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本分析では、北海道地域の275kVの基幹送電線を対象に、実潮流に基づく送電線運用のもとで、系統運用シミュレーションを行った。シナリオの前提条件としては、合理的と想定される既存の導入ポテンシャル推計結果に基づいて、系統に接続される風力発電の設備容量を1,950MW(2018年度450MWの4.3倍、発電電力量ベースでは7.8倍)、太陽光発電の設備容量を1,855MW(2018年度1,605MWの1.16倍、発電電力量ベースでは1.2倍)と想定した。それ以外の発電・送電設備は2018年度と同様とした。電力需要量や電力需要の時間及び地理的分布も2018年度時点のものとした。また、石炭火力・水力・原子力発電について、発電種別の調整力や稼働の有無といった電源運用の観点から3つのシナリオを設定し、上記の風力・太陽光発電などの想定を加味して分析を行った。
計算の結果、この3つのシナリオではいずれの場合にでも、275kVの基幹送電線のうち、現在「空容量なし」とされる北新得変電所―南早来変電所間送電線(狩勝幹線)及び 西双葉開閉所―大野変電所間送電線(道南幹線)において、風力・太陽光発電による電力を含む潮流が送電線の運用容量を超えることがない状態で系統運用できることが明らかとなった。
3つのシナリオの中でも、技術的に許される範囲で柔軟に石炭火力発電及び水力発電を運用するシナリオでは、風力発電の出力抑制率は0.01%、太陽光発電の出力抑制率は0.27%とほとんど出力抑制は不要であった。この場合の年間の電力供給量における風力・太陽光発電の合計、及び非揚水式水力等を含む再エネ全体の、発電電力量(MWh)の比率は、全電源比で、それぞれ、30%、46%となった。このシナリオに加えて泊原子力発電所3号機の稼働を想定したシナリオでも、風力・太陽光による発電電力量、出力抑制率に大きな影響はなく、原子力発電が石炭火力発電による発電電力量を代替する結果となった。
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