中国脱炭素成長戦略の背景と課題

公共政策研究所収
Volume (Issue): 第21号
その他アーティクル
cover image

2020922日に開かれた国連75周年総会の一般討論演説において、中国習近平国家主席(以下、習主席)は、「2030年より前に二酸化炭素の排出のピークを達成し(2030年目標)、2060年より前に炭素中立(カーボンニュートラル。以下、2060年目標)を達成するように尽力」することを表明した。同年1212日に開催された世界気候サミットの場にて、習主席は、2030年より早い時期でのピークアウトの達成を強調し、2030年まで、①GDPCO₂排出量を2005年に比べ65%以上削減する、②一次エネルギーに占める非化石エネルギーの割合を25%前後にする、という目標を発表した(2030年強化目標)。中国政府は、2030年強化目標と2060年目標を「3060目標」と略し、公式な国家脱炭素目標として位置づけ、国内政策に適用している。本稿の目的は、中国が3060 目標を軸とした、脱炭素成長戦略の確立の背景、脱炭素戦略確立における戦略的思考、③2060年ネットゼロ目標の実現に向けた課題、の3点について明らかにした。

著者:
日付:
トピック: