令和2 年度フィリピンにおける気候変動適応分野の人材育成支援業務 報告書

委託報告書
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環境省では平成28 年度より、アジア太平洋地域における気候変動適応分野の知見共有、人材育成に関する支援業務をフィリピンにおいて実施してきた。
 本業務では令和元年(平成31 年)度の「アジア太平洋地域における気候変動適応分野の知見共有、人材育成支援業務」の2.(1)「政策支援ツールの開発・適用」の成果を用い、参加型流域土地管理方法論(以下「PWLM」という。)がフィリピン国内で更に広く活用されるような人材育成を実施した。また、PWLM が河川流域のみならず、沿岸地域の土地利用計画にも活用できるよう必要な機能拡張を実施した。

(1)政策支援ツールの運用にかかわる人材育成としては、PWLM を構成するツールのうち、平成31 年度業務までに実施していない河川氾濫モデル(HEC-HMS/RAS)の能力強化トレーニング研修を実施した。また、上記5流域において、各流域のフィリピン側関係機関がこれまでの能力強化トレーニングで育成された人材と、令和元年度業務で作成したPWLM運用ガイドラインを活用してPWLM を独自に運用し、その成果をCLUP やLCCAP 等の政策文書に反映し、適応事業実施につながるよう、オンライン会議を通じて引き続き支援した。

(2)政策支援ツールの沿岸域への拡張としては、PWLM に、海面上昇モデル(SLAMM)、沿岸脆弱性モデル(InVESTCVI)、塩水遡上モデル(WEAP/GEO-slope)等を加えることで、参加型沿岸域土地管理方法論(以下「PCLM」という。)に改良して沿岸域での活用を目指した。更に、ミンドロ島東沿岸の自治体からパイロットサイトを選び、各種影響評価ツールとPCLM を試行し、パイロットサイト自治体に土地利用計画に資する提言を提供した。本業務では、可能な限りフィリピン側関係機関の参画を促し、活動の全てに技術移転要素を盛り込んだ上で必要な影響評価等を行った。PWLM 運用ガイドラインを改善し、それに沿岸地域での活用に必要な影響評価ツールやデータ類を加え、PCLM 運用ガイドラインとして新たに作成した。ミンドロ島パイロットサイト自治体との成果発表会を開催し、PCLM関係のユーザー研修を行うと共に、運用ガイドラインを参加者に電子媒体で配布した。

(3)共通事項として、業務の内容2.(1)及び2.(2)の成果を第7 回アジア太平洋気候変動適応ネットワークフォーラム(以下APAN フォーラムという)におけるマーケットプレイスにおいてPWLM、PCLM 方法論を紹介した。また、AP-PLAT に人材育成コンテンツとしてPWLM、PCLM 運用ガイドラインを整理し提供した。

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