解説:パリ協定・第1回グローバル・ストックテイク(GST)

ブリーフィングノート

 本稿は、2021年11月から開始する第1回GSTの実施に向け、GSTのパリ協定における位置付けと原則及び第1回GSTにおけるプロセスについて解説する。以下本稿のポイントである。
・グローバル・ストックテイク(Global Stocktake: GST)は、「自国が定める貢献(Nationally Determined Contribution: NDC)」、「強化された透明性枠組み(Enhanced Transparency Framework: ETF)」と共にパリ協定の「野心度引き上げメカニズム」を構成する。GSTの役割はETFの下で作成される透明性隔年報告書(Biennial Transparency Report: BTR)やその他報告書を情報源として、パリ協定の目的及び長期目標達成に向けた世界全体での取り組み状況を評価し、NDCの更新に必要な情報を提供することである。
・GSTは『衡平性』と『利用可能な最良の科学』という2つの原則に基づき、5年毎に世界全体での進捗状況を評価する。加えて第1回GSTは、『learning-by-doing(実施しながら学ぶ)』の実施方針を採用していることから、次回以降のGSTの制度設計に貢献することが求められる。
・GSTは(1)情報収集・準備、(2)技術的評価、(3)成果物の検討、の3つの要素で構成され、全体で約2年から2年半の期間をかけて実施される。第1回GSTにおける(1)情報収集・準備は、2021年11月(第55回補助機関会合:SB55)から開始する。またこの他、情報源の確認といった(1)情報収集・準備以前から執り行われる「事前準備」、及び(3)成果物検討後に実施されるイベントを含む「事後フォローアップ」としての作業が発生する。
・第1回GSTは合意済みのGSTルールに沿った着実な実施が求められる。より詳細な実施方法については引き続き国際交渉を通じた検討がなされる。『learning-by-doing(実施しながら学ぶ)』の実施方針に基づき、包括的で効果的なGST実施に向け、①非国家主体のGSTへの参画を促す仕組み作り、②NDCの野心引き上げに向けたGST成果の活用法、の2点について、第1回GSTから模索していく必要がある。

なお、本稿は2021年5月時点の情報を基に作成されました。それ以降の最新情報及び解釈はUNFCCC GSTのウェブページ(https://unfccc.int/topics/global-stocktake)を参照してください。

 

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