気候・環境関連分野に関するG7サミットの成果とエンゲージメントグループによる提案の比較から読み解けること

ディスカッションペーパー
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2021年は英国がG7の議長を務め、サミット及び一連の大臣会合を開催した。G7には、エンゲージメントグループという、政府から独立したステークホルダーが提言や政策対話を行う仕組みが存在する。各エンゲージメントグループは、本年6月に開催されたG7サミットに先立ち、G7で議論される分野に関してそれぞれ提言をまとめ、公開した。本稿では、気候・環境分野に関する各エンゲージメントグループの提言を整理し、G7サミットの成果とエンゲージメントグループの提言を主に比較した。その結果、エンゲージメントグループによる提言の多くは、G7カービスベイ首脳コミュニケ(首脳コミュニケ)及び付属文書、気候・環境大臣会合コミュニケ(大臣会合コミュニケ)等で合意された内容の中に何らかの形で言及がなされていることが分かった。気候変動分野では、特に気候資金に対して各グループからの注目の高さが伺えた他、生物多様性分野では首脳コミュニケの付属文書として「G7・2030年自然協約」が採択され、エンゲージメントグループの提言が概ね反映されていると言える。加えて、ビジネス界はB7という独自のグループを有するが、他のエンゲージメントグループから企業活動に関する要望が数多く見られ、気候・環境分野でビジネス界が果たすべき役割の大きさが再確認された。また、ジェンダー平等の観点を中心に、包摂的なアプローチが強く意識されたことが見て取れる一方で、気候変動や環境問題に関連した教育については、首脳・大臣会合コミュニケの双方においてほとんど言及が見られなかった。最後に、G7の非連続性とアカウンタビリティ・メカニズムの欠如という課題に対し、コミュニケと進捗状況のモニタリング・レビューという、エンゲージメントグループが担える役割を提案するとともに、今後の研究課題について提案をした。

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