公開ウェビナー

欧州の気候市民会議からの学び ~気候市民会議の効果的な地方展開をめざして~

2023年6月26日(月) 15:00~16:30

最近、耳にする機会が増えてきた気候市民会議はこの3年ほどの間に欧州で実施されてきたまだ新しい試みです。日本でも、まず札幌市や川崎市で試行的な取り組みがあり、昨年度には武蔵野市や所沢市で、自治体の主催による本格的な気候市民会議が行われました。また今後も、他の複数の自治体で気候市民会議の実施が予定されています。

欧州での気候市民会議は、それぞれの国や自治体の諸状況を反映して多様な形で実施されてきました。2008年に設立された欧州気候財団(ECF: European Climate Foundation)は、パリ協定に沿った気候変動対策の推進の一環として、英国の気候会議(CAUK)への財政的補助をはじめ、欧州のいくつかの気候市民会議への支援を行ってきました。そのECFが様々な気候市民会議からの学びと専門的な知見とを持ち寄り、国際的にこれを改善していくことを目的に2021年に設置したプログラムにKNOCAがあります。KNOCAは気候市民会議に関する知識ネットワークであり、気候市民会議に参画した政府や自治体のスタッフ、研究者、ファシリテーター、さらに場合によっては利害関係者なども参加して様々な知見や経験を共有してきています。

これから日本において気候市民会議を開催しようとするときに、どのくらいの予算や時間がかかるのか、どのような手順ではじめるかなどの実務的な問題に直面することが考えられます。欧州と日本では気候変動対策を取り巻く状況は異なっており、欧州での知見や経験がそのまま日本にあてはまる訳ではありません。しかし、欧州における気候市民会議はすでに十数カ国で数十に及ぶ蓄積があります。そこから「遵守すべき原則」と、状況に応じて「選択しうるオプション」を精査し、日本における気候市民会議に生かしていこうとすることは必要であり、また合理的なことでもあります。

本ウェビナーは、欧州の事例を通じて日本の気候市民会議との違いを分析し、実施に向けた問題意識の気づきや課題解決のヒントを得ることで、今後の日本における気候市民会議の健全で効果的な発展に寄与することを目的としています。

このウェビナーに先立ち、IGESでは「気候市民会議の効果的な地方展開をめざして」と題する欧州気候市民会議の調査報告書を作成しました。本ウェビナーは、この報告書の公開記念イベントとして実施します。また、この報告書は(一社)環境政策対話研究所が作成した「欧州気候市民会議に関する調査報告書(2021年及び2022年版)」をIGESが引き継いだものです。2021年4月に作成された最初の報告書では、英国および仏国が国レベルで実施した気候市民会議の詳細な報告に重点を置きました。昨年9月に作成された2022年版では、英国や仏国の自治体などへの気候市民会議の広がりと英仏以外の欧州諸国の取り組みをカバーし、可能な範囲でそれらの相互比較や多面的な視点からの分析を行いました。今回の2023年版では、欧州においてこれまでに実施された気候市民会議から得られた多くの学びや、それを基に作成された様々なガイドラインの紹介に重点を置いています。この機会に過去2回の報告書も併せてご参照ください。

イベントの詳細

日時
2023年6月26日(月) 15:00~16:30
会場

オンライン

使用言語
日本語

発表資料

15:00-15:05 はじめに 石川 智子 IGES 戦略マネージメントオフィス ナレッジ・コミュニケーション ジョイントディレクター  
15:05-15:35   2022年度IGES欧州気候市民会議調査報告書「気候市民会議の効果的な地方展開をめざして」の紹介
森 秀行 IGES 特別政策アドバイザー
PDF (1.7MB)
15:35-15:45   温暖化政策の立案過程での市民の関わりの可能性~コミュニティ会議(英国)と自分ごと化会議(日本)からのインプリケーション~
浅川 賢司 IGES 都市タスクフォース プログラムマネージャー
PDF (2.7MB)
15:45-16:00   報告書からの示唆、日本における気候市民会議への期待  
  三上 直之 北海道大学 高等教育推進機構 准教授  
甲斐沼 美紀子 IGES 研究顧問 PDF (807KB)
16:00-16:15   コメントを受けたディスカッション  
16:15-16:25   質疑応答  
16:25-16:30 結びにかえて 今後のIGESの地域脱炭素研究への期待
西岡 秀三 IGES参与
 

録画映像