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英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)においては、気候変動の影響による損失と損害(ロス&ダメージ)の議論が例年以上に注目を集めた。カバー合意である「グラスゴー気候合意」は、気候変動がすでに損失や損害を引き起こしており、今後もその傾向が強まること、そしてこれまで以上に大きな社会的、経済的、環境的な脅威となることへの認識が盛り込まれ、国際社会としてこの課題に真摯に取り組む決意を新たにしたといえよう。こうした進捗は、長きにわたる交渉を経て、「損失と損害」は「緩和」「適応」に続く、気候変動対策の第三の柱として認識され、緩やかながらも着実に進展を見せてきた成果だと捉えられる。しかし、この背景には、損失と損害に関する国際交渉における先進国、途上国間の長きにわたる対立がある。本稿では、気候変動交渉における損失と損害の議論の経緯を振り返りつつ、COP26の結果について解説を試みるとともに、今後の展望を考察したい。
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