地球環境戦略研究機関(IGES)は、JBF-IPBESアジア・オセアニア地域アセスメント実施のための能力構築プロジェクト(JBF-IPBES能力構築プロジェクト)を2016年から2020年にかけて実施しました。このプロジェクトは、日本政府が愛知目標などの達成に資するため、生物多様性条約事務局に拠出した「日本生物多様性基金」(JBF)の支援により実施されました。
JBF-IPBES能力構築プロジェクトの概要
2015年8月に東京で開催されたアジア・オセアニア地域アセスメント第1回執筆者会合等において、次の3点がアジア・オセアニア地域における能力構築の主要課題と認識されました。
- 1. ILK(Indigenous and local knowledge、先住民族・地域住民の知識体系)の地域アセスメントへの統合化
- 2. シナリオとモデルの方法論に関するアセスメント(Deliverable 3c)成果の地域アセスメントへのインプット
- 3. 地域アセスメント成果の政策決定者への提供と利用促進
この状況を踏まえ、IPBESアジア・オセアニア地域アセスメント技術支援機関(IPBES-TSU-AP)をホストしていたIGESが、アジア・オセアニア地域アセスメントの実施のための能力を向上し、その成果が生物多様性と生態系サービスの保全と持続可能な利用における政策決定に効果的かつ適切に活用されるために、科学と政策のインターフェースを強化することを目標として、3つのコンポーネントにより構成されるプロジェクトを実施しました。
コンポーネント1ILKの地域アセスメントへの統合化
アジア・オセアニア地域における各準地域のILK保持者・専門家とのネットワークを構築し、ILK文献の収集を効果的に実施するような体制構築を目指し、3回のワークショップを開催しました。
対象地域 | 開催地 | 参加者数 | 日付 | |
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東南アジア・北東アジア | チェンマイ(タイ) | 38名 | 2016年10月 14-17日 | 報告書 |
オセアニア | ファンガレイ(ニュージーランド) | 24名 | 2016年11月 1-4日 | 報告書 |
南アジア・西アジア | ドゥリケル(ネパール) | 43名 | 2016年11月 29日 -12月2日 | 報告書 |
コンポーネント2シナリオとモデルの方法論に関するアセスメント成果の地域アセスメントへのインプット
2016年2月にシナリオとモデルの方法論に関するアセスメント(Deliverable 3c)のレポートが完成されたことなどを受けて、各地域アセスメント、土地劣化アセスメント、地球規模アセスメントなどの関連する章の執筆者などを招聘し、シナリオ分析とモデリングアセスメントの執筆者およびTSUによるガイダンスと地域アセスメントのための議論を行うワークショップを、2016年11月15-17日にIGES本部(神奈川県葉山町)で開催しました。
コンポーネント3地域アセスメント成果を政策決定に活用するための科学と政策対話
アジア・オセアニア地域において、準地域レベルにおける科学と政策の対話を推進するため、地域アセスメントにより得られた成果を政府政策決定者や関係者に提供し理解を深め、利用を促進するための対話会合を3回開催しました。これらの政策対話における議論をベースとして、アジア・オセアニア地域に特有の生物多様性保全上の課題と解決策、及び、アジア・オセアニア地域においてIPBESアセスメントを普及していく方策について、2つのポリシーブリーフを作成しました。
対象地域 | 開催地 | 参加者数 | 日付 | |
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東南アジア・北東アジア | バンコク(タイ) | 61名 | 2019年10月22-23日 | 報告書 |
オセアニア | キャンベラ(オーストラリア) | 50名 | 2019年4月4-5日 | 報告書 |
南アジア・西アジア | カトマンドゥ(ネパール) | 57名 | 2019年2月27-28日 | 報告書 |