G7・G20サミット特集2021

2021年は、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が英国で、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が中国で開催される予定であり、気候変動をはじめとする様々な環境課題に関する国際的な取り組みを加速させる重要な一年となります。

これらの重要な国際会議に先立ち、5月20・21日にG7気候・環境大臣会合が、6月11~13日にG7サミットが開催されました。本年COP26を主催する英国が議長国を務め、G7気候・環境大臣会合の成果として『G7気候・環境大臣会合コミュニケ』(原文暫定仮訳)が、サミットの結果として『G7カービスベイ首脳コミュニケ』(原文和訳)が発表されました。これらのコミュニケでは、新型コロナウイルスのパンデミックからのより良い回復などに加え、環境分野では気候変動と生物多様性の損失という相互依存の危機に対するG7のコミットメントが示されました。特に、気候変動に関しては、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を年内に終了することや、途上国支援のために2025年までの国際的な公的気候資金全体の増加及び改善にコミットしました。生物多様性については、G7サミットで2030までに生物多様性の損失を止めて反転させるという世界的任務を支える「G7・2030自然協約」を採択し、国内の状況に応じて、2030年までにG7各国の陸地及び海洋の少なくとも30%を保全又は保護することにコミットしました。

G7サミットの後、7月22日・23日にはG20環境大臣会合及び気候・エネルギー大臣会合が開催されました。議長国を務めたのは、本年、英国と共にプレCOP26を開催するイタリアです。G7メンバーに加え、本年の生物多様性COP15開催国である中国など、G20メンバーである途上国が参加しました。G20環境大臣会合では①自然資本、②資源利用について、G20気候・エネルギー大臣会合では①都市、②持続可能な復興とエネルギー移行について議論が繰り広げられ、成果としてG20環境大臣会合コミュニケ(原文・仮訳)とG20気候・エネルギー大臣会合コミュニケ(原文・仮訳)が発表されました。

G7はGroup of 7の略で、先進7か国(日本、アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス)をメンバーとする政府間組織です。G7の会議には先進7か国の代表の他、EUの代表も参加します。また、2021年はインド、南アフリカ、韓国、オーストラリアがゲスト国として参加します。議長はメンバー国が持ち回りで務めます。2022年の議長国はドイツになります。ちなみに日本は2016年にG7の議長を務めました。次回は2023年です。

G7・G20共に「サミット」と呼ばれる首脳級の会合が良く知られています。しかし、それ以外にも特定の分野に関する議論が年間を通じて行われています。例えば、本年のG7は、議長国イギリスのもと、貿易大臣、内務大臣、保健大臣、外務・開発大臣、気候・環境大臣、デジタル・テクノロジー大臣、経済・財務大臣が集まる会議がそれぞれ開催されます。その年のG7やG20で、どの大臣会合を開催するか、何を議論するかといった点に議長国の優先課題や意思が強く反映されます。

G7・G20で議論される分野に関して、ステークホルダーが提言等の貢献を行うメカニズムとしてエンゲージメント・グループが存在しています。例えば、本年のG7には、各国団体の代表によって構成される以下の6つのエンゲージメント・グループが活動を行っています:Y7 (Youth 7:ユース)、W7 (Women 7:女性)、S7 (Science 7:科学者)、L7 (Labour 7:労働組合)、C7 (Civil Society 7:市民社会)、B7 (Business 7:経済団体)。

近年のG7とG20における環境問題に関する成果を振り返ると、①気候変動とエネルギー、②資源循環と海洋プラスチック、③生物多様性、④環境課題の社会的側面といったトピックが継続して議論されていることがわかります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの中で開催された2020年のG20環境大臣会合ではパンデミックからの環境的に持続可能で包摂的な復興についても議論されました。

先進国が一致した姿勢で、野心的に課題解決に取り組み、世界に範を示す機会として活用されることが多いG7。先進国と新興国が協力することで、国際的な取り組みや合意形成への機運を高める機会にもなりうるG20。本年はどのような成果が出てくるでしょうか?


IGES関連イベント

過去のイベント
気候変動ウェビナーシリーズ

G7気候・環境大臣会合の結果について

昨年の12月12日に国連・英国・フランスが協力し、開催された気候野心サミットでは、2021年のすべての国際的な会議(G7・G20など)が 気候変動対策について議論するとアロック・シャルマCOP26議長より発表がありました。約束通り、2021年に入り、ほとんどの国際会議で気候変動が議論されています。 2021年は、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が英国・グラスゴーで、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が中国で開催される予定であり、...

研究者の視点

議長国である英国政府のもと、ビジネス・エネルギー・産業戦略省と環境・食料・農村地域省が共同でG7気候・環境トラックを主導し、以下の6つの政策優先事項に焦点を当てています。G7気候・環境大臣会合は、5月20-21日にオンラインで開催されます。

  • 遅くとも2050年までにG7をネット・ゼロにする
  • 低炭素経済への移行の支援
  • 自然との関係の再構築
  • 生物多様性の損失を食い止め、回復させるための行動
  • 海洋活動
  • 自然への違法な脅威への取り組み

これらの議論について、内容の解説とIGESの見解をまとめたコメンタリーを発表する予定です。完成し次第、こちらに掲載させていただきます。

G20はGroup of 20の略で、G7メンバーとEUの他、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、トルコ、サウジアラビア、南アフリカをメンバーとする政府間組織です。G20の議長も参加国が持ち回りで務めます。1997年のアジア通貨危機を受けて1999年にG20財務相・中央銀行総裁会議を開催したことをきっかけに誕生したG20は、主に経済・金融に関する議論を続けてきましたが、近年はそれ以外の分野の議論・取り組みも活発になりました。例えば、日本は2019年にG20議長国として「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」を開催しました。これは、G20としてエネルギー大臣と環境大臣が初めて一堂に会する機会となりました。G20での環境大臣会合開催はその後の議長国に引き継がれ、この度、議長国イタリアのもとでは、環境大臣会合及び気候・エネルギー大臣会合が行われました。2022年の議長国はインドネシアになります。

G7・G20共に「サミット」と呼ばれる首脳級の会合が良く知られています。しかし、それ以外にも特定の分野に関する議論が年間を通じて行われています。例えば、本年のG20は、議長国イタリアのもと、観光大臣、労働・教育大臣、外務・開発大臣、経済・財務大臣、環境・気候・エネルギー大臣、文化大臣、イノベーション・研究大臣、保健大臣、農業大臣、貿易大臣が集まる会議がそれぞれ開催されます。

G7・G20で議論される分野に関して、ステークホルダーが提言等の貢献を行うメカニズムとしてエンゲージメント・グループが存在しています。例えば、本年のG20には、各国団体の代表によって構成される以下の8つのエンゲージメント・グループが活動を行っています:Y20 (Youth 20:ユース)、W20 (Women 20:女性)、S20 (Science 20:科学者)、L20 (Labour 20:労働組合)、C20 (Civil 20:市民社会)、B20 (Business 20:経済団体)、U20(Urban 20:都市)、T20(Think 20:シンクタンク)。

近年のG7とG20における環境問題に関する成果を振り返ると、①気候変動とエネルギー、②資源循環と海洋プラスチック、③生物多様性、④環境課題の社会的側面といったトピックが継続して議論されていることがわかります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの中で開催された2020年のG20環境大臣会合ではパンデミックからの環境的に持続可能で包摂的な復興についても議論されました。

先進国が一致した姿勢で、野心的に課題解決に取り組み、世界に範を示す機会として活用されることが多いG7。先進国と新興国が協力することで、国際的な取り組みや合意形成への機運を高める機会にもなりうるG20。本年のG7とG20で言及された気候・環境分野の議論について、IGESの研究員が解説・コメントを発表しています。


研究者の視点

7月22日に行われた環境大臣会合では、気候変動、生物多様性の損失、汚染、土地の劣化と砂漠化、海洋の健全性の低下、淡水やその他の自然資源の持続不可能な利用といった相互に関連する課題に対処するための努力を継続し、強化することを再表明しました。そして、海洋、持続可能な水管理、持続可能で循環的な資源利用などに向けた連携と行動の強化をステークホルダーに呼びかけました。

7月23日に行われた気候・エネルギー大臣会合では、都市と気候変動、また、持続可能な復興とクリーンエネルギーの移行に関して議論が行われました。声明文では、世界的な排出量を削減し、気候変動への適応を強化するとともに、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)やパリ協定の達成を可能にする、クリーンエネルギーへの移行の重要性が強調されています。

これらの議論について、内容の解説とIGES研究員の見解をまとめたブリーフィングノートを発表しました。以下の「関連出版物」にあります「2021年G20エネルギー・気候合同大臣会合の結果」をぜひご覧ください。

関連出版物

ブリーフィングノート

1.5℃特別報告書の発表以降、国連気候変動枠組条約第26 回締約国会合(COP26)に向けて、長期目標を2℃から1.5℃に軸足を移そうという機運が高まってきており、G7 では1.5℃目標とそれに向けた2050 年ネット・ゼロ達成が合意された。また、G7 気候・環境大臣会合(以下、G7大臣会合)で発表された声明文では、他の主要排出国に対しても同様の約束をすることを強く求めており、まさに主要排出国の集まりであるG20 でどのような合意がなされるのかが注目された。本ブリーフィングノートでは、
G20 エネルギー・気候合同大臣会合(以下、G20 大臣会合)の成果文書である声明文のうち、「気候変動に対する行動」に関する内容を中心に解説する。特に、今年5 月に開催されたG7 大臣会合の声明文と比較し...

ポリシーレポート

This report is the third compilation report on policies and measures with regards to marine plastics litter taken / to be taken by the participating countries, regions and organizations. This comprehensive report was produced under the responsibility of the Ministry of Ecological Transition, Government of Italy, with the support of the Ministry of...

 
他機関出版物の翻訳
著者:
London School of Economics and Political Science

本版はLondon School of Economics and Political Scienceが2021年5月10日に発表した「G7 leadership for sustainable, resilient and inclusive economic recovery and growth - summary report」の公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)による暫定非公式訳である。2021年6月11日から13日までコーンウォールのカービスベイで開催されるG7サミットは、21 世紀の成長と雇用の実現や、環境の持続可能性を確保するために、G7が「より良い復興」のために大胆な行動をとるユニークな機会を提供する。 本報告書の第1部では、世界が直面している課題と機会について、第2部では共有のビジョンと戦略について、第3部では行動のための優先事項がまとめられている。

 
他機関出版物の翻訳
著者:
International Resource Panel

国際資源パネル(IRP)作成の本ファクトシートは、日本で開催された2019年G20資源効率性対話(G20 Resource Efficiency Dialogue 2019)への貢献として、日本国環境省およびIGESとの協力の下、「世界資源アウトルック2019:我々が求める未来のための天然資源("Global Resources Outlook 2019: Natural Resources for the Future We Want")」報告書のために実施した研究に基づき作成されました。本翻訳は、G20各国(EUを含む)分あるファクトシートのうち日本を対象とした分析を翻訳したものです。

(2020年7月8日修正版差し替え:p.3の一部訳を修正。『...

プレゼンテーション
G20 Resource Efficiency Dialogue 2019 and Follow up of the G20 Implementation Framework for Actions on Marine Plastic Litter

Presentation on G7 Resource efficiency  synthesis report as a follow-up activity of the G7 Alliance on Resource Efficiency on both the Toyama Framework on Material Cycles (2016) at G20 Resource Efficiency Dialogue 2019 and Follow up of the G20 Implementation Framework for Actions on Marine Plastic Litter

ディスカッションペーパー

Ecosystem-based (EB) approaches have been strongly promoted in various international environmental and development processes. As a result, they are gaining increasing attention among development practitioners, policymakers and researchers. A review of G20 national adaptation plans and related strategies revealed that member countries have...

ポリシーブリーフ
T20 Japan Task Force 3: Climate Change and Environment

This policy brief suggests six priorities for developed and emerging economies represented by G20 countries to mainstream circular economy and society globally, as follows: 1) need to capture the momentum raised by public attention on marine plastic pollution; 2) raise the level of ambition of Extended Producer Responsibility; 3) provide policy...

ポリシーブリーフ
T-20 Climate Change and Environment

Scientific evidence suggests that cumulative GHG emissions have already caused climate change, which tolled victims all over the world but quite often charged disproportionally high costs to poor segment of the world, and substantial mitigation actions are needed to avoid irreversible catastrophic change in ecosystems that underpin very human...

関連ウェブサイト