激動中国:その26 中国全国炭素排出量取引制度の実施とその意義:その3

地球温暖化所収
Volume (Issue): 2022/1
その他アーティクル
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 20217月、内モンゴル自治区(日本の都道府県に相当)生態環境庁は、当該政府ホームページにおいて、「内モンゴル・エルドス・ハイテク材・株式会社(エルドス社)による排出量虚偽記載事実」の制裁的公表が行われた。本件は、全国ETS制度史上の第1号違反事例であったため、社会各界からの大きな反響を呼んだ。今回の不正は、エルドス社が提供した燃料用石炭のサンプルに対する「炭素含有量測定」業務依頼を受けた広州エネルギー計測研究院(計測院)の告発によって明らかになった。エルドス社は、計測院が納品した2020年度の炭素含有量測定データを改ざんし、2019年度排出量報告書の計算根拠として不正に流用した。この虚偽記載によってエルドス社は、少なくとも1億元相当(16億円弱)の排出枠清算義務を回避したとの試算もある。

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