持続可能な開発目標(SDGs)は、途上国・先進国を問わず取り組む世界共通の目標であり、その達成には、政府だけでなく、企業や民間資金も役割を果たすことが期待されています。今日のグローバル社会において、事業戦略とSDGsの統合は着実に進んでおり、企業はSDGsへの取り組みを通じて、経営の持続可能性を高めています。
企業のSDGs達成に向けた取り組みを後押しするツールとして注目を集めているのが、二国間クレジット制度(JCM)です。JCMは優れた低炭素・脱炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及により、地球規模での温暖化対策と途上国の持続可能な開発に貢献します。プロジェクトは日本企業と現地企業が共同で実施する民間主導のビジネスが主であり、そのメリットは技術移転や温室効果ガス排出量の削減にとどまりません。2020年3月に環境省とIGESが執筆した報告書「二国間クレジット制度による持続可能な開発への貢献」は、JCMの下で実施されている多様なプロジェクトとSDGsの17目標との関連性を分析し、プロジェクトが環境やエネルギーに関連する目標だけでなく、能力強化・衛生改善・労働環境改善といった社会的目標にも深く関係していることを明らかにしました。
JCMへの参画により、サステナビリティの取り組みと事業展開を結び付け、SDGsへの貢献の幅や選択肢を広げることができます。キリンホールディングス株式会社はJCMを通して、ミャンマーのビール工場に高効率醸造設備を導入し、温室効果ガス排出量とコスト削減に取り組んでいます。同社は、SDGsを事業戦略と統合し、長期非財務目標「CSVパーパス」として掲げており、SDGsへの貢献を通じた事業成長がどのように実現しうるかを示す好例と言えます。
このような背景を踏まえ、本セミナーでは、企業におけるSDGsへの取り組みをテーマに、IGES研究員とJCMに参加している企業が以下の3つのトピックについてお届けしました。
- 1.事業戦略とSDGs:事業戦略におけるSDGsの重要性、SDGsと事業戦略の統合 に関する国内外の動向、事業戦略の“柱”としてのSDGs
- 2.JCMとSDGs:JCMによるSDGsへの貢献
- 3.JCM参加企業のSDGsへの取り組み:JCMを活用したサステナビリティ戦略の推進とSDGsへの貢献
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イベントの詳細
ウェビナー形式で開催しました。当日の様子は発表資料項目内の各動画をご覧ください。
IGES気候変動とエネルギーエリア
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
E-mail: [email protected]
発表資料
司会者: IGES 気候変動とエネルギー領域 プログラムマネージャー 高橋 健太郎
13:30 - 13:35 | 開会挨拶 | 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 市場メカニズム室 国際企画官 小圷 一久 | PDF(1.0MB) プレゼン動画 |
13:35 - 13:50 | ビジネスセクターにおけるSDGsの可能性と機会 IGES 持続可能性ガバナンスセンター 研究員 小野田 真二 |
PDF(2.7MB) プレゼン動画 |
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13:50 - 14:05 | JCMのSDGs への貢献 IGES 気候変動とエネルギー領域 研究員 津久井 あきび |
PDF(2.0MB) プレゼン動画 |
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14:05 - 14:20 | サステナビリティ戦略におけるJCMの役割 キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部 主務 吉川 創祐 |
PDF(3.0MB) プレゼン動画 |
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14:20 - 14:30 | 質疑応答 | PDF(100KB) 動画 |