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COP21で採択されたパリ協定において定められた「2℃目標」や、これも踏まえて平成28年5月13日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」で定められた「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す」といった目標の達成のためには、極めて巨額の投資が必要であり、今後、これらの目標の達成のため、民間資金を低炭素化事業(再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業等)に大量に導入し、活用していくことが不可欠である。
海外においては、特にEUが、気候変動対策及び環境負荷の低減のために民間資金を導入するための制度的枠組みを積極的に構築し、金融市場のグリーン化に向けた環境整備が一層進んでいる。EUでは、サステナブルファイナンスについて検討する専門家グループを設立し、専門家グループの報告書を基にしたサステナブルファイナンスの10のアクションプランを策定した。アクションプランの施策として、資金を振り向けるべきサステナブルな経済活動をタクソノミー(英語で、分類学という意味)という体系的な整理及び定義をすることや、タクソノミーに適合する資産の割合に関する情報開示を機関投資家及びアセットマネジャーへ要求する施策を推進している。
また、このような政策的枠組みに並行して、世界の金融機関、投資家、企業及びNGOなどを含む社会のステークホルダーが、様々なグリーンファイナンスの手法に関与や関心を強めている。例えば、中央銀行が金融市場の脆弱性と安定性を左右する要素としての気候変動に着目し、ストレステストを実施するようにもなった。また、国内においては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に236の国内企業が加盟し、気候変動情報開示の波が徐々に浸透し始めている。
係る状況下、国内のステークホルダーに対して、国内外で起きている各種のグリーンファイナンスに関する情勢を逐次情報公開する意義は大きい。ついては、本事業を通じて、「グリーンファイナンスポータル」を構築し、コンテンツとして発信することとした。また、発信するためのコンテンツを適切に判別し、正確に作成するため、国内外のグリーンファイナンスの動向を調査した。その過程においては、文献調査に加え、有識者が出席する検討会の実施及び市場関係者へのヒアリング、国内外のシンポジウムへの出席を行った。本報告書は、それらの活動を、年間実績として記すものである。
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