デカップリング:天然資源利用・環境影響と経済成長との切り離し 政策決定者向け要約

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国際資源パネル(IRP)「Decoupling Natural Resource Use and Environmental Impacts from Economic Growth: Using less resources and reducing the environmental impact (Summary for Policy Makers)」の日本語翻訳版(暫定非公式訳)。人類は過去1 世紀の間に驚異的な経済・社会開発を成し遂げた。しかしながら、その開発が環境や低コスト資源の利用可能性を犠牲にして達成されたことを示す兆候が、ますます強まっている。進歩はあったものの、いまだに大きな貧富の差が見られる。資源利用のペースを安定させ環境への影響を緩和しつつ、経済活動を公平に拡大するというジレンマは、社会に前例のない機会と課題をもたらしている。本報告書で国際資源パネルは、この課題に取り組むために、経済成長および人間の幸福と環境影響および資源利用との切り離し(デカップリング)の概念を適用しようと試みた。この報告書はデカップリングの概念に確固たる基礎を与えるものであり、主な用語を明確に定義するとともに、資源利用が急激に増大しているという実証的証拠を提供している。また、デカップリングはすでにある程度生じているが、その潜在的可能性にはまだまだ到達していないことも示している。これらのシナリオは、私たちが資源の利用方法に関して歴史的な選択を迫られていることを示している。本報告書では革新の可能性を調べ、経済成長と、より資源効率の高い経済の構築における都市の役割を再考している。国家レベルにおける4 つの事例研究は、政策立案者がどのようにデカップリング戦略を実施しているかを明らかにしている。ここでは物質資源、すなわち化石燃料、鉱物、金属、バイオマスに焦点を当てる。この報告書を補足するためにIRP は、土地や土壌、水、金属、都市、GHG 排出削減技術に関する報告書を並行して発表する予定である。今後発表されるこれらの報告書は、環境影響と経済成長および人間の幸福の改善とを切り離す(デカップリングする)方法に対する理解を深めるという国際資源パネルの目標に貢献するだろう。

著者:
International Resource Panel
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