職業教育が担う持続可能な社会づくり

産業と教育所収
Volume (Issue): 平成28年 No.769
その他アーティクル

2015年9月、ニューヨークにある国連本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催され、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。あわせて、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が合意された。SDGsは、アジェンダを実現していくための実施計画の目標と位置付けられている。世界レベルにおいて、持続可能な社会づくりの最大の課題は人口の急増といえる。2011年に70億人を突破した世界の人口は、2050年には96億人にも達するともいわれている。人口が増加すると当然食糧や資源の需要量が増大する。また、一人ひとりの生活レベルの向上に伴い、一人当たりの資源・エネルギー消費量も増大していくだろう。一方、日本では農林水産業が衰退の一途をたどり、耕作放棄地が拡大し、農山村が消滅の危機に瀕している。世界の食糧需給がひっ迫しているにもかかわらず、貴重な生産基盤である国内の農地、森林が荒廃している。こうした状況において、「持続可能な社会づくり」に向けた、今後の農業や水産業における生産、加工等のあり方はどうあるべきなのだろうか。また、職業教育には何が期待されているのだろうか。生物多様性条約やSATOYAMAイニシアティブの観点から、農林水産業を中心とした産業教育が、レジリエントで持続可能な社会の構築に向けて果たす役割や可能性についてとりまとめた。
 

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