製造業の価格転嫁傾向を考慮した炭素税の激変緩和措置の制度設計のあり方

Event: 環境経済・政策学会2018 年大会
Date: September 8-9, 2018
コンファレンスペーパー

昨年発表した「先進事例におけるステークホルダー(家庭/産業部門)への影響を踏まえた制度設計のあり方」では、炭素税等の先進事例であるドイツにおける産業部門に対する影響分析では、製造業において業種間の特性の違いを考慮せず一律に導入した軽減措置により、労働集約型製造業が一部の非製造業より高いCO₂排出強度をもつにもかかわらず課税負担が小さくなるという逆転現象が発生していることを示した。このことから、軽減措置は製造業全体で一律に導入するのではなく、より細分化された業種単位で導入範囲を限定することが重要であるといえる。
また、地球環境戦略研究機関・名城大学。・国立環境研究所(2018)によれば、製造業に属する企業の営業利益に対する影響分析では、価格転嫁率が最も大きな要因の1つであり、価格転嫁率は個々の企業の経営判断ではなく業種毎の性質に依存しやすいため、激変緩和措置の設計においては、企業努力を超える要素として価格転嫁率が1つの考慮要素として適切であるといえる。
そこで、本研究では、日本における炭素税の激変緩和措置を検討するために、日本の製造業を例に業種ごとに価格転嫁率を考慮要素とした必要最小限度の減免率の検討を行った。

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