国際応用システム分析研究所(IIASA)日本委員会

設立の背景

国際応用システム分析研究所(IIASA: International Institute for Applied Systems Analysis)は、1972年10月、東西冷戦下において、成熟社会に共通する諸課題を研究するために、東西両陣営の主要国がその政治的立場を離れ、同等の参加を目指した非政府ベースの国際研究所として設立されました。
その後東西緊張が解消した後には、地球規模の諸課題の解決に資するシステム分析を中心とする研究を展開し、これまでノーベル賞受賞者を輩出している他、IPCCのリード・オーサー等をつとめる専門家を擁する世界有数の国際研究所として活躍しているところです。また近年特に新興国の加盟に伴い、東西問題から南北問題(貧困、食糧、公平性など)に重点がシフトしつつあることが注目されます。

加盟国・加盟地域

米国、ロシア、日本、英国、ドイツ、オーストリア、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、中国、インド、韓国、イスラエル、エジプト、ベトナム、インドネシア、ウクライナ、スロバキア、イラン(計19ケ国)、サブサハラアフリカ地域(1地域、参加国はボツワナ、 ブルキナファソ、コートジボワール、エチオピア、ガーナ、ケニア、マラウィ、ナミビア、ナイジェリア、モザンビーク、ルワンダ、セネガル、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエの計17か国)

オブザーバー:ブラジル(2011年‐2022年加盟)
メキシコ(2014-2020年加盟。現在、議決権はないが理事会に参加)
加盟予定国:ヨルダン(2020年から加盟交渉中)

研究活動

IIASAは、システム分析手法を応用し、人間による環境への影響を減らし、自然・社会経済システムの回復力を高め、持続可能な開発目標の達成を支援するためことを目的とする国際研究機関です。研究プログラムやイニシアティブを通じて、一国や一学問分野では解決できないような大規模かつ複雑な問題について、政策志向の研究を行っています。

現在、次の6つの研究プログラムで構成されています。

研究プログラム

  • 先進的システム分析(ASA)
  • 生物多様性・自然資源(BNR)
  • エネルギー・気候・環境(ECE)
  • 人口・公正な社会(POPJUS)
  • 経済フロンティア(EF)
  • 戦略イニシアチブ(SI)

次世代能力開発

1977年より「若手研究者夏季プログラム」(Young Scientists Summer Program: YSSP)を実施しています。YSSPは毎年6月から3ケ月間IIASA本部にて各国から推薦を受けた若手研究者(博士課程の学生)約50名を受入れ、IIASAの研究スタッフの指導の下、各自の研究活動を推進します。
詳しくはこちら: https://iiasa.ac.at/opportunities/yssp

研究所組織

理事会 IIASAの最高意思決定機関で、各加盟国組織(National Member Organization: NMO)・加盟地域組織(Regional Member Organization: RMO)の代表者から構成、常会は年2回開催。
現在の議長は、米国。理事会の中に、4つの委員会(執行、財政・リスク・監査、メンバーシップ、プログラム・能力開発)が設けられている。
所長 Dr. Albert S. van Jaarsveld
職員 研究者391名(内フルタイム212名)(2022年)
財政基盤 年間予算規模約2,490万ユーロ(2022年実績)。活動資金は、各加盟国組織が支払う拠出金(合計約1,067万ユーロ:2022年実績)と委託事業費及び寄付金から構成。

IIASA日本委員会

日本では、1972年(昭和47年)のIIASA設立と同時に、学識経験者によりIIASA日本委員会が組織され、当委員会が日本を代表してIIASAに参加し、IIASAの運営、発展に協力してきました。

現在、当委員会は、武内 和彦 地球環境戦略研究機関(IGES)理事長/東京大学未来ビジョン研究センター特任教授を委員長とし、竹本 和彦 東京大学未来ビジョン研究センター特任教授をIIASA日本代表理事とした、委員計8名で構成されています。

日本委員会委員 (2023年3月1日現在)

委員長 武内 和彦 地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長/
東京大学未来ビジョン研究センター特任教授
委員 秋元 肇 国立環境研究所 地球環境研究センター 客員研究員
  沖 大幹  東京大学大学院工学系研究科 教授
  甲斐沼 美紀子 地球環境戦略研究機関 研究顧問
  竹本 和彦(日本代表理事) 東京大学未来ビジョン研究センター特任教授
  森口 祐一 国立環境研究所 理事
  森田 香菜子 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 主任研究員
  山地 憲治 地球環境産業技術研究機構(RITE) 理事・研究所長
オブザーバー 環境省 水・大気環境局 総務課 国際協力推進室
事務局 IIASA日本委員会事務局 (地球環境戦略研究機関 戦略マネージメントオフィス内) 〒240-0115神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
電話:046-855-3852 FAX:046-855-3809 [email protected]

2023年度 Young Scientists Summer Program (YSSP) 募集スタート

YSSP(Young Scientists Summer Program: 若手研究者夏季プログラム)は、 IIASAにより毎年6月から8月の3ヶ月間実施される若手研究者のためのプログラムです。本プログラムは、IIASAで進行中の研究と互換性のあるテーマに取り組んでいる博士課程の学生を対象とし、参加者は、学術的かつ国際的な研究環境の中で、IIASAの経験豊富な科学者の直接指導を受けることが出来ます。また、将来の共同研究にIIASAの世界的なネットワークを活用する機会も得られます。

プログラム分野

現在2023年度のYSSPの募集が開始されています。詳細については、IIASAのWEBサイトをご参照ください。

  • お申込みはこちらから: IIASA Young Scientists Summer Program
  • 2023年YSSP申請期限: 2023年1月12日 (※ 選考結果は2023年3月12日発表予定)
  • プログラム実施期間: 2023年6月1日 - 8月31日
 

IIASA日本委員会支援制度について

IIASA日本委員会は、2023年度YSSP(Young Scientists Summer Program: 若手研究者夏季プログラム)に参加する日本人を対象として、渡航費用の一部を財政支援する「IIASA日本委員会支援制度」を実施いたします。本制度では、2023年度YSSPの最終選考に残った日本人応募者のうち、IIASA日本委員会が推薦する応募者を対象に、2023年度YSSPにIIASAで参加することを条件として、渡航費用の一部として30万円を支給いたします。(※オンラインで参加の場合、費用の負担はございません)

なお、本制度はIIASAから提供される最終選考に残った申請者に関する情報に基づき運用するため、YSSP申請時に別途日本委員会に対して申請手続きを行う必要はありません。IIASA日本委員会から対象者への連絡は、2023年3月頃となる見込みです。

日本委員会の支援制度を受けたYSSP参加者は、プログラム終了後、YSSPに参加した報告として、日本委員会へのレポート提出をお願いします。なお、同レポートはIIASAと日本の研究コミュニティの情報共有等のため、公表させていただく場合があります。

お問い合わせ

IIASA日本委員会事務局
公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 戦略マネージメントオフィス
〒240-0115神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3852   Fax: 046-855-3809   [email protected]