[背景]
近年、木材貿易を取り巻く国内外の環境は、木材の合法性確認や、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献など、大きくかつ急速に変化してきています。平成28(2016)年には、合法伐採木材等の流通及び利用を促進し、地域及び地球の環境保全に資することを目的とする「クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)」が制定されました。クリーンウッド法では、木材関連事業者が木材等を利用する場合に合法伐採木材等を利用することを努力義務として定めるとともに、木材が合法に伐採されたかものか否かを確認するための基準が定められました。
[目的・対象国]
本事業は、合法かつ持続可能的な木材貿易に資することを目的とし、林野庁からの資金拠出を受け、国際熱帯木材機関(ITTO)の事業として実施されています。事業では、中国とベトナムを対象国として、輸入事業者の合法性確認(デュー・デリジェンス)を支援するために、両国の法制度の概要、木材サプライチェーンの状況及び現地事業者の合法性確認に関する取組について情報収集、分析を行いました。
[報告概要]
中国とベトナムは日本を含む多くの国にとって重要な木材製品供給国となっています。両国は木材加工貿易国であり、熱帯諸国から丸太や製材が輸入され、木材製品に利用されています。また、国産材については、小規模農家が管理する植林地が重要な木材供給源となっていますが、木材生産者が多くなりサプライチェーンが複雑となっています。両国のこうした特徴は、輸出される木材製品の合法性確認を行う上での課題にもなっています。
本事業では、中国とベトナムからの木材製品を利用する木材関連事業者のデュー・デリジェンスや持続可能性に対する取組を支援するための調査を行いました。報告会では、中国とベトナムの調査結果について発表しました。中国については、2020年7月から施行された改正森林法における違法伐採材の取り扱いについて説明し、また中国の木材関連事業者へのアンケート調査に基づき、合法性確認に関する事業者の取組状況についての分析結果を報告しました。ベトナムについては、ベトナム政府が定めたリスク基準(樹種及び地域リスク)に基づき日本に輸出される木材製品の中で、どの製品にどの程度リスク木材が含まれるのか、貿易データに基づく傾向を明らかにするとともに、国産植林木を使った製品のデュー・デリジェンスに活用できるベトナム事業者の取組事例をご紹介しました。
イベントの詳細
オンライン
IGES 生物多様性と森林領域
[email protected]
発表資料
14:00 | 開始 | ||
14:05 | ITTO 開催の挨拶 | ITTO テトラ・ヤヌアリアディ プロジェクトマネージャー | PDF (2.3MB) |
14:10 | 林野庁 開催の挨拶 | 林野庁 赤羽 元 木材貿易対策室長 | |
14:15 | 1. 中国における改正森林法と、事業者の合法性確認実施状況 IGES 鮫島 弘光 リサーチマネージャー |
PDF (2.8MB) | |
14:45 | 質疑応答 | ||
15:00 | 2. ベトナムから輸出される木材製品に含まれるリスク樹種の傾向と国産植林木サプライチェーン管理に関する事業者の取組事例 IGES 藤﨑 泰治 リサーチマネージャー |
PDF (2.2MB) | |
15:30 | 質疑応答 | ||
15:45 | 閉会 |