気候と資源問題の結びつきは、国際社会や、ネットゼロおよび循環経済実現を目指す国々から注目されています。国際資源パネルの評価によると、資源の採掘と加工プロセスは、気候変動の原因となる排出量の約半分を占めていると報告されています(土地利用に関連した影響を除く)。こうした課題の解決には、資源利用および、それがもたらす気候への影響を包括的に考慮し、気候と資源の関連性やライフサイクル、システムアプローチをより効果的に捉えなければなりません。そして、産業界の循環経済ソリューションを効果的に拡大し、排出量を削減するためには、バリューチェーンを超えたマルチステークホルダーの協力が求められます。
そこで、本サイドイベントでは、山口環境大臣やSteven van Weyenbergオランダ環境大臣を始め、各国、国際機関、グローバル企業がカーボンニュートラルの実現のためには循環経済への移行が必要であるという認識を共有するとともに、循環経済の更なる促進のための課題や連携方策について意見交換を行いました。
山口大臣からは、現在直面している3つの危機(気候変動、自然消滅、環境汚染)の解決に向けて、循環経済(Circular Economy:CE)への移行が重要であることが強調され、例えば、プラスチック資源循環促進法の策定や、循環経済パートナーシップの官民連携の構築、G20の場での、循環経済資源効率性原則の策定やG20資源効率性対話における優良事例の共有の提案などのCE への移行実現に向けた日本の努力について報告されました。オランダ環境大臣からは、 CE の実践はもはや不可避の選択であり、気候変動・生物多様性対策に貢献するものであること、また、気候中立性と循環経済への移行を促進する上での、公共調達の重要性、また、CE 取組の拡大の必要性が強調されました。
パネルディスカッションでは、政府、民間企業、NGOという多様なパネルによる議論が行われました。議論の中では、改めて、CEの移行による気候変動、生物多様性、資源枯渇および産業振興や競争力強化の可能性などCEが経済・環境・社会に貢献するポジティブなアジェンダであるとの認識が共有されました。
ファッション・繊維や食品、プラスチック、エレクトロニクス、食品や建設分野などでの生活と関係の深い分野で循環経済に取り組むことが、1.5度目標の達成に重要であること、新興国では、政策におけるCEの主流化・政策をCE型に転換すること、それによる産業競争力の向上が重要であることが報告さ、アフリカを中心とした途上国では、CEへの移行が重要であるともに、現在、インフォーマルセクターが中心となっている循環産業の適正化、E-waste対策を行うことの重要性が強調されました。この中で、各国や企業と連携して取り組みを進めていくことの有効性についても認識が共有されました。
そのほか、循環経済への移行に向けたビジネスの促進について、まずは、製品デザインや生産プロセスの改善などバリューチェーンの上流側におけるCEへの移行が重要であることが強調されました。これにより、3Dプリンター・製品サービス化・デジタル技術の適用等といった循環促進と不要な資源消費を回避する革新的開発の重要性、また、政策や規制枠組み・基準により、さらなるCEの充実や実施に向けた環境が整備され、イノベーションも促されることについても議論されました。他方同時に、競争や技術ビジネスモデルの向上を促すような余地を残す枠組みの在り方や様々な業種との連携による新しいCEの革新を生み出すよう政府が支援することの重要性も議論されました。
この他、これらの実現のために、政府・民間双方で、CEへの適切なファイナンス・資金投資が重要であることが、共有されました。
イベントの詳細
COP26 ジャパンパビリオン
IGES 持続可能な消費と生産エリア
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3840
Fax: 046-855-3809
E-mail: [email protected]
発表資料
プログラム
Opening |
Ministry of the Environment Japan |
||
Opening remarks | Minister of the Environment Japan: Dr. Tsuyoshi Michael Yamaguchi | ||
Minister for Environment of the Netherlands: Steven van Weyenberg | |||
Group Photo | Ministers, the moderator and panellists | ||
Panel discussion | |||
[Moderator] |
World Economic Forum: Ms. Faustine Delasalle | ||
[Panellists] | European Union: Dr. Florika Fink Hooijer, Directorate-General for Environment, European Commission | ||
Colombia: Mr. Alex Saer, Director of Climate Change and Risk Management, Ministry of Environment and Sustainable Development | |||
African Development Bank: Mr. Al-Hamndou Dorsouma, Acting Director for Climate and Green Growth | |||
Holcim: Mr Cédric de Meeûs, Vice-President, Public Affairs and Government relations | |||
SABIC: Dr. Bob Maughon, Executive Vice President, CTO/CSO | |||
Ellen MacArthur Foundation: Mr. Jocelyn Blériot, Executive Lead, International Institutions & Governments | |||
Closing | Ministry of the Environment Japan |