SDGsの成り立ちと日本の実践事例 ―狭義と広義の都市計画・まちづくり

都市計画所収
Volume (Issue): Vol.71 No.1
その他アーティクル
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 地方自治体の職員が日々実践していることは、ほぼSDGsだろう。住民のあらゆる困りごとに対してなんらかの対応をしつつ、将来を見据えた自治体のビジョン・ロードマップの策定および施策の立案・実践を行っているからだ。
 それなのになぜ、地方自治体に対してSDGsが求められているのだろうか。この小論では、小生なりのSDGsに関する理解と都市計画・まちづくりに関する国内の好事例について紹介する。

・自治体を含むマルチステークホルダーで作られていったSDGs

・SDGsと都市のグローバルな動き

・自治体SDGs先進国の日本と都市計画・まちづくり:富山市、さいたま市、ニセコ町の事例

 富山市、さいたま市、ニセコ町の担当者にお話を伺ったところ、自地域の課題を解決することを最優先に都市計画やまちづくりを実践したところ、紹介したような事例の実現につながり、その当時は特にSDGsを意識することはなかった、とのことだった。
 SDGsは世界の課題を代表(捨象)したもので、SDGsで掲げられている17のゴール169のターゲットは、必ずしも各地域の課題にそのままフィットするものではない。一方で、SDGsが形作られていった過程において国連プロセスとしては初めて、できるだけ幅広いステークホルダーの関与を目指した点において、紹介した3つの事例はすべて当てはまるものである。一方で、日本の事例はなかなかグローバルの土俵に上がって来ない。
 2030アジェンダを実現するためには、特定のエリアを対象とした「狭義(部分最適化)」の都市計画・まちづくりも重要だが、都市や周辺地域、さらに国や世界をも対象とするようなビジョン・ロードマップも包含する「広義(全体最適化)」の都市計画・まちづくりも求められのではないか。
 

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