IGES、「森林に関するニューヨーク宣言アセスメントパートナーズ」に参加、協力協定を締結

2019年8月7日
お知らせ

オイルパームプランテーション造成ために皆伐された熱帯雨林公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は2019年7月8日(月)、「森林に関するニューヨーク宣言(The New York Declaration on Forests: NYDF)アセスメントパートナーズ」に参加し、IGESが蓄積してきた知見をもとに、宣言の進捗の評価に貢献する協力協定を締結しました。

NYDFアセスメントパートナーズ(http://forestdeclaration.org/)とは、2014年9月の国連気候サミットにおいて、気候変動や生物多様性に大きな影響を及ぼす森林減少問題に対処するため採択された「森林に関するニューヨーク宣言」の、署名国や企業の宣言の達成に向けた取り組みを支援するために、国際的なNGOや研究機関が結成したネットワークです。事務局を務めるClimate Focusを中心に、王立国際問題研究所や、World Resources Institute(WRI)、International Union for Conservation of nature(IUCN)、Conservation International、企業に対して温室効果ガスの排出量の公表を求めるCarbon Disclosure Project(CDP)など、研究機関、NGO、気候関係プロジェクトと多様な顔触れが参加しています。NYDFアセスメントパートナーズは、取り組みの進捗を科学的かつ独立性をもって調査し、宣言達成のための着実な道のりを具体的に示す、質の高い評価レポート等を毎年発表しています。

この宣言には、世界の天然林減少率を2020年までに少なくとも半分に抑え、2030年までにゼロにすること、農産物生産による森林減少を2020年までに排除するという民間セクターの目標達成を支援することをはじめとする10の目標が掲げられ、2017年までに日本を含む50カ国の政府、少なくとも50の世界的大企業、50以上の先住民団体とNGOが署名しています。

IGESはこれまで、アジアを中心とする地域で、REDD+(途上国における森林減少・劣化による排出削減等)、責任ある木材生産と貿易、また日本の農林産物サプライチェーンによる森林減少への影響に関する調査研究を行ってきました。サプライチェーンにおける森林減少に対する取り組みはこれまで欧米を中心に積極的に進められてきており、NYDFアセスメントパートナーズも欧米の研究機関やNGOが中心でしたが、アジアの研究機関としては初めてIGESが参加することで、アジア、とりわけ日本における宣言の達成に向けた取り組みと進捗状況を提供、分析すると同時に、世界の状況を日本に発信し、日本の取り組みを促進していきたいと考えています。


関連出版物:

ブリーフィングノート
商品作物の国際的サプライ・チェーンが途上国の森林減少に大きな影響を与えている。森林破壊に由来する商品作物を原料として利用する企業に対する批判が高まり、これに対応して森林減少を伴わない形で生産された作物をサプライ・チェーンの中で取り扱う「ゼロ・デフォレステーション」の取り組みが始まっている。2014年に「森林に関するニューヨーク宣言」が国連気候変動サミットで採択され、「世界の天然林減少率を2020年までに少なくとも半分に抑え、2030年までにゼロにする」こと、そのために「農産物生産による森林破壊を2020年までに排除するという民間セクターの目標達成を支援する」ことが目標として盛り込まれた。日本でも、認証制度を活用したゼロ・デフォレステーションの取り組みも広がりはじめている...