インド国では大気汚染が深刻な問題となっており、2018年の世界保健機関(WHO)のデータベースにおいても、世界で最も汚染されている15都市のうちの14都市がインド国内となっています。その改善のため、同国環境森林気候変動省(MoEFCC)下の中央汚染管理局(CPCB)では、2019年に国家大気浄化計画(NCAP)を策定し、その対策を進めています。しかしながら、火力発電施設やエネルギー多消費産業への脱硫装置や脱硝装置等の設置は計画より遅れており、迅速な対応が求められています。
それらを踏まえ、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)関西研究センターは、インド国の大気汚染の主な原因の1つである火力発電所等の排煙規制や排煙管理の実施状況の把握及び排煙の正確な測定・評価に関する技術導入の重要性についてインド人関係者の理解を促進することを目的として、2021年2月17日に「日本の環境技術に関する理解促進ワークショップ」を開催しました。
本ワークショップは、2018年の日本国環境省とインド国環境森林気候変動省の環境協力分野での協力覚書への署名に基づき、その優先協力分野の一つである汚染管理(大気、土壌、水)から大気汚染をテーマに環境省から支援を得て開催しました。さらに、在インド日本国大使館が日本の技術を活用してインド国の大気質の改善に協力するため推進している「ブルー・スカイ協力」、及び公益社団法人 日本環境技術協会(JETA)からも支援を得て開催しました。本ワークショップには、主にインド国の中央汚染管理局、マハラシュトラ州、西ベンガル州等のエネルギーや汚染管理関連機関、公営・民営の火力発電所、及びその他のエネルギー多消費企業(電力、エンジニアリング、石油化学等)、NPOの他、日本企業等、約140名が参加しました。
本ワークショップでは、JETAからは、大気質改善の取り組みとして中国で実施した活動事例や成果を共有し、インド国でも同様な取り組みを推奨しました。JETAの会員企業である株式会社堀場製作所は、排煙の監視システムに関して、現場で起こりうる課題とその解決策を紹介しました。また、パネルセッションでは、大気汚染を管理・規制する側である州汚染管理局及びインド企業から、排煙の監視に関する実施状況や課題について報告してもらい、活発に意見交換を行いました。
IGES関⻄研究センターは、環境省の支援の下、主に日本からインドへの技術移転の促進を目的とした「日本・インド技術マッチメイキング・プラットフォーム(JITMAP)」をTERIと共同で運営しています。これまでは、低炭素・省エネ技術を主な対象としてきましたが、今後は、環境技術にも対象を拡大して展開していく予定です。JITMAPの活動に関心を持たれた事業者の皆様は、下記までご連絡をください。
イベントの詳細
オンライン
IGES関西研究センター
〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2 人と防災未来センター東館5F
Tel: 078-262-6634 Fax: 078-262-6635 E-mail: [email protected]
発表資料
セッション1: 開会セッション | |||
14:00-14:10 | 歓迎の挨拶と日本・インド技術マッチメイキング・プラットフォーム(JITMAP)の紹介 エネルギー資源研究所(TERI)産業エネルギー効率部門シニアディレクター Girish Sethi |
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開会の挨拶 | 中央汚染管理局(CPCB)副ディレクター Nazimuddin | ||
環境省地球環境局国際連携課国際協力・環境インフラ戦略室長 杉本 留三 | |||
セッション2: テクニカルセッション- 日本の環境モニタリング技術 | |||
14:10-14:15 | ウェビナーの論点に関するフレーミング・プレゼンテーション 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)関西研究センター副所長 前田 利蔵 |
PDF (2.0MB) | |
14:15-15:00 | インド国の火力発電所及びその他のエネルギー多消費産業における排煙監視に係る日本の技術に関するプレゼンテーション | ||
日本と中国における環境汚染物質の改善に関する経験 公益社団法人 日本環境技術協会(JETA)海外委員会委員長 小林 剛士 |
PDF (1.6MB) | ||
環境改善への貢献に関する株式会社堀場製作所の歴史 株式会社堀場製作所海外営業オフィス、プロセス・環境システムチーム 小田倉 良平 |
PDF (2.1MB) | ||
煙道ガスモニタリングの課題と解決法 株式会社堀場製作所インド事務所プロセス・環境システム長 Prakash Abhyankar |
PDF (2.7MB) | ||
セッション3: ディスカッション: インド国の産業における環境モニタリング技術の促進 | |||
15:00-15:30 |
モデレーター
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エネルギー資源研究所(TERI)地球科学と気候変動部門 ディレクター Sumit Sharma | |
発表者
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アンドラ・プラデシュ州ネロール、スリ・ダモダラム・サンジェバイア火力発電所 電気効率と計画部 エグゼクティブエンジニア Madha Sharma | ||
マハラシュトラ州汚染管理局大気部門 共同ディレクター V M Motghare | |||
ACC社 エネルギー、環境と持続可能性部門 前ディレクター K N Rao | |||
西ベンガル州汚染管理局 前チーフ科学者 Ujjal Kumar Mukhopadhyay | |||
セッション4: 閉会セッション | |||
15:30-15:35 | 閉会の挨拶 | 在インド日本国大使館二等書記官 吉田 勇輝 |
※ 敬称略