アジア太平洋の気候安全保障事業 (APCS)

国際ワークショップ「気候危機における食料安全保障の確保」

2024年3月13日(水) 13:30 - 17:00
カレンダーに追加

本ワークショップでは、気候危機下において食料安全保障を確保するための最近の議論、研究がより必要とされる領域、可能な政策介入について検討しました。

1996年の世界食糧サミットで発表されたコミュニケは、食料安全保障を次のように定義しています。「食料安全保障とは、すべての人々が、いかなるときでも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養価ある食料を、物理的、社会的および経済的にも入手可能であるとき達成される状況である」。

食料安全保障と食料不安は様々な要因によって左右されます。例えば、COVID-19やウクライナ戦争が食料安全保障に大きな影響を与えたことは記憶に新しいものです。本ワークショップでは、そのような要因の一つとして、気候変動に焦点を当てました。先般発表されたIPCC第6次評価報告書が強調しているように、気候変動は世界の食料システムの様々な側面に影響を与え、食料システムに対する他の種類のリスクや脅威を増加させます。例えば、気候変動によって食料生産に適した土地が変化したり、災害によって作物の不作やサプライチェーンの混乱が生じたりする可能性があります。

さらに、気候変動への対策も食料システムに影響を及ぼします。例えば、土地集約型の太陽光パネルを大規模に設置しようとすれば、それは農業に利用可能な土地を圧迫するかもしれません。気候変動は特に社会的弱者に影響を及ぼし、食料へのアクセスにおける不平等を悪化させることも指摘されています。気候ストレスへの対応策が、脆弱性をさらに悪化させる可能性があるかもしれないのです。

気候変動が安全保障に与える影響は多様であり、また気候変動への対策を講じる政策領域も多岐にわたるため、気候変動の影響と対応が食料安全保障に与える影響についての体系的な分析は困難な課題です。地球環境戦略研究機関および東京大学未来ビジョンセンターが実施する共同プロジェクトでは、この複雑な構造を分析し、研究を進めていこうとしています。本ワークショップでは、気候危機における食料安全保障という課題を構成する要素のマッピング、研究が不足している領域の整理、展望できる研究方針の特定を行い、今後数年間、この分野における政策研究を推進するための出発点を示すことを試みました。

イベントの詳細

日時
2024年3月13日(水) 13:30 - 17:00
会場

IGES 葉山本部

共催
SDGs Collaborative Research Unit, Institute for Future Initiatives, The University of Tokyo
使用言語
英語 / 日本語
(Simultaneous interpretation)
コンタクト

発表資料

13:30-13:40 Opening annuncement Kei Kurushima, Policy Researcher, Adaptation & Water, IGES PDF (1.8MB)
13:40-14:00 Keynote speech Aditi Mukherjee, Director at CGIAR (Online)
Due to unforeseeable reasons, Ms Mukherjee could not be present in this workshop.
 
14:00-15:15 Session 1: Dynamics of food security under climate change
Moderator: Kei Kurushima, Policy Researcher, Adaptation & Water, IGES  
Speakers: Framing Presentation:
Nazia Hussain & Kei Kurushima (IGES, UTokyo IFI)
PDF (1.0MB)
Brianna Castro (Vanderbilt Univ.) PDF (4.5MB)
Jie Su (UTokyo IFI) PDF (1.6MB)
Alexandros Gasparatos (UTokyo IFI) PDF (1.6MB)
Panel discussion
  • What may be some entry points regarding interdisciplinary/multidisciplinary scholarship?
  • What are the challenges of adopting such an approach? What can be done to overcome these challenges?
  • What implication does the approach have on the climate crisis?
15:15-15:30 Coffee break
15:30-17:00 Session 2: Legal, governance, and policy measures toward climate-resilient food system
Moderator: Naoyuki Okano, Policy Researcher, Adaptation & Water, IGES  
Speakers: Framing presentation:
Naoyuki Okano, Policy Researcher, Adaptation & Water, IGES
PDF (612KB)
Tomaso Ferrando (University of Antwerp, online) PDF (1.0MB)
Yasuo Takahashi, Research Manager, Biodiversity & Forests, IGES PDF (7.1MB)
Hui Ju (Chinese Academy of Agricultural Sciences) PDF (3.8MB)
Shinjiro Amameishi, JICA Ogata Sadako Research Institute for Peace and Development PDF (639KB)
Panel Discussion
  • What are the impacts of climate change on food security governance we should be aware of? What are the key risks and possibilities?
  • What legal, institutional, or policy approaches are needed to ensure a resilient food system under the climate crisis?

録画映像