EU日本サステナブル・ファイナンス政策セミナー
~EUサステナブル・ファイナンス・アクションプランをめぐる日本の民間セクターとの対話~
2015年に採択されたパリ協定は、低炭素で持続可能な社会へ移行するための世界的な枠組みを提示しました。パリ協定第2条では、「温室効果ガスが低排出で気候変動に対して強靭な開発に向けた道筋に沿った資金の流れ」をつくることを求めています。そして、2018年3月、欧州委員会が採択した「EUサステナブル・ファイナンス・アクションプラン」はこれを実現するためのEUの包括的な行動計画です。
本セミナーは、EUと日本の民間セクターとの対話の機会を提供することを目的に開催し、EUアクションプランの狙いとその進捗、EU域内もしくはEUとのビジネスへの影響について議論を深めました。また、日本のサステナブル・ファイナンスに関する政策の概要や具体的な取り組み事例も踏まえつつ、サステナブル・ファイナンスにおけるEU日本間のさらなる政策協調・協力のあり方や可能性について議論しました。
【イベントサマリー】
セッション1では、異なる国や地域の文脈を認識しつつも、日欧の政策当局者や市場関係者からパリ協定の目標達成のためのサステナブル・ファイナンスの日欧の協調についてのメリットについて言及されました。また、EUの登壇者からは、国際協調の一環として、サステナブル・ファイナンスに関する国際プラットフォームにおいて、今後グローバルに優良事例や環境面でのサステナブル・ファイナンスに関する情報共有の場を設ける予定であることが発表されました。また、欧州委員会(EC)からマンデートを受けた技術専門家グループ(TEG)のサステナブル・ファイナンスに関するアクションプランの中でもタクソノミーについて、議論が交わされました。脱炭素を急ぐためには信頼のおける厳しい基準が必要というTEGメンバーによる主張があった一方で、特に日本の関係者からは非常に高い基準を掲げているタクソノミーが及ぼす影響や実用性等への懸念の声も聞かれました。「移行」技術についても考慮するべきという意見もありましたが、同時にそのような技術を活用する場合にはゼロエミッションへの適切なロードマップの作成を前提とすべきではないかという主張もありました。
セッション2では、サステナビリティに関する日本企業の取り組みとESG戦略に関する日本企業からの発表の後、最新のESG動向やEUサステナブル・ファイナンス・アクションプランの最新動向からの日本企業への影響や対応等に関する意見交換がありました。セクター毎あるいは企業毎に異なる影響、投資家や国際基準からの要請と対応が紹介・議論されました。タクソノミーについては、EU域内でも非常に大きなチャレンジであることも紹介されるとともに、グローバルレベルで整合性をとっていくことの重要性が指摘されました。最後に、日本ももっと国際的な基準作りに参加すべきとの提案もありました。
セッション3では、経済の変革のために必要な要素とドライバーを検討する上で、国際的な取り組みの事例としてUNEP FIの責任銀行原則やポジティブインパクト原則等の最新動向、日本の地方銀行の取り組み事例、タクソノミーの活用も含めた海外投資家の気候変動への取り組み事例が紹介されました。また、アジア太平洋地域では、規制当局がサステナブル・ファイナンスの分野に関心を持ち始めているものの、今後さらなる政策策定が必要であることが指摘されました。最後に、サステナブル・ファイナンス、特にタクソノミーはその理解を深めるために、さらに議論していくことが必要であることが指摘され、閉会しました。
関連出版物
イベントの詳細
駐日欧州連合代表部(ヨーロッパハウス)
〒106-0047東京都港区南麻布 4-6-28
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セミナー事務局
IGES ファイナンスタスクフォース
Email: [email protected]
発表資料
7:30- | 受付 | |||
8:00-10:00 |
セッション1: EUサステナブル・ファイナンス・アクションプラン:ビジョンと展望セッション1では、サステナブル・ファイナンス・アクションプランを含む、EUのサステナブル・ファイナンスに関連したイニシアティブについて議論します。また、タクソノミーがどのように活用されることを意図したものなのか、EU域内もしくはEUとのビジネスへの影響についても考えます。また、サステナブル・ファイナンスについてグローバルレベルで協調していくことの意義や重要性などについても検討します。 |
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8:00-8:20 | 開会の挨拶 | 池田賢志(金融庁総合政策局 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー) | ||
Olivier Guersent(欧州委員会 金融安定・金融サービス・資本市場同盟総局(FISMA)局長) | ||||
8:20-8:40 | 基調講演 |
「EUタクソノミーへ向けて」 Sean Kidney(Climate Bonds Initiative CEO 兼 共同創業者 / TEGメンバー) |
PDF (416KB) | |
8:40-8:50 | 講演 |
「なぜ国際協力が必要なのか:取組みと今後の方向性について」 Caroline Wellemans(欧州委員会 金融安定・金融サービス・資本市場同盟総局(FISMA)Financial Technology and Sustainable Finance, Deputy Head of Unit) |
PDF (924KB) | |
8:50-9:40 |
パネルディス |
モデレーター: リード・ディスカッサント: |
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9:40-10:00 | 休憩 | |||
10:00-12:00 |
セッション2: 日本におけるサステナブル・ファイナンス:主な成果と今後の課題セッション2では、日本におけるサステナブル・ファイナンスの現状について、政策と企業の取組みの側面から見ていきます。各企業のサステナビリティに関する取組みやESG戦略について伺いながら、日本におけるサステナブル・ファイナンスのこれまでの成果と今後の課題について考えます。EUと日本の文脈の違いに関して理解を深めながら、共通する関心や目標について考えます。 |
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10:00-10:20 | 発表 |
「サステナブル・ファインナンスに関する日本の政策:概要と特徴」 森下麻衣子(IGES ファイナンス・タスクフォース プログラム・マネージャー) |
PDF (622KB) | |
10:20-11:00 | 発表 | 「サステナビリティに関する取組みとESG戦略」 | ||
浜野義明(日本郵船株式会社 財務グループ 統括チーム長) | PDF (1.6MB) | |||
手塚宏之(日本鉄鋼連盟エネルギー技術委員会委員長(JFEスチール(株)技術企画部 地球環境グループリーダー(専門主監)) | PDF (1.4MB) | |||
飯塚優子(住友林業株式会社 サステナビリティ推進室室長) | PDF (4.5MB) | |||
柳田康一(花王株式会社 元ESG部門副統括) | PDF (1.5MB) | |||
11:00-12:00 | パネルディス カッション と質疑応答 |
モデレーター: リード・ディスカッサント: |
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12:00-13:00 | ネットワーキング ランチ |
(登壇者ならびに参加者の方々にはビュッフェ形式のランチをご用意いたします) | ||
13:00-14:50 |
セッション3: 経済の変革のために必要な要素とドライバーとは:今後へ向けてセッション3では、持続可能な経済への変革のために必要な要素や推進力に焦点を当てます。サステナブル・ファイナンスに関連して進む先駆的な取組みについて伺いながら、午前中のセッションから見えてきた論点や要素を深掘りします。 |
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13:00-13:30 | 基調講演 |
「責任銀行原則とポジティブ・インパクト・ファイナンスの最新動向:サステナブル・ファイナンスの鍵となる視点」 安井友紀(国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)プログラム・マネージャー) |
PDF (2.7MB) | |
13:30-13:50 | 発表 |
「滋賀銀行のサステナビリティ経営:お金の流れを変える地域金融機関の役割」 嶋﨑良伸(株式会社滋賀銀行 広報室兼CSR室長) |
PDF (4.0MB) | |
13:50-14:20 | 発表 |
「投資家の役割:タクソノミーの活用とClimate Action 100+の取組み」 Helena Vines Fiestas(BNPパリバ・アセットマネジメント Deputy Global Head of Sustainability / TEGメンバー) |
PDF (1.0MB) | |
14:20-14:50 | 質疑応答・振り返り ・まとめ |
モデレーター: 森尚樹(IGESファイナンス・タスクフォース エグゼクティブ・コーディネーター) |
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14:50-15:00 | 閉会の挨拶 | Heidi Hiltunen(駐日欧州連合代表部 First Counsellor Climate Change, Energy and Transport) | ||
三好信俊(IGES専務理事) |
※プログラムならびに登壇予定者は、予告なく変更される可能性があります。
欧州連合(EU)対外行動庁(EEAS)とEU代表部が主催するイベント・会議に関連する個人データの処理を目的とする
EEAS個人情報保護方針・データ保護に関する通知 (464KB 日本語)
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本イベントは、EUのパートナーシップインストゥルメントおよびドイツ連邦共和国環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMU)の国際気候イニシアティブ(IKI)による財政的な支援を受けて開催されます。本イベントで表明された意見は、発言者個人の責任に基づくものであり、必ずしも資金提供者の意見を反映するものではありません。