COP27 Japan Pavilion サイドイベント

サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラル ~民間企業による循環行動とドライバーの加速~

日本時間:2022年11月18日(金)0:30-1:30 am(17日(木)深夜)/ 現地時間:2022年11月17日(木)17:30-18:30

※会場のネットワーク環境の事情で接続が不安定なことがございます。ご了承くださいますようお願いいたします。

気候変動と資源管理の重要性・関連性は、国際社会およびネット・ゼロと循環型経済への移行を目指す国々によって、広く認識されている。国際資源パネル(IRP)の評価によると、資源の採取と加工は、世界の温室効果ガス排出量の約半分を占めている(土地使用に起因する気候変動への影響は含まない)1。材料の産出・生産による排出量は、1995年でのCO2換算5ギガトン(Gt)から、2015年には11Gtへと増加し、世界の排出量に占める割合は15%から23%に上昇した。鉄鋼(32%)、セメント・石灰・石膏(25%)、プラスチック・ゴム(13%)など、素材関連の排出量のほとんどはバルク材の生産に起因している2。再生可能エネルギーへの転換やエネルギー効率化だけでなく、材料管理の効率化を通じて、資源利用に関連する経済活動やライフスタイルを変革する必要がある。複数の報告書では3、2050年までにネット・ゼロを目指すという目標に大きく貢献できる可能性が示されている他、別の研究では、5つの主要分野(セメント、アルミニウム、鉄鋼、プラスチック、食品)に循環経済戦略を適用するだけで、2050年に93億トンのCO2の排出を削減できることが示されている4

気候変動に関するパリ協定や、生物多様性、環境汚染に関するその他の世界的な目標は、より資源効率の高い循環経済への移行なくしては達成できない。私たちの社会は、資源の使用とそれに伴う気候変動やその他関連する影響を総合的に考慮する必要がある。公共部門も民間部門も既存のシステムの延長線上に存在するべきではなく、この移行と変革を可能にするデジタル化、循環型デザイン、トレーサビリティなどの最新の方法を用いた抜本的なビジネスモデルの変革が必要である。私たちは、システム・アプローチを用いて、ライフサイクル全体にわたって循環経済とカーボンニュートラルのつながりをより効果的に統合し、また、多くの産業にわたるグローバルで長いバリューチェーンを十分に考慮した上で、多様なステークホルダーの協力を促進すべきである。

国際社会は現在、循環経済(CE)、資源効率(RE)、カーボンニュートラル(CN)のつながりの重要性をより強く認識し、機会や課題を特定するための議論を促進している。UNEA5.2決議では、循環経済のアプローチが気候変動、生物多様性の損失、土地の劣化、水ストレスや汚染の影響への対処に貢献できることが認識された。循環経済及び資源効率性に関するグローバルアライアンス(GACERE)5は、ライフスタイルや廃棄物、さらには建築環境、食品、繊維、プラスチックなど様々な分野で、循環型ソリューションがもたらす潜在的な気候変動への効果を探求している6。資源効率と循環経済に関するG7ベルリン・ロードマップ(2022年)では、関連するすべてのセクターで循環経済・資源効率を推進することが、製品のライフサイクル全体を通じて物質使用による気候変動、生物多様性、汚染の影響を低減することに貢献すると認識されている。また、ロードマップでは、企業が循環経済に関するイニシアチブを確立し、一般市民や金融セクターとのエンゲージメントを促進し、自主的な循環経済・資源効率を推進することを奨励する「循環経済・資源効率原則(CEREP)」の策定計画も共有された。

当セッションでは、COP26での議論を踏まえ、脱炭素社会の実現に向けた循環経済への移行について、民間セクターの行動促進や重要な推進要因に焦点を当てながら、引き続き機運を醸成していく。また、官民の主要なステークホルダーを招き、バリューチェーン全体における循環型・カーボンニュートラルへの移行に不可欠な要素や、循環経済・資源効率化ソリューションの規模拡大の方法について議論し、会議の成果をブリーフィングノートにまとめる。

目的

  • 循環経済が、気候変動、生物多様性、資源確保を含む経済、環境、社会の安定に貢献する前向きな検討課題であることを強調する。
  • 官民による循環経済への適切な資金調達と投資の重要性とともに、事業の循環経済への移行による産業発展と競争力強化の可能性を紹介する。
  • 循環経済及び気候中立な経済活動に向けてサプライチェーンの持続可能性を構築する上で、民間部門の重要な役割を強調する。
  • より循環的な世界を目指し、ネット・ゼロの目標を達成するための道筋において、企業を導く共通の循環経済原則の必要性を強調し、G7のプロセスに貢献する。

1: IRP (2019) Global Resource Outlook (page 68)
2: IRP (2020) Resource Efficiency and Climate Change: Material Efficiency Strategies for a Low-Carbon Future (Executive summary)
3: IEA (2021) Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector
4: EMF (2019) Completing the picture: How the circular economy tackles climate change
5: https://www.unep.org/events/online-event/launch-global-alliance-circular-economy-and-resource-efficiency-gacere and https://www.unido.org/news/launch-global-alliance-circular-economy-and-resource-efficiency.
6: GACERE (2021) WORKING PAPER on Circular Economy and Climate Change, available at https://ec.europa.eu/environment/international_issues/gacere.html).

イベントの詳細

日時
日本時間:2022年11月18日(金)0:30-1:30 am(17日(木)深夜)/ 現地時間:2022年11月17日(木)17:30-18:30
会場

ハイブリッド

共催
世界経済フォーラム(WEF)
使用言語
英語

発表資料

  イントロダクション・ハウスキーピング
  開会挨拶 西村 明宏(日本環境大臣)  
ビビアン・ハイネン (オランダ環境大臣)  
  講演者、パネリスト、モデレーターによる集合写真撮影
  パネルディスカッション
  1. 循環型ビジネスに向けた企業経営におけるリーダーシップの役割
  2. 循環経済・カーボンニュートラル・ネイチャーポジティブの関連性
  3. ビジネスバリューチェーンにおける機会創出
  4. 循環型ビジネスのベストプラクティス
  5. 企業パフォーマンスの測定・情報開示
  6. 官民パートナーシップ
ファシリテーター: クリスティン・ヒューズ 世界経済フォーラム 資源循環担当エグゼクティブ・ディレクター  
パネリスト: 馬場 渉 パナソニックグループ シニアフェロー サステナビリティ&気候担当  
金沢 大輔 三菱ケミカルグループ グリーントランスフォーメーション推進本部 本部長付 東京大学未来ビジョン研究センター グローバル・コモンズ・センター 共同研究員  
アンドレアス・フォレール スカニア CV AB、サステナビリティ部門責任者  
イザベラ・テイシェイラ 国連環境計画国際資源パネル共同議長  
ニディ・ベイスワル JLL サステナビリティ&気候変動リーダーシップ・ディレクター  
  クロージング