都市や法律、建築にも詳しい浅川賢司IGESプログラムマネージャーは自治体と首長の重要性を強調します。その理由とは?」
https://twitter.com/IGES_JP/status/1587359291924545537
<英語>
7月4日 「#FAIRdata is key for #EvidenceBasedPolicy to battle #PlasticPollution. Article discussing #microplastic data availability. https://doi.org/10.3389/fenvs.2022.912107」
https://twitter.com/IGES_EN/status/1543751347153272832
<<最も参加申し込みが多かったイベントトップ5>>
圧倒的第1位となったのが、UNFCCC COP27の結果速報ウェビナーでした。YouTubeの動画再生回数ランキング同様、上位はすべて気候変動ウェビナーシリーズのCOP27に関するイベントとなっています。開催前には「盛り上がりに欠ける」とするメディアもありましたが、少なくとも日本国内のCOP27に対するIGESコンテンツのニーズは高かったと言えます。外国語でも上位2つが気候変動ウェビナーシリーズのイベントとなりました。その他のイベントは、アジアの都市の脱炭素化、海洋マイクロプラスチック、アジアの気候変動と大気汚染など、いずれもIGESが特に注力する分野のものとなりました。
<日本語>


<外国語>