IGES関西研究センター(KRC)田中勇伍リサーチマネージャーは、2023年11月16日・20日・23日の3日間、兵庫県立三田祥雲館高等学校の2年次理系クラスを対象とした文理融合科目「Human & Science」にて、出前講義を行いました。
高校生たちは気候変動問題やエネルギーに関する基礎的な事柄について30分ほど解説を受けたあと、「模擬国連サミット」に参加し、「先進国政府」や「従来のエネルギー事業者」といったグループに分かれて、世界平均気温の上昇を2℃未満に抑える方法を話し合いました。白熱した議論やグループ間での交渉が繰り広げられ、2時間のワークショップはあっと言う間に終了しました。実施した3クラスとも残念ながら気温上昇を2℃未満に抑えることはできませんでしたが、参加者からは「温暖化問題の解決がなぜ難しいのかわからなかったが今回のワークショップで体感できて、よくわかった。」「地球温暖化について自分ができる対策は無いかこれまで以上に考えるようになった。」といった感想が多数寄せられました。
今回実施したのは、マサチューセッツ工科大学らによって開発された、オンラインシミュレーター(En-Roads)を活用したロールプレイングゲーム「Climate Action Simulation Game」です。田中リサーチマネージャーは、このシミュレーターの日本語訳プロジェクトにも参加し、2020年度から兵庫県内の高校生を対象として実施している「ひょうご高校生環境未来リーダー育成プロジェクト」でもこのワークショップを毎年実施してきました。気候変動問題にはそれだけで全てが解決するような「特効薬(silver bullet)」は存在せず、多様な利害関心を有する関係者の合意形成を進めながら、温室効果ガスを排出しない新たな社会を構築していく取り組みが求められます。環境を守りつつ、経済や社会も良くする、という俯瞰的な視点で物事を捉えてアイディアを練り、一歩でも前進するためにリーダーシップを発揮しようとする、そんな体験を通じて、気候変動問題に取り組むうえでの自らの役割の重要性に気づいていただければ幸いです。
IGES関西研究センターは、今後も地域循環共生圏や脱炭素社会の構築に向けた地域の人材育成に貢献して参ります。
イベントの詳細
兵庫県立三田祥雲館高等学校